「米大統領、開戦判断の責任認める=イラク大量破壊兵器の情報誤り」どうやって責任を取るのだ?

◆記事1:米大統領、開戦判断の責任認める=イラク大量破壊兵器の情報誤り

 

 【ワシントン14日時事】ブッシュ米大統領は14日、ワシントン市内で演説し、

イラクの大量破壊兵器に関する情報機関の分析は誤っていたと述べるとともに、

 これに基づき開戦を決断した自らの責任を明確に認めた。

 ブッシュ大統領はイラク戦略に関する4回目の演説で、武力行使の大義名分として挙げた大量破壊兵器に関する情報について、

 「多くが誤りであることが判明した。大統領として、イラク攻撃を決断した責任がある」と言明した。

 米国民の間には、ブッシュ政権がイラクの大量破壊兵器問題で

 誤った情報分析に基づいて武力行使を行ったことに対する批判が根強い。

 大統領は、この問題で自らの責任を明確に認めることにより、批判を緩和し、

 政権のイラク政策への支持を拡大することを狙ったとみられる。

 その一方で、フセイン元大統領は米国を敵と宣言し、米国にとって脅威だったと強調。

 フセイン氏の過去の行動や同時テロの教訓からも「フセイン政権打倒の決断は正しかった」

 と従来の立場を改めて訴えた。 (時事通信) - 12月15日11時0分更新


◆記事2:「イラク人犠牲者は3万人」…米大統領、初めて明かす

 

 【ワシントン=貞広貴志】ブッシュ米大統領は12日、イラク戦争の開戦以来のイラク人の犠牲者数について、

 「最初の(米軍による)進攻と、その後のイラク人に対する暴力の結果として、3万人前後が死亡した」と語った。

  フィラデルフィアで行った演説後の質疑で明らかにしたもので、米政府がイラク人犠牲者の数を示すのは初めて。

 大統領は、「米軍についてはイラクで約2140人の人命を失った」と述べており、

 イラク側の犠牲は米軍の14倍に上る。ホワイトハウスはただ、

 「(3万人は)報道されている民間の試算に言及したもので、政府の公式な数字はない」と釈明している。

 15日のイラク国民議会選挙を前にした一連の演説の第3弾となるこの日の演説は、政治プロセスに焦点を当てた。

 大統領は、米国と連合国が忍耐強く今後の政治プロセスを見守るよう訴えた。(読売新聞) - 12月13日13時17分更新


◆記事3:首相、イラク開戦支持「反省点ない」(朝日新聞)

 

 小泉首相は15日、ブッシュ米大統領がイラク戦争開始の根拠とした

 大量破壊兵器情報の大半が誤りだったと認めたことに関連し、

 「大統領は(戦争開始の判断は)正しかったと発言している。

 イラクが大量破壊兵器がないと証明すれば、戦争は起こらなかった」と述べた。

 米国の武力行使を支持した自らの判断に問題はないとの考えを強調したものだ。

 首相官邸で記者団の質問に答えた。

 首相は、「反省すべき点はないか」との記者団の質問に

 「日本は国連決議に沿って判断した」と述べ、記者団が「反省材料はないのか」と重ねて問うと

 「(あると)思っていない」と語った。 [2005年12月15日22時14分]


◆大量破壊兵器の有無と米国のイラク攻撃の違法性とは関係がない。

 

 2003年3月20日にアメリカはイラクに対する武力攻撃を開始したが、その正当性の根拠は、

 「イラクが大量破壊兵器を保有しており、それがテロリストの手に渡って、

 アメリカが明日にでも、テロリストの攻撃を受けるかもしれない」というものだった。

 小泉首相はその日のうちに世界で一番早く、アメリカの行為を支持した。

 昨日ブッシュ大統領は、大量破壊兵器に関する情報分析が間違っていた、と云う点は認めているが、

 戦争を始めたことは誤りではなかったと云い、小泉首相もあの戦争は正しかったと発言した。



 私は、イラク戦争が始まるずっと前から、アメリカがイラクを武力攻撃することは正しくないと述べてきた。

 何度も書いたが、例えばアメリカは何故イラクを攻撃するのかをお読み頂きたい。

 アメリカがおこなったことは、国際法上違法行為であり、違法行為を支持する日本政府の見解も間違っている。

 これは、「正しいと思う、思わない」という問題ではない。

 議論の余地はなく、仮に、イラクが大量破壊兵器を保有していたとしても、それだけの理由で

 国連決議も無いのに、アメリカがイラクを攻撃する正当性は全く無いのである。

 従って、今回のブッシュ大統領の演説は、問題の本質をとらえていない。


 ◆国際法において、武力行使は自衛権を行使するとき、多国籍軍に参加するとき以外、違法である。

 

 このことを定めているのは、国連憲章である。

 それは、私がイラク戦争が始まる前日に書いた、アメリカの行動は明らかに国際法違反である。その法的根拠で詳しく

 説明しているので、是非、こちらもご参照いただきたい。


◆何ら正当性がない武力攻撃でイラク人3万人を殺した米国の行為を「正しい」と擁護する日本政府。

 

 ブッシュ大統領は、最初はイラクの大量破壊兵器を破壊するため、と言って戦争を開始しながら、

 大量破壊兵器が見つからないとなったら、「フセイン独裁政権を打倒するため」と問題をすり替えて誤魔化した。

 しかし、これも、国連憲章に照らし、武力行使の違法性を阻却する事由とはなり得ない。

 要するにアメリカがやったことは、イラクに言いがかりを付け、

 無辜のイラク国民を3万人も殺した、という一言につきる。



 小泉首相がこれを支持するということは、「他国を侵略して人殺しをするのは正しいことだ」

 と公に主張していることになる。

 「国連決議に従って」、というのは、1991年、湾岸戦争の時の国連決議1441を云っているのだろうが、

 この決議とて、国連加盟各国が勝手にイラクに対して武力を行使することは認めていない。

 ましてや、イラク戦争が始まる前に、国連は何ら武力攻撃を容認する決議を採択していない。

 私は、郵政民営化よりもなによりも、この一点、「人殺しは正しい」という認識を持っている、というだけでも、

 小泉純一郎氏は内閣総理大臣としてふさわしくない、と考えている。


by j6ngt | 2005-12-16 03:18 | ニュース


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