「『成功させないといけない』=ファルージャ総攻撃、小泉首相が支持」 

◆記事1:市中心部制圧の勢い ファルージャ攻防続く ザルカウィ容疑者らは逃亡。(共同通信)

 

【ワシントン9日共同】イラク中部ファルージャの中心部に到達したイラク駐留米軍とイラク部隊は10日、武装勢力と激しい市街戦を続けた。米軍などは北と西の3方面から進撃しており、現地司令官によると、中心部を含む同市北半分を制圧する勢い。

武装勢力は押される形で南部に集結し反攻の構えで、戦局の焦点は南部攻防戦に移った。ヨルダン人テロリスト、ザルカウィ容疑者らは逃亡したもよう。 米軍は現地時間9日午後6時半(日本時間10日午前零時半)現在、米兵10人とイラク兵2人が死亡したと発表した。


◆記事2:「成功させないといけない」=ファルージャ総攻撃、小泉首相が支持

 

 小泉純一郎首相は9日午前、イラク駐留米軍などによるファルージャ総攻撃について「成功させないといけない。治安の改善がイラク復興のカギですから」と、事実上の支持を表明した。

その理由として「テロリストグループが混乱させようと動いていますから」と指摘した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 政府は、武装組織との戦闘がイラク全土に及ぶ可能性はないと判断。サマワで活動する自衛隊撤退などは考慮しない方針だが、首相の踏み込んだ発言は今後、波紋を呼びそうだ。(時事通信) - 11月9日13時2分更新


◆記事3:本日の国家基本政策委員会合同審査会(党首討論)の議事録(私が衆議院TVから起こした暫定版)

民主党 岡田代表:次にイラク戦争、自衛隊派遣の問題について、時間も非常に限られておりますが、申し上げたいと思います。

 まず、総理はファルージャにおける米軍の攻撃に対して、これを「成功させなきゃいけない」と云われました。

 私は、この言葉も非常に違和感を感じました。

 ファルージャの人口は30万と云われています。前回4月の戦いでは800人の市民が命を落としたと伝えられています。市街戦ですから。今回は空爆もやってますし、多くの市民の犠牲が出る可能性がかなりあります。

 そういう中で、簡単に、こういった問題について、それを「賛成する」とか「支持する」、そういう風に断言して良いのか。やはり命を落とす市民のことも考えながら、もう少し違う言い方があったんじゃないか、そう言う思いが私はひじょうにするわけですが、総理はその点、いかがでしょう?

小泉首相:私は、イラクの暫定政府がファルージャにおける治安の回復というものを、重視している。そして、来年1月の選挙に向けて、ファルージャにおいての武装勢力、何とか選挙を妨害しようとする勢力、テロリストグループ、これを排除しようという強い意志を固めて、今回、非常事態宣言をしてファルージャの作戦を展開している。

 この作戦というのは、治安を回復するために、極めて重要だと思っています。だからこそ、これは、成功させなければいけない。成功させない、失敗すると云うことは、あの地域が、謂わば、武装勢力、テロリストグループの拠点になってしまう。

 1月のイラクの議会を作るための選挙の支障となる。だからこそ成功させなければいけない。

 また、「成功させなければいけない」という言い方がいけないと岡田さんは批判しますが、「失敗してもいい」なんて、云えるわけ無いでしょう。「成功させなければいけない」といってはいけないのでしょうか? 治安回復のために成功させなければいけない、と私は今でも思っていますよ。「成功させなければいけない」っていう、違う言い方は、どういう言い方が適当なのでしょうか?


岡田代表: 総理は議論をすり替えておられるのですよ。

 問われているのは、こういう市街戦という形でファルージャの街に2万人の兵力を投入して、そして攻撃をすることがいいことかどうかが問われているんですよ。

 総理は「攻撃がある」ことを前提にして、それは攻撃があることを前提にすれば失敗するのは困る、そりゃ、そうなるでしょう。しかし、攻撃そのものが問われているんです。

 そして、総理はイラク暫定政府のアラウィ首相の発言を引用されますが、しかし、一方で大統領は何といっていますか?

