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郵政民営化の詭弁を検証する。(衆院選前解説シリーズ1)

◆郵貯・簡保の何が問題なのか。

 

 国民が郵便貯金に預けたお金、簡易保険の掛け金として払ったお金。それが350兆円あるわけです。

 民間金融機関、つまり、銀行ならば、預かった預金を、その預金につける利息よりも高い利率で、企業などに融資(貸し出し)をして、その金利の差(利ざや)で儲けます。

 また、銀行同士で短期間のお金の貸し借りをしたり、株式、外国為替、債券のディーリングを行って、収益を上げました。

 株でも、為替でも、債券でも、安いところで買って、値上がりしたところで得れば、差益が出ます。

 しかし、これは、一歩間違えば大損します。かなり大きなリスクがあります。専門家がいないとできません。

 郵便局や簡易保険には、そのような業務は認められていませんでした。

 とはいっても、何らかの利益を上げないと、貯金に利息を付けることが出来ません。

 そこで考え出されたのが、財政投融資という制度です。



 郵便局や簡保が集めた350兆円は、旧大蔵省の資金運用部という所にそのまま預けます。

 こうなったら、大蔵役人のやりたい放題です。民間企業のように、株主総会があるわけではないので、どのように350兆円を運用したか、誰にも見えません。

 殆どは、今や巨額の赤字を抱える道路公団とか、住宅公団など「特殊法人」へ貸し出されていました。

 こういうところに、カネを貸して、恩をうっておけば、大蔵役人は道路公団とか住宅公団に天下りができます。

 ところが、道路公団というのは、構造的に儲からないので、今や40兆円ものお金が返してもらえません。

 くりかえすと、

 

国民→郵貯・簡保→大蔵省の資金運用部→特殊法人(道路公団など)→大赤字


 が当たり前と思われていました。

 また、郵貯はご存じのように、小泉政権になってからどんどん発行される赤字国債(税金では予算がたりないから、債券というものを発行して、借金をすることです)の最大の買い手です。

 郵貯がいくらでも引き受けますから、国の借金はみるみる間にふくれあがり、今や700兆円という、気の遠くなるような金額になりました。


◆2001年に制度改革が行われ、郵貯は、財務省にお金を預ける(預託する)ことが禁じられました。

 

 何故なら、大蔵役人に郵貯・簡保のカネを預けると、無駄にしてしまうからです。

 もともと国民がつましい生活を切りつめてやっと預けた大切なお金を、とても返してもらえそうにない、道路公団などに貸し付けてしまう。これは大問題だ、と言うわけです。

 こういう経緯があり、2001年、制度改革が行われ、建前上、郵便貯金は自分で資金の運用方法を考えて、もうけを出さなければいけないことになったのです。

 また、道路公団などの特殊法人は、「財投機関債」という債券を発行して、金融市場から、自分で道路を造るのに必要なお金を調達しなければならなくなったのです。


◆しかし、実態は変りませんでした。

 

 2001年から、郵貯や簡保に、国民から預かった350億円を上手く運用して、自分で利益を出せといっても、そんな仕事を経験した人は郵便局にはいませんから、むりな話だったのです。

 また、特殊法人(道路公団など)も大赤字ですから、そんなところが「財投機関債」(国の保障が付いていないのです)を発行したって、誰も買いません。
 特殊法人から見れば困ったことに、大蔵省資金運用部と言うところは最早、廃止になりましたから、特殊法人は喉から手が出るほど欲しい、郵貯・簡保の資金を借りることが出来ないのです。


◆財投債というインチキが始まりました。

 

 このような状況の下で、財投債というものが出来ました。

 これが、ひどいんです。

 どういう事かというと、自分でお金を調達出来ない特殊法人(道路公団など、です)に代わって、新たに財投債という国債を政府が発行して、郵貯・簡保に引き受けさせましたのです。

 そして、郵貯は国に代金を支払いますね?国はその資金を結局、また特殊法人に融資する、という措置が取られるようになりました。

 この仕組みは、民営化しても残るでしょうね。

 何故なら、先ほどのべたとおり、郵貯簡保には、融資とか、市場での投資、投機を通じて利益を出す専門家がいないからです。


◆小泉さんの倒錯的論理。

 

 小泉純一郎内閣総理大臣というひとは、しばしば、常人には到底理解できない論理を展開します。

 今回も同様です。

  国の赤字がどんどん植えるのは、郵便局がいくらでも赤字国債を引き受けるからだ、というのです。

 郵貯・簡保を民営化すれば、今よりも効率の良い資金運用方法を選択するだろうから、赤字国債を引き受けなくなる。引き受ける人がいなくなれば、国債の発行残高も減るだろう、というのです。

 無茶苦茶です。国債を郵貯に無理に押しつける、そういう資金の流れを作ったのは、他ならぬ小泉政権そのものなのです。

 それを、国債を買う郵便局があるから、赤字国債をつい、発行してしまうのだ、と言っているのです。

 違うでしょう?原因と結果を逆にして誤魔化している

 それは、財政再建を標榜している小泉内閣が、借金を減らす方法に真面目に取り組まなかったからです。

 こういうのを、古来、日本語では「盗人猛々しい(ぬすっとたけだけしい)」というのです。

 他の問題点に関しては、また、後日書きたいと思います。


by j6ngt | 2005-08-31 00:50 | 郵政民営化

記者クラブでの党首討論要旨

◆背景説明:本日、日本記者クラブにおいて行われた、党首討論(記者との質疑応答)の記録である。

 

 本日、日本記者クラブにおいて、各政党党首が一堂に会して、党首討論が行われた。

 こういう大事なことは、出来るだけ多くの有権者が見ることが出来る、週末に行うか、平日なら、夜に行うべきだ。

 月曜日の午後など、有権者の中心である勤め人は見ることが出来ない。勿論、各家庭のDVDだか、HDDレコーダに録画は可能だが、討論会が行われること自体を知らなかった人も多いだろう。

 そこで、討論要旨をウェブサイトに載せている新聞は無いか、捜してみた(夕刊には絶対間に合わない。明日の朝刊には載るだろう)が、全国紙は根性ないね。どの社も載せていない。
 色々探したら、本来、外為や金利や株のディーラー向けの情報を提供している、ブルームバーグという会社のWebサイトだけが、【衆院選05】6党首激突、討論・質疑応答の詳報-日本記者クラブ を掲載していた。

 一応リンクを貼ったけれども、ご承知の通り、ニュースサイトの記事は数日から数週間で無くなってしまう。

 そこで、私は、Blogないし、日記は「記録」という機能があるわけだから、自分で、保存しておくことにした。

 但し、全文は長すぎるし、党首討論そのものは、小泉首相が、例によって、すぐに話をすり替えて、はっきり言って余り討論になっていない。

 それよりも、討論の後に行われた、マスコミ各社と各党代表、特に、小泉首相との質疑応答が参考になると思うので、その部分を残すことにした。

 日頃は頼りないマスコミだが、今日は、歯に衣着せぬ、鋭い質問を小泉首相にぶつけており、なかなか、いい。

 興味を持たれた方は、上にリンクしたWebページをローカルに保存しておくことをお奨めする。なお、私のコメントは途中、青文字で記している。


◆【衆院選05】6党首、質疑応答の詳報-日本記者クラブ (抜粋)


 ◆【質疑応答】

 

【郵政解散】

――今回の解散は、参院で否決されて、衆院を解散した。議会制民主主義を否定するものだという意見がある。また郵政民営化の是非を問う国民投票と位置付けているようだが、解散権の乱用ではないか。(全くその通り。国政選挙たる衆議院選挙を、郵政民営化の是非を問う選挙だ、という小泉首相は、議院内閣制が分かっていない。)

首相:「これは異例といえば異例だと思う。1法案に対して、小泉内閣の改革の本丸だと位置付けてきた。だからこの重要性はよく理解していただけたと思っている。法案が否決されるということは、小泉内閣に対する不信任と同じだと申し上げてきた。その中で、衆参の意見が違ったが、結果的に国会は否定した。郵政民営化は必要ないと」

首相:「そこで異例中の異例だと思うが、解散に踏み込んで国民に聞いてみたいと。これは憲法にのっとって手続きしているわけだ。野党は衆院で内閣不信任案を提出した。そういうことから、これは私は憲法にのっとって正式な手続きを踏んで解散した。憲法違反ではない。あとは国民がどう判断するかだ」

――参院不要論があるが。

首相:「これは2院制の中で、いつも議論がある。衆院と同じような結論を出すなら参院はいらないのではないか。有害だという議論がある。これは今後、多くの方が政治的な議論されると思うが、今回は衆院選で国民が郵政民営化は必要だという結論を出せば、参院も今までの対応と違ってくると思う」

――小泉さんの努力があまり見えず、最初から解散に踏み切りたかったのではないかという観測もあったが。

首相:「私は解散よりも郵政法案の成立を心から望んでいた。まさか衆院で通過したものが、参院で与党が野党と一緒になって廃案にすることは、想定していなかったわけだ。こういうことはまさかしないだろうと。しかししてしまった。その時は私は前から、解散という言葉を使わなくても不信任だという覚悟でやっていると。それを真に受けなかったのだろう」(だから、最初から解散するつもりだったのかどうかを訊いているのだよ。質問に答えろ。)


