西武鉄道前社長が自殺 気の毒です。

◆記事:西武鉄道前社長が自殺=虚偽記載問題で任意聴取-自宅で首つり・東京

 19日午後零時50分ごろ、東京都町田市鶴間の小柳皓正西武鉄道前社長(64)の自宅で、前社長が首をつっているのを家族が見つけ、119番した。前社長は病院に運ばれたが、間もなく死亡が確認された。室内には家族にあてた遺書が残されており、警視庁町田署は自殺とみて調べている。

 小柳前社長は西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載問題で、今月に入り、東京地検特捜部から任意で事情聴取を約10回受けていた。

 調べによると、小柳前社長の妻(61)が外出先から戻ったところ、前社長が2階にある寝室のかもいにネクタイを掛け、首をつっているのを見つけた。前社長はパジャマ姿だった。遺書は布団のそばに置いてあり、家族への感謝の念が便せん2枚につづられていたという。 (時事通信) - 2月20日6時1分更新


◆コメント:西武の無法ぶりは、皆知っていたのに、今まで放置してしまった。

 

 西武鉄道グループは、12月に長年にわたって、有価証券報告書に虚偽の表示を行っていたことがバレて、東京証券取引所から、上場廃止を宣告されています。

その後、商法では、3ヶ月に一回は行うことが義務づけられている取締役会を7年以上も行っていなかったこととか、グループ企業間で損失を補填していたことなどが明らかになりました。もの凄いデタラメ経営です。

しかし、ありていに云って、 西武グループにおける堤義明氏の「超」独裁者ぶりは有名で、これぐらいのことをやっていたのは、政財界の人間やマスコミの人間なら、知っていた「既成事実」です。

 もちろん、それが永久に闇に葬り去られるよりはいいけれど、今更急に、何も知らなかったように騒ぎ立てるのも、滑稽です。もっととっくに指弾されるべきでした。


 自殺した小柳前社長も気の毒です。この人は天下りですけどね。

西武では、堤義明の前では、たとえ役員と言えども、ひざまずいて報告をしなければならなかったというのは有名です。

 あたかも中世の絶対君主のごとく振る舞っていた堤氏の命令に逆らうことは難しく、自分は不本意なのに違法行為を黙認しなければならず、非常に苦しんだと思われます。

 そして、厳しい検察の取り調べを受けているうちに何もかも嫌になってしまったのでしょう。実に、気の毒としか云いようがない(無論、何も悪くなかったとはいいませんが、今は死者を悪く書くことは控えます)。

「責任を取るつもりなら、死んではいけない。」などと書く奴がきっといるでしょうが、そういうのは、たいした責任を負ったことのない、ガキでしょう。


◆マスコミも虚偽表示している。

 堤義明は確かに悪いけれど、西武鉄道を極悪人扱いしているマスコミも、実は偉そうなことは言えないのです。

 放送局には、持ち株制限が電波法に基づく総務省令で定められています。これは、


「マスメディアが他の放送局の株式を保有する場合、同一地域の複数の放送局で10%を超えた議決権を持つことはできない。また、別の地域でも20%以上の議決権を持つことができない」


 ということです。ある放送局が放送局の支配権を握って、放送内容に干渉することが出来ないようにするためです。

 しかし、すべての民法テレビ局はこれに違反していたことが、昨年末に明らかになりました。12月4日の日記で詳しく書いたので、ご覧下さい。

マスコミ自身、有価証券報告書に虚偽の表示をしていたのです。他人のことを偉そうに非難できる道理は、無いのです。

全く、この国はどうしてこれほど、でたらめになってしまったのでしょう。法治国家と言えません。


◆西武の個人株主は、激怒しています。

 

 マスコミも偽善的だが、だからといって、西武鉄道が悪くないということには、絶対に、なりません。

なにせ、西武鉄道の株は上場廃止になってしまったのですから、もはや、西武の株は紙くず同然。

株式会社は株主のものです。その株主に大損害を与えてしまった。

しかし、西武は、大企業の株主に対しては、損失を穴埋めするといっていますが、個人株主は無視しました。切り捨てるつもりです。

 個人株主は激怒しました。当然です。

今月1日、213人の個人株主は集団訴訟を起こしました。


◆一番問題なのは、国民が西武鉄道の事件を「大したことではない」と思っていることです。

 

 西武鉄道の事件が騒がれ出してから、随分多くの一般市民が自分のWeb日記やblogでこの問題に触れていますが、それらを読んで驚くのは、怒っている人があまりいないことです。単に茶化したような文章が非常に多い。

つまり、かなりの日本人は、違法行為といえども、バレなければ、構わないと考えているのではないでしょうか?

違法行為までいかなくても、日本人には「あんたの都合の悪いことには目をつむるから、オレの悪いことも見逃してよ」、というなれ合いが極めて生じやすい精神風土があります。

それをやっているから、いつまでたっても、不正、不祥事が無くならないのです。


by j6ngt | 2005-02-20 19:00


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