 大統領は、ファルージャをこういう形で攻撃することは、「馬の上にとまっているハエを拳銃で撃ち落とすようなものだ。馬は死んでしまう。ハエは逃げる。」
 現実に今、そうなりつつあるじゃありませんか。テロリストグループはもう既に逃げている、そういう報道があるじゃないですか。つまり、こういうやり方が本当に良かったのかどうか、そのことが、問われているんです。わたくしは、そのことを申し上げているんです。


◆記事4:議事録続き、自衛隊のイラク派遣に関して

岡田代表:そこで、自衛隊のサマワにおける活動について、総理は「サマワは『非戦闘地域』である」と云われました。「非戦闘地域である」と断定された、その根拠は何なのでしょうか。

小泉首相: 根拠といえば、「戦闘が行われていない」だからこそ「非戦闘地域」である。

岡田代表: じゃ、総理、お訊ねしますが、その議論の前提としてイラク復興支援特別措置法における「非戦闘地域」の定義を言ってください。

小泉首相:イラク特措法に関して言え、と。法律上。ということになればですね、「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域」なんです

岡田代表:私は、イラク特措法における「非戦闘地域」の定義を言ってくれ、といったんです。

小泉首相:それは、定義は文書を持ってくればすぐに言えますよ。でも、党首討論ですから、考え方を言っているんです。私はイラク特措法というのは「自衛隊が活動するところが『非戦闘地域』である」これが、イラク特措法の趣旨なんだということです。

岡田代表: 総理、この問題については、私は前に一度総理に官邸で申し上げたことがあるんですよ。

「非戦闘地域」の定義は、「現に戦闘行為が行われておらず」、ここまでいいですね?「かつ、そこで実施される活動の期間を通じて」つまり、1年間です。「戦闘行為が行われることがないと認められる地域」なんです。

 ですから、私が総理に訊いたのは、これから一年間、サマワにおいて戦闘行為は行われない、と、そういうふうに言う根拠は何ですか、と訊いているんです。どうです?


小泉首相: それは将来のことを100%見通すことはできません。「非戦闘地域」でなくなった場合には、これは、自衛隊は、特措法に基づいて、撤退しなけりゃならない。しかし、「特措法上の定義について何か」と問われたから、「自衛隊の活動している地域は非戦闘地域である」これは、法律の趣旨なんだと。将来、「組織的、計画的、継続的に戦闘が行われるかどうか」これは将来、100%いつ、どうなるか、断言することは出来ません。しかし、はっきり申し上げますが、「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域なんだ」これがこの法律の趣旨です。
岡田代表: まあ、まともに議論する気が段々無くなっていくんですが、総理ね。このイラク特措法の中で「非戦闘地域」について敢えて「将来戦闘行為が行われることが無いと認められる地域」と書き込んだのには、非常に思い意味があるんですよ。

 そして、この定義は政府がお作りになったんですよ。総理がお作りになったんですよ。さっき総理は今戦闘行為が行われていないと言われましたが、しかし、本当にこれから一年間、新たに、自衛隊が12月14日以降派遣されて、1年間戦闘行為が行われない、という説明が総理はできなかったじゃなですか。そうであれば、これはやっぱり、法律上「非戦闘地域」と言えないのです。

 だから、私達は、12月14日以降、引き続き自衛隊をイラクに派遣することには、法律上の問題がある、といっているんです。そして、この法律のこの部分は憲法につながる話ですから。憲法上の疑義もある、そのことを申し上げているわけです。

 それでは、もう一つ申し上げたいと思いますが、自衛隊員の皆さんの安全の問題です。時間もないのでまとめて申し上げますが、まず、8回にわたる迫撃砲又はロケット砲の攻撃がありました。そして、一番最近のロケット砲は鉄製のコンテナを貫通するほどの危険な状態だったということを言っておきます。
 同時に今まで自衛隊を守っていたオランダ軍が来年3月15日をもってサマワ又はムサンナ州から撤退する可能性が高い。そのあと、どうするのでしょうか。一体誰が自衛隊を守るのでしょうか?(後略)。


◆コメント1:ファルージャ総攻撃に関して。既に主たる目標は既に逃げたというのに・・。
 

 ファルージャ総攻撃を行うのは、ここにいわゆる反米武装勢力の中でも最も凶悪なザルカウィ派の拠点になっているからだという理由によるのだが、もともとはファルージャが特別に凶悪な街なのではなく、今でも、30万人の一般人が暮らしているところなのである。

 そのなかに、テロリストグループが潜んでいるからと言って、街全体を2万人の兵力で囲んで総攻撃を加えている。どこにテロリストがいるか、正確には分かっていないので、無茶苦茶に町中を砲撃、銃撃している。