【郵政民営化 】

――自民党内で反対が出たのは、自らの責任問題ではないか。理解を求める努力が足りなかったのではないか。(そうだ。行政府たる内閣が、議会に政策を理解して貰って、信任を得るのが議院内閣制というものだ)

首相:「自民党も野党も全部反対の法案だった。本音は民営化反対なんだ。だからまさに政治分野の改革だと思っている。なぜ『民間にできることは民間に』と言いながら、与野党が郵政関係の公務員の要請ばかりに振り回されている。公務員が選挙運動、選挙支援してくれてありがたいという構造を直さないといけない。しかし国民全体の利益はどうなるのかと憤りを常々持っていた。これは経済問題のみならず政治改革だ。本当に国民が公務員の既得権を守るという構造を許していていいのかということを白日の下にさらして国民の意見を聴きたいから解散に踏み切った」(つまり、脈々と続いてきた、特定郵便局長に支持された旧田中派をぶちこわしたいというのが、小泉氏の郵政民営化の一つの大きな動機だが、それを「国民のため」と称するのは偽善なのだ)

――衆院選後に与党が過半数を維持し、特別国会で郵政法案の審議が始まったとしても、構成が変わっていない参院でまた法案が否決されたら総辞職するのか、それともまた解散するのか。

首相:「まだ選挙の結果は分かっていない」

――首相の基本的な民主主義観をうかがっている。首相自身が納得するまで解散をし続けるのか。 (いいぞ。そのとおりだ。小泉首相は議会は首相に必ず賛成するべきものと考えているフシがある。それは専制君主と変わりがない。)

首相:「私はね、人によっては変人以上と言う人がいるが、自分では穏やかな常識人だと思っている。自民党、公明党に過半数の議席を与えてもらえれば、参院で反対していた自民党議員のかなりの部分が賛成に回ってくれると確信している」(そんなこと、分からないじゃないか。何ら合理的根拠がない)

「民主党だって郵政民営化に変わってきたから、自民党も変わっていくと思う」

岡田氏:「郵政民営化法案には反対だ」

――小泉首相の任期は2006年9月まであと1年余りしかないが、衆院選は今後4年間の政権運営をゆだねることになる。小泉首相は政治責任を担えるのか。あと1年しか命のない人が解散した。 (同感である。私も8月24日の日記で全く同じ疑問を呈した)。

首相:「それは議院内閣制だし、党の公約だ。今回初めて自民党の候補が郵政民営化に賛成だ。私の任期は来年9月までだ。それまでに民営化法案を成立させたい。党の公約だから、後に引き継ぎは党の公約に基づいてやってもらう。あと1年間精一杯やる」 (自分が精一杯やるかどうかじゃなくて、お前さんが辞めた後、同じ政策が継承される保障はどこにあるのか?と訊いているのだ)

――そうであるなら、ポスト小泉の方向性を示すべきではないか。 (賛成。)

首相:「イメージはずいぶん出ているのではないか。相当、ポスト小泉を狙っている人がいるのではないか。あと1年、私がこれで国民から支持を得て過半数の議席を得れば、1年の間に今、名前が挙がっている人たちから『われこそは次の首相だ』という分かりやすい姿勢を国民に示してくるだろう」 (全部、小泉首相個人の希望的観測であり、何の約束にもなっていない)

――首相が解散したことをめぐり、世論調査では支持が高いことをどう見ているのか。(大衆は、ものを考えないということだ)

岡田氏:「私は順序は違うと思うが、しかし解散の権限は首相にあるから異論を唱えるものではない」

志位氏:「今の議論を聞いていて、小泉首相は郵政民営化一本に絞って他のことは一切言わない。そして郵政民営化法案を9月の国会に通すといっている。そうなると9月までの公約しか言わず、あとは全部白紙委任で任せろというものだ。それは民主主義を壊す独裁政治だ」

福島氏:「わたしは争点隠しだと思う。郵政民営化はもちろん重要な問題だが、この4年4カ月の小泉政治の下では雇用、福祉、平和、靖国、外交の問題を前々争点にしないのは無責任だ」

――郵政民営化こそが改革の本丸だと主張しているが、自民党のマニフェスト(政権公約)で、例えば戦略的外交ができないという構成になっているが、これはいくらなんでもこじつけではないか。
首相:「郵政民営化は経済活性化のためにある手段だ。世界のグローバル化、変化に対応できるような態勢を取っていくということだ。経済発展なしに戦略的な外交も進んでいかないと取っていただければいいのではないか」(郵貯・簡保は国債を引き受けるために、340兆円の大部分を使ってしまっている。民営化しても、手持ちのカネがない。カネを作ろうとしたら、国債を売るしかない。そんなことをしたら、国債価格が暴落、金利が急騰して、景気にはマイナス要因にしかならない。経済活性化にはつながらない。仮に、奇跡が起きて経済が活性化したところで、戦略的外交とは何を意味するのか。また、それと郵便、又は、郵貯・簡保がどのように関係するのか、全く、不明である。)

――自公が過半数を取ったとしても、参院自民党の構成は変わらない。郵政法案に反対した参院の自民党議員の態度が変わるだろうという期待だけなのか。法案を修正して参院議員に協力を求めるのか。何か手はあるのか。

首相:「反対した参院の方々の中には、中身以前の問題だとか、私のやりかたが気にくわないとか、解散など、できっこないとか、いろいろな方がいた。そのなかで郵政民営化は国民が反対していると思って反対している方もいると思う。今回、郵政民営化が最大の争点になった。国民の大多数が郵政民営化賛成という判断を下してくれれば、『ああ、そうだったのか』と考え直してくれる方がかなりいると思っている。だから法案の中身は基本的に変えない。そして支援、協力を得られるように努力していく」

――過半数の241ぎりぎりでも大多数の国民が賛成したと言えるか。

首相:「それはそうだ。国民の大多数が賛成ということだ」 (どうして、過半数ぎりぎり=国民の大多数の賛成になるんだよ?)

――自公が過半数を獲得した場合、小泉内閣の郵政民営化に対する国民の信任が下されたと受け止めるか。それともそう考えないのか。

岡田氏:「基本的には考えていない。つまり今までの小泉さんの説明の仕方は、すべて郵政問題が解決したらバラ色の日本になるという説明だ。日本国民が真に受けているとは思わないが、真実を語っていない。どこが行財政改革になるのかを一つひとつ説明すべきだ。国民が幻覚に陥って選挙に勝ったとしても、賛成しようと思わない。選挙で勝ったからといって、国民の立場に立ってあの法案には信念を持って反対だ」

――基本的に郵貯・簡保の民営化に反対ではないという立場だから、どういう民営化がいいのかを議論する機関を設置する考えはあるか。

岡田氏:「まず今の質問は、われわれが政権を取れないことを前提にしている。私は政権を取るつもりでいる。今の公社は中期計画が4年だ。あと2年残している。この間にきちんと議論して、方向性を決めるべきだ。そして縮小はそれと並行して段階的にやっていくという考え方だ」

岡田氏:「当面2年間は公社のままだ。その後に方向性を決めて、民営化についての良いプランができれば民営化に向かって進めていけばいい。直ちに民営化すればいいということではない。政府案も10年後だ」

――簡保・郵貯の規模を縮小していくということだが、赤字経営になる可能性が高いのではないか。その場合、人員削減と赤字補てんのどちらを取るのか?

岡田氏:「郵便事業については国が責任を持つべきだ。ただどの程度までやるかは納税者の判断だ。郵貯・簡保については税金を投入すべきではないと考えている。規模を縮小するといっても、今までは大き過ぎる。非常に肥大化していたものを適正規模にする。その過程で、仮に成り立たないということであれば、それは身の丈にあった形に持っていかなければならない」

――郵便局を減らしてはならないという方針のようだが、先細りは避けられないのではないか。そうなると巨額な資金投入が必要ではないか。

志位氏:「2016年に完全民営化が終わった時点の試算だが、民営化した場合には郵貯銀行が600億円の赤字になる。しかし公社のままなら1300億円の黒字だ。結局、郵政民営化すると、預金保険料を払わなければならない。預金保険料を郵貯に払わせるというのは、無理やり赤字にするということだ。(現状で)十分やっていけると思う。米国や日本の大銀行が『郵便局は邪魔だから潰してしまえ』という圧力によって動いているのが郵政民営化だ。それを一番一生懸命やっているのが小泉さんだ」


【刺客】

――首相は衆院選の党公認に関して非情な対応をして「刺客」問題が話題になっている。心は痛まなかったか。

首相:「いやぁ、私は綿貫先生の顔を見ると心が痛む。本来、30数年間、綿貫先輩は大学の先輩でもあるし当選回数も私より1期上。一番仲が良かった2人だ。おそらくどの他の国会議員よりも一緒に飯を食い、酒を飲み、歌を歌った。『肝胆相照らす』というような仲だった2人が、今、反対、賛成で敵味方で刺客騒ぎだ。政治は非情だと思っている」 (だから、何を言いたいんだよ?)

