衆議院選挙は、一政党党首(小泉君)の復讐の道具ですか?

◆記事1:<衆院選>「造反組」つぶし徹底 広がる「小池ショック」

 

 郵政民営化法案に反対した「造反組」を追い落とすため、小泉純一郎首相が最初に放った矢は小池百合子環境相だった。10日、小池氏は、造反組の小林興起前衆院議員が出馬する東京10区(豊島区と練馬区の一部)で立候補する意向を示した。突然、対抗馬を立てられることになった小林氏は「(古代)ローマの将軍が囚人を猛獣と戦わせるようなもの」と激しく批判した。(毎日新聞) - 8月10日13時34分更新


◆記事2:<衆院選>竹中氏くら替え有力 亀井氏に対抗か 自民検討

 

 自民党は10日、竹中平蔵郵政民営化担当相(参院比例選出)を次期衆院選候補として擁立する方向で検討を始めた。

 郵政民営化法案に反対した亀井静香元政調会長の選挙区、広島6区からの出馬が有力視されている。地元県連と調整したうえで、週内にも正式決定する。

 同党は法案に反対した党前衆院議員37人を公認せず、対抗馬を立てることを決めている。造反を主導した亀井氏の対立候補として竹中氏を擁立することで、「郵政選挙」をより鮮明にする狙いがある。(毎日新聞) - 8月10日15時4分更新


◆記事3:反対37人全員が「弁明書」提出=郵政法案採決、「党議背いていない」と綿貫氏

 

 自民党政治倫理審査会(笹川堯会長)は10日、郵政民営化法案の衆院本会議採決で反対票を投じた37人に対し、求めていた弁明書の受け付けを締め切った。

 反対派は弁明書提出は個人の判断としてきたが、執行部によると、綿貫民輔元衆院議長をはじめ、亀井静香元政調会長、平沼赳夫前経済産業相ら37人全員が提出した。

 反対派が活動拠点とした党郵政事業懇話会(会長・綿貫氏)は、「党議に背く行為をしたとは考えていない」と、投票行動の正当性を主張する「所信」を作成。綿貫氏は弁明書に代えてこの所信を提出した。 (時事通信) - 8月10日23時1分更新


◆コメント:選挙をなんと心得ているか。復讐の手段なのか。

 

 近代国家における国政選挙は、普通選挙である。つまり、選挙権は、納税額、財産、社会的地位、性別、教育、信仰などによって制限されることはなく、全ての成人に等しく与えられる。

 日本国憲法第15条第2項は「公務員(注:国会議員は公務員です)の選挙については、成年者による普通選挙を保障する」と明瞭に述べている。

 さらに、第44条では、「両議院の議員及びその選挙人の資格は,法律でこれを定める。但し,人種,信条,性別,社会的身分,門地,教育,財産又は収入によって差別してはならない」と念を押している。


◆普通選挙の根拠は「国民主権」にある。立候補者は国民の意向を無視してはならない。

 

 普通選挙が民主的国家において認められている根底には、「国民主権」の思想がある。

 国の政治のあり方を最終的に決定する権利は、国民にあるのであり、その国民の意思を代表し、行政府にこれを実行せしめるのが国会議員の役目である。

 日本国憲法第41条、「国会は国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である」という規定はそれを象徴的に表現している。

 全ての有権者は自由意思の主体として平等であり、国の運営の仕方を考え、自らの理想に最も近似している候補者を選び、民意を国政に反映させる権利と義務を負うのである。


◆小池百合子や竹中平蔵は、郵政民営化法案に反対した議員を落選されるために立候補するなら、国会議員になどなるな。

 

国会議員に立候補する者は、従って、何よりも先に、国政における様々な問題、課題、理想に対して、いかなる比重を置き、いかなる順番で、いかなる方針で、いかなる方法を用いて、それらを具現するのはを、誰にでも分かる平易かつ合理的な説明をするのが、選挙期間中の仕事である。それを、小泉の狗となり、造反議員への「お仕置き」のために立候補するならば、そんな人間は税金の無駄だ。辞めろ。


◆国家財政を立て直す方法はあるのか?

 

 橋本、小渕、森、小泉内閣の8年間で国債は300兆円も増加した。GDP(国内総生産)が500兆円だというのに、国債発行残高は700兆円もあるのだ。

 国債とは、国の借金である。こんな財政状態に陥った国は人類史上初めてだ。

 昨年だけをみても、1年間の税収が45兆円にたいして、国債の利払い(元本ではない。借金の利息の支払い)が18兆円もある。借金そのものを返す余裕がない。

 普通の家庭になぞらえるなら、45万円の月給が出たら、サラ金へ大あわてで走り、18万円の利子を支払い、その場で、家計の不足分18万円をそのサラ金から借りる。

 この結果、借金の残高はどんどん増え、従って、利息の支払いも増え続け、やがては一家心中でもするしかない、という状態なのだ。

 こういう問題に各候補者はいかなる対処方法を考えているのか。はっきりさせろ。


◆ここにも郵政民営化の問題がある。

 

郵貯・簡保が国債を大量に引き受けているから、今までは、借金700兆円と言われても、誰も、ピンと来ずに「ふーん」と言っていれば良かった。 

 郵貯、簡保は、資金の運用を財務省資金運用部というところに任せていた。

 ところが財務省資金運用部は、その金を道路公団など特殊法人に貸し付けているが、これが巨額の不良債権になっている。

 仮に、郵貯・簡保が民営化されれば、大量に抱えた国債の運用をこなせるのか。不良債権を処理できるのか。

 郵貯・簡保は国民から貯金を預かっており、これに対して利息を支払わなければならない。そのためには、資産を運用して儲けを出さなければならないのだ。

 資産運用に失敗して、とりあえず、収益を上げようと、手持ちの国債を売却されたらどうなるか?

 国債の価格が暴落する。債権の価格が下がると、利回りは上昇する。つまり、金利が上がってしまう(その理屈は調べて下さい)。

 ゼロ金利ですら、不況から脱することが出来ない今の日本で、金利が上がったら、半永久的に不況のままになるだろう。


◆「国会議員になれるかどうか」を考えて、信念を曲げるな。
 記事3は如何にも情けない。命乞いをしている。恥を知らないのか?

 自分が信念を持って、郵政民営化に反対したのなら、今でも「反対だ」と主張するべきだ。

 「自民党公認」を取り消されたら、とたんに、「い、いや、別に反対ってわけじゃないんですけどね、エヘヘ」とこれほどみっともない姿があるか。

 選挙を、「復讐」の道具に用いようとする小泉陣営、「思想」よりも私欲を優先させる造反議員。

 いずれも、国会議員たる資格は、ない。



 ◆P.S. 今日(8月10日)は、実は私の誕生日で、偶然にもモーツァルトの最後のシンフォニー、交響曲第41番が初演された日なので、音楽の話でも書きたかったのですが、なかなか上手くいかないものです(笑)。

by j6ngt | 2005-08-11 01:33 | 選挙


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