 しかし、ファルージャ総攻撃が行われることは、遙か離れた日本の一般新聞にも何日も前から載っていたほど知れ渡った情報である。ザルカウィ派が知らない訳が無いし、おめおめと捕まるわけがない。案の定、記事1では、すでにザルカウィ派は逃亡した後だという。それにもかかわらず、米国のラムズフェルドはファルージャが全滅するまで攻撃するようなことを言っている。無駄ではないか。これ以上のファルージャ攻撃は一般人を殺戮することを目的としている、と見なされても、抗弁できまい。


◆日本の新聞は、肝心な時に現地の悲惨な写真を載せないな。

 

 日本の新聞はいつもロイターやAPの写真を載せているくせに、こういう時にはどうして、現地の写真を載せないのだろうか。もっとも、今のファルージャには西側のマスコミは英国のThe Times(アメリカの雑誌のTimeではない)の記者しかいないらしい。それでもアルジャジーラの英語版はインターネットですぐにチェックできる。

 この画面を一目見れば分かるだろう。子供が殺されている。'Scores of civilians' killed in Falluja(ファルージャで市民の死者多数)という見出しである。

 記事は、9歳の男の子が銃弾に斃れ、血を流しながら死んでいくのを、父親は、ただ見ていることしかできなかった。通りでは銃撃戦が繰り広げられている上、テロリストが怪我の治療を受けられないようにするために、米国軍がファルージャの病院を占拠して、誰も入れないようにしているからだ、という。何という残虐な行為であろうか。

 繰り返すが、ザルカウィ派が逃げてしまったことは、既にほぼ明らかである。戦闘員でない、一般市民を殺傷することをテロリズムというのだ。従って、今やファルージャでは、米軍自身が「テロリスト」になっているのだ。

 記事3を読んで頂ければ分かるが、今日の党首討論で、小泉首相は、「ファルージャ攻撃が成功しなければならない、失敗しても良いと言えるか?」などと、例によって的はずれの頓珍漢な答弁をしているが、民主党の岡田代表がいうとおりで、この作戦自体が、人道上問題である。

 平和国家を標榜する日本の宰相が、イラクの一般市民が殺されている、今回の攻撃計画を肯定するべきではない。


◆コメント2:国会答弁を読むと、小泉首相の非論理性がよく分かる。

 

 衆議院のホームページをみると、審議の模様がオン・デマンドで見られる衆議院TVというセクションがあり、記事3と記事4は今日の党首討論を私が文字に起こしたものである。いずれ、議事録として、衆議院のサイトに掲載されるが、時間がかかる。待っていられないので自分で文字にしたのである。プロの仕事ではないので、多少、読みにくいかも知れないが、首相の発言を活字で一字一句確認すると、下手なマンガやドラマより、余程面白い。

 「自衛隊が活動するのが非戦闘地域、これが、この法律の趣旨」というのはすごい。この人の頭はどういう構造なのであろうか。

 また、岡田代表が指摘しているとおり、イラク復興支援特別措置法は、政府与党が強行採決で成立させた法律であり、そこでは、自衛隊が活動するのは、「現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域、と規定しているのにもかかわらず、小泉首相は、「将来何が起きるかはわからない」と自分で作った法律に根本的な問題があることを自ら認めている。しかも、そのことに気が付いていない。

 私は、過去にこの日記で何度となく、小泉純一郎内閣総理大臣は論理的思考が出来ない人だと書いたが、その意味がおわかり頂けるのではないかと思う。論理が無く情緒的な選択で政策を決定するから、こういう問題(自衛隊を派遣してしまい、引っ込みが付かない。現地はますます危険になっている)が生ずるのである。


# by j6ngt | 2004-11-10 22:42 | ニュース

<日朝実務者協議>被害者の家族会メンバーが街頭で救出訴え

<日朝実務者協議>被害者の家族会メンバーが街頭で救出訴え 9日から始まった日朝実務者協議に絡み、拉致被害者の家族会メンバーらが同日、東京・銀座などで「もう我慢の限界だ!拉致被害者全員の救出を!」と書かれた横断幕を手に、被害者全員の救出を訴えた。家族会代表の横田滋さんは「進展がなければ経済制裁も含め、政府は強い姿勢で臨まなければいけない」と声を張り上げた。(毎日新聞) - 11月9日19時39分更新

 我々は、北朝鮮による日本人拉致事件に関して、勿論義憤を抱いているが、はっきり言えば、「たまに思い出す」程度だ。

 しかし、横田めぐみさんのご両親をはじめ、拉致被害者の家族の方々は、この数十年、一日たりとも忘れたことなどないわけで、事実横田さんご夫妻は、旅行はおろか、外食することもまれだという。いつ、めぐみさんから連絡があるか、わからない、というのが、その理由である。