「しかし反対派だけだと国民に選択肢がないので、仕方なく賛成の候補者を出そうということだ。賛成のなかにも、程度によって自民党に戻ってもらおう、出て行ってもらおうとはできない。その意味で本当に心苦しかったが、反対の方は仕方ないということだ」 (イエスマンだけを周囲に置いて成功した指導者はいないのだよ。)

――新党は理想に燃えて新鮮な印象があるが、国民新党は新鮮味に欠け、政策もあまり具体的ではない。反小泉の気持ちは分かるが。

綿貫氏:「志を同じくしている人たちが今、やむを得無所属になっている。例えば小泉さんの言ったことに何でもはいというのではなく、ここは違うといえるような集団にならなければならない。今一番危ぐしているのは、昭和13 年の近衛内閣の時に、国家総動員法という重大な法律を国会が始まる前に閣議決定して政党にかけたものだから大反対になった。その時に『解散だ』と言ったものだから皆がおびえた。そこで委員会で付帯決議を付けて賛成、本会議も賛成となった。それが独裁選挙になって大東亜戦争になった。とてもよく似ていて非常に危ない」



【勝敗ライン】

――過半数の241議席を1議席でも割った場合は退陣するのか。

首相:「退陣する」 (よく覚えておきましょうね。この言葉)

岡田氏:「民主党政権ができなければ代表にとどまらない。目指すところは単独政権だ」

――民主党が単独過半数を取れなくても、国会の首相指名選挙まで代表を辞めずに岡田代表として首相指名選挙に臨むということか。

岡田氏:「もちろんそうだ。首班指名で、民主党以外からわざわざ岡田に投票するとう人を拒む必要はない。私は代表をただちに投げ出さない。(党内で)次の選挙が行われるから、そのときまで続ける」

――公明党はどんなことがあっても自民党と連立を組むのか。

神崎氏:「この選挙結果については、自民党とともに責任がある。自民党が去るのならわれわれも下野する」(そもそも政教分離に違反している。違憲だ。)

「われわれは自民党と連立政権を組んでいるわけだ。小泉さんが続投できない場合でも、連立は維持すると思う」


【自公選挙協力】

――小選挙区で比例とバーターできるのは、むしろ郵政反対派の方が多いなどと赤裸々に述べているが、選挙戦術を率直に述べ過ぎているのではないか。当選至上主義が自己目的化しているのではないか。このため選挙結果次第で民主党と組むという見方が出てきているが。

神崎氏:「郵政民営化の是非を問う選挙だと位置付けている。郵政民営化賛成の候補をできるだけ応援していく方針だ。実際、今まで推薦した数もかつてない規模を推薦している。自公で過半数を確保することに全力を挙げている。民主党と組むことはまったく考えていない。私どもは今の政治に責任を持っているし、自公でこの選挙で審判をいただくわけだ。その責任を感じてしっかり取り組んでいる」

――自民党は八代英太前衆院議員を比例代表候補とすることを見送ったようだが。

首相:「八代さんと私は親しいんだ。しかし親しいからといって、今まで障害者問題に熱心に取り組んできたから高い評価をしている。『できたら立候補を断念して協力してくれないか。いずれ郵政問題が片付けばまた一緒に協力できるのではないか』という話をしていた。しかし反対した方は公認しないということでご理解いただきたいということだ」 (この話は、私はどうでも良い)

――最初から約束はなかったということか。

首相:「ええ。『信頼関係を保っておこう。いずれ郵政問題が片付けばまた一緒に協力できるのではないか』という話をしているのであって、公認とはまた別の話だ」

【消費税など】

――消費税率アップを明言しないのは無責任だという指摘があったが、2007年度の抜本改革の時に、本当に消費税率を上げないで税制の抜本改革ができるのか。

首相:「2007年度というと来年暮れの税制改正になる。来年の税制改正は企業に対する課税と、個人所得に対する課税、あるいは利子配当など、いろんな現在の課税をどのように見直すかという議論が行われると思う。その時点で、社会保障制度と関連するし、財政再建をどうしていくかと。今のように国債依存度が40%も続くということはできないから、その段階で、財政再建、どのような税負担が望ましいかという議論が出てくると思う」

「しかし私は、今、財源が足りないから消費税を上げると言うと、歳出の見直しが緩んでしまう。私の役割は行財政改革をやることだ。首相在任中に財源が足りないから増税で賄うことはしない」

――向こう4年間を見越した選挙だから、首相も消費税に関する方針を示すべきではないか。

首相:「これは私が示すまでもなく、タブーを設けることなく、消費税、所得税、法人でも、全体的に議論してもらいたい」

――2007年度の時点で消費税率を引き上げないで住むことはあり得ないのではないか。

首相:「私は2007年は早いと思う。消費税(引き上げ)を仮にやりたいという人が出てきたとしても、07年(の引き上げ)は早いと思う」 (自分は辞めた後だから知ったことではないのだろう)


【靖国問題】

――日中、日韓関係は小泉首相の靖国神社参拝問題をめぐり、ことし靖国参拝する考えは変わらないのか。

首相:「これはどんな質問をされても適切に判断するとしか言いようがない。外交上、お互いの立場があるから、中国自身もよく分かってくれている。経緯などでああだ、こうだと言える問題ではない。私は日中関係がおかしいと言われるが、靖国神社に参拝しなければ中国との関係がうまくいくとは思っていない。30年、40年後に日本の戦没者に敬意を表することにいろいろ言われているが、(参拝を)やめればすべて2国間関係がうまくいくとは思っていない」

「日中交流、日韓交流は、かつてないほどあらゆる分野で交流が進んでいる。経済、文化、スポーツでもだ。その中で今後の日中、日韓友好を考えていくべきではないか。中国、韓国が『靖国神社参拝しないでくれ』と言って、そのようにして関係がうまくいくという問題でもない」

――靖国神社の問題は自然に発生したのではなくて、小泉首相が持ち出したから問題になっている。有権者としては、指導者が靖国を参拝するのかしないのかを見極めたいだろうと思う。この場で腹の内を話してはどうか。 (記者が正しい。)

首相:「これははっきり申し上げている。今も申し上げた通り、適切に判断する。私の実績を見ていただければ、どういう行動を取るかお分かりいただけるのではないか」 (適切に判断するのは、全ての職業人の常識。)

――必ずいくけれども時期は考えるということですね。

首相:「そういうことも言わない方がいい。外交だから中国当局もよく理解している」

――首相は就任時に8月15日に参拝すると表明した。これまで8月15日ではないが。 (2001年、小泉純一郎氏が首相に就任したときの公約には、「どのような反対があっても、必ず、8月15日に靖国神社に参拝する」という項目が、含まれていたのだ。)

首相「適切に判断した結果だ」 (だからさ。わざわざ「不適切に判断した」という奴はいないんだよ。)

(後略)。


◆コメント:小泉首相には言語はあるが、思想がない。

 

あまりにも長くなるので、途中で終わらせていただいたが、大体の様子は分かるでしょう。

 記者の質問に対して、ピタリと照準の合った答えが返ってこない。何だか訳の分からない言葉の羅列である。

 小泉純一郎内閣総理大臣には、言語はあっても、思想が無い。


by j6ngt | 2005-08-30 00:22 | 選挙

小泉首相が、郵政民営化にあれほどムキになる理由。

◆記事:<郵政法案>平沼赳夫前経産相に聞く (7月22日付毎日新聞) 「撃つ---郵政改革」シリーズ

 

 今まで自民党は何回か不祥事で危機にひんし、出て行った人もいたが、私は最後まで踏みとどまって党を立て直すのが一番いいと思ってやってきた。でも、最近の状況には愛想が尽きている。

 恫喝(どうかつ)で党議拘束をかけ、違反したからといって除名や除籍になるんなら、筋を通す政治家として名誉なことだ。

 解散になって無所属で戦うのも選択肢の一つだし、51人造反したわけですから、綿貫勉強会を続ける中で同憂の士が集まれば、新しい流れ(新党)になる。追加公認を期待してというさもしい根性じゃなくて、筋を通して、正々堂々と戦っていきたい。

 法案の内容もさることながら、50年培ってきた党内民主主義を破壊するようなことが繰り返されたら本当に恐ろしいことになる。私を行動に駆り立てた要素の半分以上はそういう思いです。今度の修正案はまず合同部会で審議して、その上で総務会にかけなきゃいけないのにいきなりでしょ。

 我々は何も党内抗争をしようというわけじゃない。私も郵政改革は必要だと思ってますよ。膨大な郵貯資金、簡保資金が、不必要な公共事業や特殊法人の事業に使われてきた。そういうのを正す理念で郵政公社化法ができて、4年間みっちりやってその時点で判断することになっているのに、折り返し地点で何でこんなに拙速にやるのか。

 米国から日本に毎年来ている年次改革要望書を見ると、最右翼に郵政の株式会社化が書いてある。

 345兆円の郵政資金は彼らにとって、のどから手が出るほど魅力的なものなんでしょう。

 何が小泉純一郎という政治家をここまで駆り立てているか、いろいろ想像すると、やはり米国との約束が一番じゃないかという気がしますよ。

 サミットの前に、特別委員会メンバーまで差し替え、恫喝の限りを尽くして通すなんて異常。選挙の結果、民主党と公明党が組んで政権取る可能性だってある。そういうところまで追い込んだ小泉さんの責任は本当に大きい。 (毎日新聞) - 7月21日19時25分更新


◆コメント:やっぱり、アメリカだったか。

 

 小泉首相に直接会ったことも無いので、その人格について、単なる印象から徒に、中傷めいたことは書くべきではない。

 しかし、私はどうしても気になっていたのだが、彼が郵政民営化を論ずるときのエネルギーは、明らかにバランス感覚を欠き、常軌を逸している。

 結局何も論理的説明は無い。おかしいな、とおもっていたら、やっぱりアメリカだった。ひどい話だ。


◆その話は、後で書くが、まず、郵便に関して。

 

 郵政民営化案では、郵政事業を、窓口サービス、郵便、郵貯、簡保に分けるという。

 民営化すれば、よりよいサービスを期待できるというが、たとえば、郵便に関して、今のサービスがそんなに「悪い」と感じている国民がいるだろうか?