日本海沿岸の人々は何十年も前から、北朝鮮による、日本人拉致を知っていたし、日本政府も公式には知らないことになっているけれども、知らなかったはずが無いのに、四半世紀に亘りこの問題を放置し、漸く、一昨年、北朝鮮が拉致の事実認めたら、とりあえず5人を帰国させて、今年になって、その家族が日本に移住した。
 横田めぐみさん他の拉致被害者に対して、どうしてもっと真剣に取り組まないのか。

 韓国に亡命した元北朝鮮の特殊工作員安明進(アン・ミョンジュン)という人物は、北朝鮮拉致工作員という本の中で、北朝鮮が日本人を拉致するときのやり方などについて、驚くほど詳細に語るとともに、確かに、横田めぐみさんを見たと証言している(それは、北朝鮮が、めぐみさんが死亡した、と説明している時期よりも後なのである)。

 当然非公式に外務省の役人は安明進氏に会っていろいろと国民に公表していない事実を知っているはずだ。我々は知らなくてもいいから、横田さんのご両親に真っ先に教えて差し上げるべきだろう。

 拉致被害者家族が今日の集会で訴えたとおり、全ての被害者を日本に帰すまでは、米一粒たりとて、援助しないと、どうして強気になれないのか。ミサイルなんて簡単に打って来やしない。金正日は日本からの米とカネがのどから手が出るほど欲しいのだから。北朝鮮の国力なんて、日本の200分の1しかない。そんな国にまでナメられてはいかん。
# by j6ngt | 2004-11-10 01:46

ファルージャ情勢緊迫

◆記事1:ファルージャ西部に突入 米軍、交通遮断し空爆

 【バグダッド8日共同】AP通信によると、イラク駐留米軍は8日未明、中部ファルージャの西部にある同市の主要病院と、ユーフラテス川に架かる2本の橋に部隊を突入させ占拠した。武装勢力掃討のための大規模なファルージャ制圧作戦を始めた可能性もある。

 ファルージャは米イラク両国部隊が包囲し、同市南部では断続的に砲撃も実施している。郊外の住民によると、同市北部一帯でも7日夜、激しい空爆や砲撃音が絶え間なく聞こえた。米軍はイラク暫定政府が7日発表した非常事態宣言に基づき、交通を遮断して町を孤立させた。

 米軍が占拠した病院の院長は「米軍の病院支配は正しくない。抵抗勢力への医療支援を止めようとしている。彼らは病院が誰のものでもないということが分かっていない」と批判した。(共同通信) - 11月8日12時27分更新


◆記事2:イラク政府、60日間の非常事態宣言…治安悪化で

 【カイロ=岡本道郎】イラク暫定政府は7日、北部クルド地域を除くイラク全土を対象に、初の非常事態宣言を発令した。期間は60日間。

 中部ファルージャの武装勢力壊滅を目指した米・イラク軍の大規模軍事作戦開始が迫る中、不測事態の防止を図るとともに、武装勢力側が最近、イスラム教スンニ派三角地帯やバグダッド周辺など各地で攻勢に出、6、7の両日だけで50人以上の死者が出るなど治安状況が極めて深刻な事態に陥っていることに対応したものと見られる。(読売新聞) - 11月8日1時39分更新

 非常事態宣言は、また、暫定政府として、強権発動によってでも来年1月の国民議会選挙を予定通り実施するとの不退転の決意を、内外に強く示したものと言える。


◆記事3:サマワも厳戒態勢=テロ活発化懸念、検問強化-陸自新たな不安材料・非常事態宣言

 【サマワ8日時事】イラク暫定政府がクルド人自治区を除くイラク全土に非常事態宣言を出した7日、陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワでは外部武装勢力の侵入を防ぐために、警察と国家保安隊が協力して検問の強化を始めた。サマワ市内はイラク警察が、サマワと外部を結ぶ郊外の道路は国家保安隊が受け持ち、厳戒態勢を敷いた。

 現地治安当局は、米軍が中部ファルージャで大規模制圧作戦に踏み切った場合、反発するイスラム教スンニ派や旧政権残党の武装勢力が、暫定政権が支持されているサマワで、多数派のシーア派や自衛隊など多国籍軍へのテロを活発化させることを懸念。陸自派遣部隊も新たな治安の不安材料を抱えた形で、これまで以上に宿営地への砲撃や移動中の警備強化を強いられる。 (時事通信) - 11月8日7時0分更新