◆郵便は全国の国民が等しく同等のサービスを受けられなければならないというのは、国際法の命ずるところでもあるのだ。

 

 1875年、スイスのベルンで発足した万国郵便連合(UPU=Universal Postal Union)という国連の機関があり、日本も加盟国である。

 この組織が定めた万国郵便条約では、

 「加盟国の国民は、だれもがひとしく、ユニバーサルサービス(全国普遍的なサービス)で同じような郵便サービスを受けられなければならない」と規定している。

 先日、東北の田舎を車で走ったが、どんな過疎地にも郵便局は存在する。つくづく感心した。

 尤も、その所為で、郵便事業は赤字なのだが、しかし、これは、赤字であるからこそ官(国)がやるべきなのではないかと思うのである。

 首相官邸サイトの郵政民営化パンフレットを読むと、民営化されても郵便局の数は減りませんとかいているが、郵便局が民営化されたら、民間会社になるのだから、その経営方針に国が介入することは、余程不祥事でもない限り、行うべきではない。

 民間会社にいちいち介入するのなら、日本は社会主義国だということになる。

 したがって、民営化されたら、間違いなく、不採算店は閉鎖される。

 これは、国際郵便条約に違反するのである。

 そもそも、国際法をもちだすまでもなく、あの広大な土地にポツンポツンと民家があるような地域で、一カ所しかない郵便局がなくなったら、本当に困るだろう。


◆小泉首相は、他人に反対されたり、人の意見を聞くのが大嫌いだそうだが、ひとりだけ、例外がいる。ジョージ・ブッシュだ。

 

 週刊ポスト7月22日号「変人・小泉純一郎の腹の底」という記事を読んだ。

 週刊誌だから、面白おかしく書きたがるのは百も承知だが、新聞記事などとクロスチェック(突合)してゆくと、真実の輪郭が見える。

 国税の査察なども、週刊誌は念入りにチェックしているのだ。

 話がそれたが、この記事は「小泉首相を十年間にわたり、最も身近で取材してきたジャーナリスト」、須田慎一郎氏が書いたものである。

 私が一番気になったのは、次の箇所。

 「良くも悪くも、小泉首相は他人の話に聞く耳を持っていない。意見されたり、反論されたりするのは苦手、というより、大嫌いだ。」

 と言う箇所。冗談じゃない。そんな人間を国家の指導者にしてはいけなかったのだ。これは我々国民の責任だ。

 しかし、私が見る限り、というか、多くの人がご存じのように、彼はアメリカに圧力をかけられたら、一も二も無く唯々諾々と従う。

 別の表現を用いるならば、彼はジョージ・ブッシュの忠実な家来であることに無上の喜びを感じるようだ(ブッシュはホワイトハウスで、小泉首相を、「小泉軍曹」と呼び、バカにしているそうだ。なんたる国辱。)


◆金融改革プロジェクトで、不良債権を減らすと騒ぎ出したのも、訪米直後から。

 

 2002年9月、小泉首相は911テロから1年目の追悼式に出席するために渡米した。

 そのとき、ブッシュは、小泉に、「日本の銀行の不良債権は、未だ随分あるようだな」(「なんとかしろよ」)と圧力をかけた。

 それからである。小泉首相が「景気が良くならないのは、銀行の不良債権があるため、銀行の新規貸し出しが行われず、必要な資金が企業に回らず、設備投資などが出来ないからだ」という、完全に間違った持論を展開し始め(どのように間違っているかは、ちょうど一年前の日記に書いたのでお読みいただきたい)たのは。

 そうはいっても、自分では金融政策など何も分からない小泉首相は、竹中金融相に丸投げした。

 竹中はプロジェクトチームを組織して、その意見を全面的に採用した。

 大銀行に金融庁が立て続けに検査に入り、これも不良債権、あれも不良債権、といって、立ち直りかけている企業への貸し出しまで無理矢理返済させて、多くの企業が潰れた。

 アメリカは小泉首相に何故このようなことを命じたかというと、これで、自己資本比率が足りない銀行には、公的資金を注入し、国有化し、財務体質を改善させて、もう一度、株式市場に上場したところを、自分の国(アメリカ)の所謂ハゲタカファンドに安く買わせ、株価が上がったところで売って、儲けさせることにあった。

 大もうけさせて貰ったアメリカのファンドは当然ブッシュさまさまとなり、選挙の時の資金源、かつ、集票マシーンとして使える。


◆郵貯・簡保を民営化する。340兆円を民間企業が管理するということは、アメリカのファンドに買われてしまうかも知れないと言うことだ。

 

 多少なりとも、日本経済に関心のあるサラリーマンなら、340兆円民営化、と聞いて、あの新生銀行の悪夢を思い浮かべるのではないか。

 今や新生銀行と呼ばれる旧長期信用銀行は経営破綻したときには、一時国有化されて、債権処理のために公的資金が8兆円も投じられた。

 その財源は我々の税金である。

 そして、それらの処理が終わった後に、日本政府は新生銀行を、リップルウッドという投資会社にわずか10億円で売却した。

 一度は上場廃止になった銀行が再び上場することが出来たのは、公的資金を8兆円も使って、財務体質が良くなったからだ。

 再上場直後に、リップルウッドは新生銀行の株を買い、短期間で値を上げた株を売却して、2000億円の儲けを出し、まだ、大量の株を保有していて、その含み益が7500億円もある。1兆円も儲かったのだ。

 もう一度整理すると、

 小泉政権は、日本国民の血税を8兆円も新生銀行に投じた。

 その新生銀行をたった、10億円で、リップルウッドに売った。

 10億円で新生銀行を買ったリップルウッドは、1兆円、儲かった。

 郵貯簡保に預けてあるのは公的資金とか言う人がいるが、あれは全て国民が預けた「民」のカネである。それは、今は国が預かっているから、アメリカと言えども買えない。

 しかし、欲しくて仕方がない。小泉首相は、そのアメリカの求めに応じようとしているのである。

 郵貯・簡保が民間企業になれば、株を買い占められたらおしまいだ。

 アメリカのファンドは新生銀行の時のような、しかも桁違いの大もうけの機会を狙っている。

 だから、ブッシュは小泉首相に郵政民営化を要求する。 冒頭の記事における平沼氏の発言はそういうことだ。


◆小泉首相は、日本などどうでもよい。アメリカの意向の方が大事なのだ。
 

 8月8日の小泉首相の記者会見鬼気迫るものがあり、大衆は一遍で騙された。
 しかし、勘違いしてはいけない。彼にとって、日本の未来など、知ったことではない。

 小泉首相は「自民党をぶっ壊す」としきりに言うが、本当にぶっ壊したいのは、日本国そのものなのではないだろうか。

 小泉首相は、日本国民の公共の福祉よりも、米国政権に可愛がられることの方が大事な人なのである。


by j6ngt | 2005-08-29 00:37 | 郵政民営化

道路公団民営化のいい加減さを見ると、郵政改革が真面目に検討されているとは思えない。

◆できるだけ、冷静、客観的に考えました。

 

 私は、何が何でも、小泉首相のあら探しをしたいわけではない。

 8月7日にも書いたが、個人的に、もしも、小泉首相と知遇を得たら(あり得ないが)、

 あの人も私も音楽好きだし、ロンドンに住んでいたことも共通している。 だから、雑談をしたら面白いおっさんだろうと思う。

 しかし、ある政治家を人間的に好きか嫌いかということと、彼(又は彼女)の政治的理念の評価は峻別しなければならぬ。

 だから、極力、冷静、客観的に考えてみた。
 その結果、やはり政策と、政治的姿勢に問題があると考えざるを得ない、という結論に達した。


◆衆議院が解散された、8月8日の演説をおぼえてますか?

 あのときに、小泉首相は「郵政民営化は、行財政改革の第一歩。」と叫んでいた。

 では、道路公団民営化はなんだったのか?

 今、日本には、「道路公団」が4つある。

 

  •  日本道路公団

  •  首都高速道路公団

  •  阪神高速道路公団

  •  本州四国連絡橋公団



 これが、10月1日から民営化される。

◆10月1日に発足する新会社の社長は、全員、旧道路公団幹部という、露骨さ。

 

上の四公団のうち、日本道路公団は3つに分割されるので、民営化後は6つの株式会社になる。

 民営化される、ということは、あたりまえだが、民間企業になることだ。

 だから、その会社を運営するのは民間人であり、お役人ではなくなる、と考えるのが普通の発想である。

 4月に新会社の「会長」は早々と発表された。彼らは民間から登用された。

 ところが、である。「社長」はすべて、民営化前の道路公団の経営陣がそのまま横滑りするのである。

 具体的には、

 


  •  東日本高速道路会社(東京)は日本道路公団理事の井上啓一氏(60)

  •  中日本高速道路会社(名古屋)は道路公団総合情報推進役の高橋文雄氏(57)

  •  西日本高速道路会社(大阪)は道路公団理事の奥田楯彦氏(60)

  •  首都高速道路公団の後継会社となる首都高速道路会社社長には首都公団理事長の橋本鋼太郎氏(64)

  •  阪神高速道路公団の後継会社である阪神高速道路会社社長には阪神公団理事長の木下博夫氏(62)

  •  本州四国連絡高速道路会社社長は本州四国連絡橋公団総裁の堀切民喜氏(73)


 
◆「郵政民営化は、行財政改革の第一歩。」と8月8日に小泉首相は叫んでいたが、道路公団民営化は何だったのか?

 

 上の人事を見ただけでも怪しい。

 長い間、土木建築業者と道路公団の役人の「談合」はほぼ公然の事実であったが、ちょうど1年前から、民営化を前に、これを放っておいてはいけない、というわけで(政治家も役人も、土建屋も本当に悪いとは思っていないと思うが)、鉄鋼製橋梁(橋梁とは「橋」のことです)談合事件で公正取引委員会などの捜査が入った。
 だが、こういうときの、常套手段で、一番偉い奴は「知らなかった」とシラを切り、中間管理職の課長級が逮捕される。

 所謂「トカゲの尻尾切り」である。それで済んだことにする。日本の悪習である。 



 会長は民間、しかも、道路建設と関係が深く、橋梁工事で問題となった、新日鐵や神戸製鋼所の出身。

 社長が道路公団出身。

 もの凄く、意地悪く言えば、会長と、社長で談合が可能である。


◆記事:高速道6社の会長予定者「談合しません」宣誓

 道路関係4公団民営化推進委員懇談会が23日あり、10月に発足する高速道路会社6社の会長就任予定者が出席し、橋梁(きょうりょう)談合事件に絡み、「新会社の会長として談合は一切しない、させない」と不正の根絶を宣誓した。

 不正行為で生じた損害には賠償を求める方針も示した。

 猪瀬直樹委員が「二度と談合はしないと宣誓してほしい」と求めたのに応じた。

しかし、談合組織加盟社の役員だった2人は、事件を「遺憾」としたが、就任辞退の考えのないことも表明した。

 橋梁談合をめぐっては、東日本高速道路会長になる八木重二郎氏が副社長を務めていた新日本製鉄と、西日本高速道路会長となる石田孝氏が専務だった神戸製鋼所が談合組織に加わっていたことが判明し、起用を疑問視する声もある。 2005年08月24日07時45分 (朝日新聞)


あまりにも、人をバカにしている。

何が、「宣誓」だ。せめて念書を書かせて署名捺印させろ。何十年も「当然の慣習」として談合を行ってきた連中なのだ。

鋼鉄製橋梁に係る談合にしても、一般人が「駐車違反で運悪く違反キップを切られ」たと言うぐらいの認識であるに違いない。


◆道路問題の本質

 

 人事の話はこれぐらいにしよう。

 道路公団民営化とはなんだったのか?

 日本の高速道路料金は非常に高い。(イギリスは全国何処まで走っても完全に無料だ)。そして、いつまでたっても無料にならない。

 これは、各高速道路が独立採算制になっておらず、プール制という方式を採用しているからだ。

 つまり、日本で一番儲かっている高速道路は東名高速道路で、とっくに建設費を通行料金から得た収益で取り戻している。

 独立採算なら、東名高速は今頃、無料のはずだ。

 しかし、プール制を採用しているため、東名高速がいくら稼いでも、赤字の高速道路の維持・運営費や、財投から借りた資金の返済に回されてしまうのだ。

 今、存在している高速でも、採算が取れていないところが沢山あるのだから、もうこれ以上、新しい高速道路は造るべきではないというのが、道路公団民営化の議論が始まった頃の多数意見だったのである。


 ◆政財官の癒着と猛烈な反対。

 

 ところが、道路族議員、つまり土建屋と癒着している国会議員の猛烈な反対にあった。 

 また、道路公団の役人にとっても、道路建設を行う土建屋は、大切な「伝統的」天下り先である。

 道路公団は暇な役所だが、役人を辞めても、土建屋の役員になって、毎日座っているだけで高い給料を貰い、億単位の退職金を得られる。

 役人を辞めるときにも多額の退職金を受け取っている彼らは、笑いが止まらない。

 こんな「美味しい」既得権を失ってなるものか、というわけで、ここからも妨害がはいった。


◆結局、まだ、2000km以上も、明らかに赤字となる高速道路を造ることが決まってしまったのだ。

 

 とにかく、既得権を守ろうとする、政治家・土建屋・道路公団役人の結託はすさまじく、道路公団民営化法案はすっかり骨抜きになってしまった。

 現在、道路公団が財投、つまり、郵貯と簡保から借りたカネ40兆円もある。

 黒字の高速道路はすくないから、利子を払うこともままならない。郵貯・簡保から見れば、もの凄い不良債権である。

 これ以上、無駄な高速道路を造るべきではない。これは中止になるはずだった。

 しかし、結局、道路公団民営化前の予定はそのまま続く。

 これからも、新しい(儲かりそうもない)高速道路の建設が続くのだ。 その総距離は2000kmにもなる。

 この法案を作ったのは、「民営化推進委員会」で、首相直轄の諮問委員会である。

 にも関わらず、小泉首相は何も言わなかった。


◆結論:小泉首相は郵政民営化をして「この程度の改革ができずに・・・」と言っていたが、道路公団で既に頓挫している。

 

 小泉首相は、「郵政改革ぐらいできずに構造改革ができるか」と訳の分からないことを言っていた。

 それをいうなら、、道路公団民営化で、「この程度のことしか」出来なかった内閣が、郵政民営化で突如革新的な結果をもたらすことができるのか。

 甚だ疑問である。


by j6ngt | 2005-08-28 00:25 | 選挙

東京もテロ標的 アルカイダ計画と仏判事←小泉さん、「テロには屈しない」でしょ?

◆記事1:金融都市東京もテロ標的 アルカイダ計画と仏判事

 

 【ロンドン26日共同】フランスの国際テロ捜査の第一人者、ジャンルイ・ブリュギエール予審判事は26日付の英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、国際テロ組織アルカイダが東京、シンガポールなどアジアの金融センターに対するテロ攻撃を準備していると警告した。

 同判事は具体的な根拠は示さなかったが、「この地域の国、特に日本が標的にされる可能性があったことを示す複数の情報がある」と語った。

 イラクに自衛隊を派遣している日本がテロ攻撃の対象になるとの見方は従来もあったが、テロ捜査のベテランの警告だけに、各国の治安当局は警戒強化を迫られそうだ。 同判事によると、シドニーも標的の一つ。(共同通信) - 8月26日11時0分更新


◆記事2:<テロ幹部>フランス人デュモン被告、12月に初公判 

 

 【パリ福島良典】日本に潜入していた国際テロ組織アルカイダの幹部とされるフランス人リオネル・デュモン被告(34)の公判が今年12月5日、仏北部ドゥーエの重罪院で始まる。

 同裁判所が25日、毎日新聞の電話取材に明らかにした。判決言い渡しは12月16日の予定。

 デュモン被告は仏北部ルーベを拠点に活動していたイスラム教改宗者の犯罪集団「ルーベのギャング」の主要構成員。

 96年の現金輸送車襲撃、警官殺害などの罪に問われ、01年10月に被告欠席のまま無期懲役の判決を受けている。逃亡していたが、03年12月、ミュンヘンで逮捕された。(毎日新聞) - 8月26日10時33分更新


◆コメント:小泉首相や日本の殆どのひとにとっては他人事(ひとごと)なのでしょうね。

 

アルカイダは、日本政府が自衛隊のイラク派遣を決定した2003年末、「自衛隊が一歩でもイラクの地に足を踏み入れたら、東京を攻撃する」との声明を発した。

 アルカイダによるテロは、今まで起きていないが、だからといってアルカイダ、又はイスラム過激派がテロを諦めているわけではないのは、ロンドンのテロを見れば明らかである。