◆記事4:サマワ、非戦闘地域との認識に変わりない=首相


 [東京 8日 ロイター] 小泉首相は、イラク暫定政府が非常事態宣言を発令したことを受けて、陸上自衛隊が活動するイラク南部サマワの治安情勢について、非戦闘地域であるとの認識に変わりない、と述べた。 首相官邸で記者団に対して述べた。 非常事態宣言を受けたイラクの治安情勢について小泉首相は、「(来年)1月の選挙を実現させようというイラク政府と、それをなんとか妨害したいテロリストのせめぎ合いだろう」との認識を示した。


◆コメント:米軍の武力行使は、明白な違法行為なのに、これを止めることができない国際社会。

 第2次大戦後、国連が組織されて、国連憲章が制定されたことにより、戦争放棄を謳った憲法第9条を持つ日本だけではなく、全ての国(厳密には国連加盟国)が武力行使を行うことは、原則として禁止されている。

 武力行使の違法性が阻却されるのは、他国の侵略を受けて、個別的自衛権を発動する場合(個人になぞらえれば、正当防衛)、そして、国連安全保障理事会が法的な手続きにのっとり、紛争地域への多国籍軍の派遣を決定した場合、の2つしかない。

 昨年3月20日に米国がイラクに対して戦争を始めた時には、この2つのうち、どちらにも該当していなかった。大量破壊兵器の有無は関係がない。結果的には大量破壊兵器はイラクで見つからなかったわけだが、たとえ、当時、イラクが大量破壊兵器を持っていたとしても、それが自動的に、国連の決議も経ずに、アメリカによる単独行動を許すものではなかった。 これは、私の主観的な解釈ではない。客観的、論理的思考から必然的に導かれる結論である。

 以下は、私の主観である。アメリカの責任は、一言に集約させるならば、イラクに侵略して世界を混乱させていること、世界に暴力を行使しやすい「ムード」を創ってしまったこと(世界中でテロが増えているという意味だ)である。その罪は言葉で言い表せないぐらい重大である。それが全く分かっていないジョージ・ブッシュがあと4年も大統領を続けるのかと思うと、暗澹たる気持ちにならざるを得ない。

 私の所感は以上であるが、国際社会、具体的には国連安保理は何もしないのか。開催すらしないのか。開催して、米国に対して武力行使停止を求める決議をするのが、本来有るべき姿だが、アメリカが拒否権を発動することはほぼ100%明らかだから、無駄だから、開催しない、ということでは、安保理の存在意義がない。あの常任理事国の拒否権というのは、廃止した方が良い。国連に加盟する150を超える国の殆どが賛成していても、常任理事国が1国でも拒否権を発動すれば、どうしようもないというのは、明らかに、人間の自然な道義感に反している。


◆コメント:「非戦闘地域」か「戦闘地域」かというレトリックの問題ではない。

 自衛隊のイラクでの活動地域は「非戦闘地域」に限られているから、小泉首相は躍起になって非戦闘地域ではない。という。これには、役人の入れ知恵が有って、「戦闘」とは主権を持つ「国家」又は「国家に準ずる主体」同士の継続的な交戦状態を意味する、というのである。

 しかし、今はそういう言葉遊びをしている場合ではないのではないか。イラク暫定政権が国家非常事態を発動して、アメリカとこれに抵抗する反武装勢力が、ベトナム戦争以来の悲惨な市街戦を始めようとしている。
 そういう場所に、日本の防衛のために組織された自衛隊がいることは、間違っている。

 イラク人は、謂わば、全員反米勢力だと思う。たまたま、今は、スンニー派で、武器を持って、ファルージャにいる勢力だけを「反米武装勢力」と呼んでいるが、一般のイラク人も、いい加減、アメリカ人や外国の軍隊がいることに腹を立てて、気が立っている。日本人が標的になりうることは、先日殺された、香田氏が教えてくれたばかりではないか。
 彼らは、死ぬ気で突っ込んでくる。日本の自衛隊は法律上、こちらからは攻撃できないのだ。自爆テロがつっこんできたら、まず、つっこませておいて、こちらに被害が出てからではなければ、武器を使用して応戦できない。また、日本の自衛隊は実戦経験などないのだから、どのようなパニックに陥るかもわからない。そんな危険な状態なところで、人道支援活動も無いだろう。撤収するべきである。

# by j6ngt | 2004-11-08 21:58 | ニュース