 あれは、イギリスがアメリカを支持して大勢兵隊をイラクへ送り、イラク人を殺傷した事に対する報復である。

 イラク戦争で米国を支援するのはブレア首相だが、イギリス一般市民は、何万人もが毎週末、トラファルガースクウェアで反戦デモを繰り広げていた。

 ヨーロッパの他の国々でも同様だった。

 しかし、イラクないし、イスラム社会から見れば、英国は全体として「敵」だったのだ。時間の経過は関係がなかった。

 ロンドンテロはイラク戦争開始(2003年3月20日)から、2年4ヶ月以上も経ってから、実行された。

 犠牲になったのは、イラク攻撃を決定したブレア首相でも政府高官でもなく、戦争に反対していた、一般庶民であった。


◆日本は武力を行使してはいないが、アメリカの味方であるという一点で、イスラム原理主義者やアルカイダから恨まれている。

 

 アルカイダや、イスラム過激派が、こんな遠くの日本までやってきてテロなんか出来る訳がない、と考えるのはあまりにも楽観的にすぎる。

 記事2を読めば分かるとおり、日本に潜伏しているアルカイダが実際にいたのである。

 また、日本の自衛隊は、武力を行使していないから、米国や英国ほど恨まれていないから、まさか本当にテロリストが標的にするはずがない、という考えも甘い。

 日本でテロを実行すれば、「直接武力を行使したわけではない国ですら、テロに狙われる」というショック、恐怖感を世界に与えることが出来る。

 世界中に「恐怖による」混乱をもたらすことは、テロリストの望むところである。


◆東京が狙われるとは限らない。

 

ファイナンシャルタイムズのインタビューを受けたフランスの諜報専門家は、東京の金融センターが狙われやすいといった。

 そういわれれば、日本政府や国民の警戒心は東京中心部に向いてしまう。

 だが、予想通りにテロリストが動く保障は全くない。フィナンシャルタイムズの記事を逆手にとり、日本に潜伏しているテロリストが狙う場所は他にもいろいろある。

 例えば、新幹線。

 タバコの箱ぐらいの大きさのプラスチック爆弾があれば、飛行機を墜落させることができるそうだ。

 新幹線は誰でも簡単に中に入ることが出来る。

 200数十キロで走る新幹線にプラスチック爆弾を仕掛けられたら、目も当てられない。



 また、日本の原子力発電所は警備が甘いので有名である。

 原発を襲って、水槽に入れている使用済み核燃料を、空気に晒せば、強い放射能をまき散らす。 

 放射能は風に乗って、遠くまで拡散する。要するに核攻撃を受けたのと同じ事になる。さぞや、ガン患者が増えるでしょうね。


◆そうは言ってもやはり、東京は一番危ない。
 

 私は、フランスの専門家が、テロの標的になりやすいと指摘した、東京の真ん中の金融街の辺りに勤め先がある。

 他人は大げさだと笑うかも知れないが、一昨年、テロの警告があったとき、私は万が一を想定して遺書を書いた。



 自分はイラク戦争の前から、イラク戦争には反対していたし、イラク戦争を日本政府が支持することにも、自衛隊をイラクに派遣することにも、一貫して反対してきた。

 だが、運が悪ければ、一環の終わり。The end. だからである。

 小泉首相は、テロなどより、郵便局が大事だろうから、多少国民が死んでも、例の如くバカの一つ覚えのように、「テロには屈しない」と言い続けるであろう。

 そういうことを言えるのは、自らは絶えず厳重な警護に守られ、何処にあるのか良く分からない首相官邸にいれば、安全だからである。

 古今東西、生命の危険に晒されるのは、戦争に反対していた、市井の一般人である。

 という次第である。

 念のため、再び遺書を認(したた)めておくとするか。


by j6ngt | 2005-08-27 01:25 | テロリズム

「郵政、郵政と言われて、拉致問題の『ら』さえ聞こえてこない。」(横田早紀江さん)

◆記事1:家族連絡会など、北への対応巡り首相に質問状提出

 

北朝鮮による拉致被害者の家族連絡会と支援組織の「救う会」は24日、内閣官房拉致問題連絡・調整室を訪れ、小泉首相への質問状を提出した。

 北朝鮮側が提出した横田めぐみさんのものとする遺骨が偽物だったことが判明し、細田官房長官が「厳しい対応を取らざるを得ない」と経済制裁を検討する考えを示してから8か月が経過したため、質問状では、「いつまで北朝鮮の対応が変わるのを待つのか」などとして、小泉首相の回答を求めている。(2005年8月24日20時50分 読売新聞)


◆記事2:横田夫妻が応援演説 拉致議連メンバーら対象に

 

拉致被害者家族会代表の横田滋さん(72)と妻の早紀江さん(69)が25日、拉致議連事務局長代理で衆院東京4区から出馬する民主党の松原仁前衆院議員の決起大会で応援演説した。

 横田さんらは今後、郵政民営化関連法案に反対し、無所属で大分1区から出馬する前拉致議連事務局長の衛藤晟一前衆院議員らを個人として応援する方針。

 横田さんは「拉致議連に入っている国会議員は一部で、活動しているのは数人。拉致被害者を救出するため、松原氏を国会に送り出してほしい」と述べるとともに、北朝鮮への経済制裁の必要性をあらためて訴えた。

早紀江さんも「郵政、郵政と言われて、拉致問題の『ら』さえ聞こえてこない。(拉致問題が)埋没してしまっている」と語った。(共同通信) - 8月25日22時47分更新


◆コメント:小泉首相は郵政民営化の是非だけを問う極めて単純な選挙だという。

 

 日本中が小泉首相の調子の良さに、騙されている。殆ど、集団催眠だ。

 今日発売された週刊文春には、林真理子氏がエッセイを連載しているが、読んで唖然とした。

 そのまま引用したら知的財産権の侵害となるが、こうなったら黙っていられない。

 

 「あの記者会見を見て私も拍手喝采をしたひとりだ」

 「こうこなくっちゃ。やっぱり小泉さんだワ」

 「自分の思うことは命がけでやる。文句あっかというあの強気は小泉さんでなくては出来なかったろう」


  こういう人が日本中にいるので支持率が高くなるのだろうが、誠に残念である。

 「自分の思うことは命がけでやる」って、本当に小泉首相が命を賭ける訳がない。

  また、「思うことを命がけでやる」のが偉大であるならば、自爆テロの実行犯は一番立派な人間なのだろう。



 仮にも国政選挙、政権選挙である。郵便局単一項目で投票してよい訳がないことが、分からないのか。

 サラリーマン増税はしない、といっているが、定率減税の見直しを止めるとは言っていない。

 これは、実質増税だ。というようなことが、どうして分からないのか。

 しかし、それよりも北朝鮮拉致被害者家族はもっと気の毒だ。完全に無視されている。


◆横田早紀江さんの嘆きはまことに尤もである。

 

 小泉首相が、薄情なことは今更始まったことではないが、彼に引きずられて国民も拉致問題の存在を忘れて良いわけがない。

 国民が忘れそうなら、マスコミが問題を提起するべきだ。

 しかし、記事1は、ネットだと分からないが、実際の紙面では大手各紙とも社会面のベタ記事(下のほうに小さく掲載される記事)なのである。

 それは、あたかも、政府にこの問題を取り上げるなと恫喝されているのではないかと思われるほど、不自然に小さな扱いである。


◆小泉首相は面倒くさいから誤魔化そうとしている。国民がそれに同調したらダメだ。

 

 今更言うまでも無いことだが、北朝鮮は、日本国の主権を侵害し、工作員が不法に入国して、一般市民を拉致するという言語道断の犯罪を犯しており、金正日はそれを公式に認めているのだ。

 ところが、日本政府は小泉首相の2回目の訪朝で、最初に連れ戻した5人の家族を連れ帰った時点で、もうこの問題を終わりにしようとしている。

 誘拐された自国民を他国から救い出すという当たり前のことをとりあげず、郵政民営化だけが今回の選挙の争点だという論理は、私にはどうしても理解出来ない。

  記事2で東京4区から立候補する松原仁前衆議院議員は、ずっと拉致問題に携わってきた数少ない国会議員なので、横田早紀江さんは応援演説に立ったのである。

 今一度繰り返す。

 小泉純一郎内閣総理大臣は北朝鮮による日本人拉致問題は既に片付いた事にしようとしている。

 国民は、郵政一点張りの彼の調子良さに同調し、横田さん達のことを忘れてはいけない。

 救う会全国協議会のサイトにあるこの声明文(他にも何度も政府に要求を出しているのだ)ぐらい、読んでもいいでしょう。


by j6ngt | 2005-08-26 00:26 | 北朝鮮

郵政民営化、小泉首相に関する素朴な疑問

◆民営化が始まるのは、2007年度からだが、小泉首相の任期は2006年(来年)9月まで。責任取れない。

 

 これは、極めて素朴な疑問である。

 小泉首相は、郵政民営化が自分の政治的信念だというが、仮に自民党が9月11日の選挙で過半数を獲得して郵政法案が成立したとしても、郵政民営化が始まるのは、2007年度からである。

 しかし、小泉首相は来年の9月で任期が切れる。

 小泉純一郎君がいなくなった後、与党が今言っている通りのことを実行することは、全く担保されていない。


◆郵貯と簡保を民営化することにより、多額の資金が民間にまわり、経済が活性化するとは思えない。

 

 日銀はずっと、低金利政策を続けていて、市中銀行に資金は沢山あるが、民間企業はどんどん民間銀行に借入金を返済しており、銀行貸し出し残高は減り続けている。

 要するに、資金の需要がないのである。

 こういうときに、郵貯と簡保を民営化したところで、別にマネーの流れに大きな変化が起きるとは思えない。金融市場を攪乱するだけ迷惑だ。


◆郵政公社4部門を4つの会社にしたら、今よりも多くのひとが必要になる筈だ。

 

 今は、郵政事業は日本郵政公社が運営しているが、2007年から民営化が始まると、郵政公社の四部門、郵便、郵貯、簡保、窓口ネットワークをそれぞれ、独立した別会社にするのである。

 地方の小さな郵便局では、最低限の二人で運営している小さな郵便局が多い。

 四つの部門が別会社になるということは、それぞれの会社の人間が各々の郵便局にいなければならず、余計に人数が増える。

 組織をスリム化するどころか肥大化してしまう。

 民間の発想では「合理化」とは、「統合」することだが、正反対に「分割」してしまうのが、如何にも実際の商売を知らない政治家や役人の考えることだ。


◆民営化したら、収益を自力で上げなければならないが、投資・融資の専門家が郵便局にはいない。

 

 郵貯・簡保は今まで財投にお金の運用を任せていた。

 財投は道路公団や住宅公団に資金を貸し付けて、それが巨大な不良債権になっている。

 そのような不良債権を抱えた状態で、国ではどうしようもないから、民間人何とかしてくれというのは、無責任。

 また、今まで財投に資金運用を任せていた郵貯・簡保は、民間金融機関になるわけであるから、自力で収益を上げなければならない。

 銀行の資金の運用とはまず、融資、それから、金融市場でのディーリング、債券市場(外国の債券も含む)に投資し、または、債権を短期的に保有して売買益を稼ぐ債権ディーリングを行うことである。

 今の郵便局にはだれもそんなノウハウを持った人はいない。収益が上がらず、赤字となり、万が一資金繰りを間違えば、潰れる。

 潰れたら、預金者(郵便局が預かるのは「貯金」だが、銀行は「預金」しか扱えない)が預けた金は戻ってこなくなる。


◆切手:郵便局に取って「債務」だが、発行残高が分からない恐ろしさ。
 

 郵政事業が民営化されたら、郵便切手は「郵便事業株式会社」が発行する。

 こういうものを民間事業にしてよいのか。

 というのは、切手というのは、窓口に客が来たら、必ず売らなければならない。ところが、これが全部使われるとは限らない。

 切手を郵便局の窓口に持っていって払い戻してくださいといわれたら、断れない。つまり、郵便事業株式会社にとって「債務」なのだが、勿論現在までに、莫大な量の切手が発行されているわけである。

 切手が何故問題かというと、通貨(お金)や国債と違って発行残高が分からないのである。

 そんなものは大した額じゃないだろうというのは、とんでもない話で、バブルの景気の良いときには、企業がもの凄い量を買ったのである。

 何故なら、切手を購入した場合、これは「経費」と見なされるので、節税の一手段となったからである。

 この、不気味な「債務」。一体いくらあるか分からない債務を郵政公社は抱えている。

 民営化したあとで、潰れたら大変だから、その前に換金しておこう、と各企業が考え、一遍に持ってこられたら、一体どうなるのか。

 下手をすれば一瞬にして資金繰りに窮して潰れるかも知れない。

 このように、「債務がいくらあるのか分からない」というとんでもない状態、いわば、「爆弾を抱えた状態」の金融機関を民営化するのは、あまりにも危険である。


◆年金:国会議員年金は結局存続するのですか?

 

 「聖域なき構造改革」なんて小泉首相は調子の良いことを言うが、それならば、まず、国会議員から範を垂れるべきではないかと思う。

 自民党はマニフェストで、この点について言及していない。民主、公明は廃止と書いている。

 国会議員を10年務めると、国会議員年金がもらえる。議員を辞めた後、65歳から支給される。最低でも年間412万円(一ヶ月34万円)である。

 そして、在職年数が10年を超えると、1年につき、年間支給額が8万円ずつ増える。

 したがって、例えば、20年つとめたら、412+8×10=492万円(月額41万円)も、支給される。この財源の7割は国民が納める税金である。

 小泉首相は、郵政改革だ!と叫んで、あと一年経ったら首相も辞めて、なんなら国会議員を辞めても悠々自適なんです。

 こういうのを、「聖域無き構造改革」というのだろうか?

 以前、この日記でも書いたが、大手商社、伊藤忠商事の経営再建に取り組み見事成功を収めた丹羽社長は、社長就任後、1年半も無給で働いた。

 そして天下の伊藤忠商事の社長が社長車の送迎を辞めさせ、毎日、一般社員と同じように徒歩と電車で通勤した。電車通勤は今でも続いている。

 トップがこういうことをしたら、皆一生懸命になりますよね。

 小泉さん、わかります?


by j6ngt | 2005-08-25 00:15 | 郵政民営化

小泉政権における金融行政の不備に関する一考察

◆小泉内閣による金融行政の杜撰(ずさん)さ:【西武鉄道】上場してはいけない株式が40年も取引されていたというお粗末。

 

 西武鉄道は、有価証券報告書(有価証券報告書とは、証券取引法上で用いられる用語で、要するに決算書。貸借対照表と損益計算書が中心。その他にもあるが。)に株主に関する虚偽表示を行い、2004年12月17日、東京証券取引所から上場廃止の処分を受けた。

 上場廃止されたことにより、西武鉄道の株券は紙くず同然になったわけで(何せ、株式市場で売買出来ないのであり、株価はゼロになったのだ)、これによって、西武鉄道に投資していた一般個人投資家が受けた損害は計り知れない。

 西武鉄道の上場廃止に当たっては、当然証券取引等監視委員会(金融庁の一部署)が監査を行い、また、国税庁の調査が入っているから、西武鉄道の株主がいくらで何株買ったのか承知してiいることは間違いない。

 従って、投資家が受けた損害額も、おおよその額はすぐに分かるはずなのだが、公表しないのである。

 これは、金融行政が違法な株の上場を40年間も見抜けなかったという「大失態」の全貌が明らかになることを恐れるための隠蔽としか、考えられない。

 西武鉄道の株は、本来株式市場に上場する要件を満たしていない「違法な」株であったにもかかわらず、40年も東証で売買されていた。

 そして、それを監督官庁である金融庁は看過していた。その責任は非常に大きいことなのだが、誰も責任を取らない。内閣の責任だが、内閣総理大臣は全く答えない。

 新聞は、何故もっと大きくこの点を指摘しないのか。

 さらに、西武鉄道は、違法な株によって得た資金から、自民党に政治献金していた。

 過去10年間だけでも、自民党は西武鉄道から1億円の政治献金を受け取っていた

 違法行為を行っていた会社から政治献金を受け取っていたことが明らかになった以上、当然これは、返金するべきである。

 自民党が西武鉄道に返金したという報告はされていない。

 そして、くどいようだが、そのことをマスコミは国民に伝えない。


◆金融庁は、他の会社は虚偽表示していないという確認が未だに出来ていない。

 

 西武鉄道が有価証券報告書に虚偽の表示をし、カネボウも粉飾決算を匿していたことが明らかになった。バレたら、上場廃止になる。

 そして悪事は遅かれ早かれ、バレる。

 カネボウは産業再生機構の管理下に入り、勿論上場廃止になった。

 このような、日本有数の大企業がウソの決算書を出していたのは、とんでもないことである。

 本来、東京証券取引所に上場する基準を満たしていない株が、他にもどれだけ出回っているか、分からないのである。

 金融庁は、とりあえず、何か対策を取りました、と言わなければならないので、昨年11月16日には、ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応についてとの声明を発表し、上場企業に対して、有価証券報告書の記載に間違いは無いか、もう一度調べて報告せよ、と指示を出した。

 その結果、いくつかの企業が「間違えていました」といってきたが、これは、大した問題ではないことばかり。数字の書き間違えの類ばかりである。

 それはそうなるだろう。なにせ、企業の自主点検に基づく自主報告なのである。


◆上場基準を満たしていない株式が今日も東京証券取引所で取引されているのだろう。

 

 上場基準とか、上場廃止基準については、東京証券取引所のサイトに上場審査基準概要が載っているので、眺めるだけでいいから、見てください。 本来、東京証券取引所に上場するには、これだけの要件を充足していなければならないのです。



 ところで、各企業は一応、自分の会社の帳簿を点検して金融庁に報告したわけであるが、本当に故意に粉飾決算を行っている企業が、バカ正直に「粉飾してます」と白状するわけは無い。

 だから、金融庁はこの報道発表を行ってから今日で280日経つが、いまもって、「現在、東京証券取引所で取引されている株式は全て、上場基準を満たしています」という「太鼓判」を押さず、世間がこのことを忘れるのをひたすら、待っている。

 冗談じゃない。

 西武鉄道や、カネボウのような会社が他にもあるとしたら、その会社に投資している人(株主)はある日、大損する危険がずっとつきまとうのである。

 日本で証券市場を見張るのは証券取引等監視委員会という組織の仕事だが、これは、金融庁内の一部署に過ぎない。

 アメリカでは、証券取引委員会(SEC=Securities and Exchange Commission)は強大な権限を持ち、また、市場での違法行為に対する罰則が厳しい。

 昨年から今年にかけて、ワールドコムというアメリカの長距離電話会社の不正会計が大事件に発展した。

 最高経営責任者(CEO)のエバーズという人は現在63歳なのに、なんと、25年の禁固刑の判決を受けた。要するに、終身刑だ。本人は控訴したが、まだ結果は分からない。 

 日本では殺人事件でも25年は滅多にない。

 日本の不正会計に関してもそれぐらいの罰則を課すように、法を改正することはできるだろうか?多分無理だろう。

 理由は、日本では(アメリカでも勿論同様だろうが)政財界の癒着があるからだ。

 先に述べたとおり、例えば自民党は、違法な株式を40年間も平気で上場させていた西武鉄道から長年にわたって、政治献金を受け取っていたのである。

 政治家はだれでも、カネが要る。潰れそうな会社ならば、政治家も義理立てしないが、黒字で、とりあえず安定している大企業ならば、少々上場基準に抵触していて、それを証券取引等監視委員会に指摘され、泣きつかれたら、無碍(むげ)には扱えないだろう。


◆小泉首相は「構造改革が進んだ」というけれども、実際は、変っていない。

 

 小泉首相は、何も考えず、「ここまで構造改革が進みました」というが、 今まで書いたとおり、金融行政に関して細かく見ると、全然体制が出来ていない。

 さらに、これからもっと恐ろしいことが起きる。

 現在のように、日銀がずっとゼロ金利政策を維持しているときに、株式市場が上昇基調にあるというのは、極めて危ない。必ず暴落する。

 今、日本の株式を買っているのは主に外国投資家だ。いずれ、大量に買った株を大量に売って差益を得ようとしていることは間違いない。

 繰り返すが、必ず、株式市場は暴落するのである。そのときに、金融当局は市場のパニックにどのように対処するのか。

 日銀・金融庁は互いに協議して、対策を練り、シミュレーションしているのだろうか?

 本稿で取り上げたような話は、一般紙には殆ど載らない。

 金融業や金融行政は専門性が高いので、一般国民には、殆ど説明などしなくても文句は出ないのである。

 また、政治家も、選挙の街頭演説で、私が今まで書いたような話をしても誰も聞かないから、取り上げない。
 ところが、お分かり頂いたと思うが、話題にならなくても非常に危険な状態が存在するのである。


by j6ngt | 2005-08-23 20:09 | 選挙

堀江などニュースにするな。バカマスコミ。

◆堀江など、国会議員に立候補するだけで、国民を愚弄している。

 

 選挙報道は政策を論ずるべきで、「政治家ニュース」になってはいけない、と昨日書いた。

 だから、こういう稿を起こすのは、自己矛盾も甚だしいことは、分かっている。

 しかしながら、これだけはどうしても許せないので、書かせていただく。

 小泉純一郎は、ふざけるのもいい加減にしろということだ。

 広島の有権者は、まさか、あれを当選させるほどのバカではないと思うが、堀江が目の前に来たら、喜んで握手している。

 大方、田舎で刺激がないから、「有名人」が来ると嬉しいのだろう。

 それにしても、あんな男まで担ぎ出す小泉純一郎には、国民をナメるのにもほどがある、と言いたい。


◆あんな者は最も政治家になってはいけない人間である。

 

 皆、知らないのだろうか?はてなブックマークでは130人以上も登録しているから、実際に読んだ人はその何倍もいるはずだ。

 江川紹子ジャーナル ~ 社会のこといろいろ ~である。

 江川紹子氏と言えば、自らも命を狙われかけたのにも関わらず、それに屈せず、オウム真理教の実態と奴らが関係した事件を取材し続け、裁判まで見届け、冷静で、客観的な情報を世の中に送り続けた、極めて優秀なジャーナリストである。

 フリージャーナリストであるから、身軽と言うこともあるが、大新聞の記者のように組織の後ろ盾が無いので、危険も大きい。

 リスクを全て自分独りで抱えて真実を追究する使命感は大したものである。現在の日本のジャーナリストで最も優秀な一人だろう。

 その江川氏が堀江貴文にインタビューしている



 このころは、まだ、堀江はニッポン放送とフジテレビを手中にすることに自信を持っていたので、異常なほどの自信過剰である。

 無礼、失礼、無恥、厚顔。不遜、尊大、鉄面皮。といって良かろう。

 このインタビューで堀江貴文は、メディアを買収したら、新聞を発行するつもりだといっている。

 そして、その新聞に載せる記事の選択はインターネットを通じた人気投票で決めるのだそうだ。

 いくら世界の一大事であろうが、日本の一般人に興味が無いことは「ゴミ」だそうだ。

 メディアが「これは大事な情報だから」と、国民が大して関心のないことを「押しつける」のは、「傲慢」なのだそうだ。

 この論理で行くと、杉田かおるの離婚が一面トップになり、景気も、北朝鮮拉致被害者も、イラクへの自衛隊派遣も、教育問題も殆ど取り上げられないということが起こりうる。

 彼(堀江貴文)によれば、「それで、いいじゃないですか」となる。


◆堀江は郵政も年金も北朝鮮もどうでも良いのだ。

 

 テレビを見ていたら、「若い人に、政治に興味を持って貰いたくて、出馬した。」と堀江は云っている。ウソをつくな。

 今回、堀江は亀井に対抗するため、小泉純一郎に担ぎ出されたわけだから、郵政民営化に賛成などといっているが、本心はそんなことは彼にはどうでも良いことだ。堀江貴文は世の中、つまり、自分以外の人間が幸福になろうが、不幸になろうが、障害者が困難な状況に追いやられようが、知ったことではないのだ(気の毒だが、幼少時に母親の愛情を十分に受けなかった人間が、このタイプの人間になりやすいと言われる)。

 
 堀江貴文氏にとっての「良い世の中」とは、「自分が金儲けをしやすい世の中」である。それ以外の基準は無い。

 国会議員は、国民全体に奉仕する公務員である。

 従って、堀江氏のような人間は最も国会議員に適さない人間である。

 こんな男を、代議士に立候補させたこと自体、殆ど犯罪的な行為で、小泉純一郎は国民を愚弄(ぐろう)している、としか表現できない(堀江は形式は無所属だが、当選すれば自民党に入る算段だ)。


◆堀江は「煙突男」と同じだ。

 

 堀江もどうせ落ちると思っているだろう。しかし、とりあえず、世間の話題になりたいのだ。

 この男は、テレビがわーっと集まって、「時の人」になり、テレビに登場出来れば、それでいいのだ。

 ニッポン放送、フジテレビとのゴタゴタのときは、テレビに始終登場できて、かなり満足したが、その後「時の人」では無くなってしまった。

 選挙に立候補すれば、世間の注目を浴びることが出来る。しかも現職の内閣総理大臣に頼まれたのだから、大得意だ。

 だから、わざと、マスコミが騒ぎ立てるような選択をした。

 堀江は、「広島で、亀井静香に対抗して立候補するので無ければ嫌だ」、と小泉に言ったのだろう。

 こういう男をマスコミが真剣に取り上げるべきではない。



 何故か?メディアが騒げば騒ぐほど、奴は嬉しいのだ。もともと天下国家に興味がないような人間にマスコミが振り回されてはいけない。



 最近少なくなったが、 「煙突男」というのがときどき、現れるでしょ?

 銭湯などの煙突によじ登って、周囲の人が騒ぎ出すと「飛び降りるぞ!」という(最近少ないのは、銭湯が少なくなったからだろう)。

 ここで、世間が「止めろ!早まるな!」と説得したら、「煙突男」の思うつぼなのだ。

 騒いで欲しいのだ。構って欲しいのだ。

 こう言うときは、「どうぞ、飛び降りてください」といって、皆が完全に無視すれば良い。

 すると、絶対に「煙突男」は意気消沈して、「降ろしてください」、とベソをかき出すのだ。

 堀江君と「煙突男」の心理は、本質的に同一である。


by j6ngt | 2005-08-22 23:21 | 選挙

選挙はゲーム(遊び)ではない。勝敗予想を立てる前に、政策を検証しろ。

◆マスコミの政治ニュースはいつも「政治家(又は政治家になりたがっている奴)ニュースだ。

 

 新聞には、各党のマニフェストが載っているが、自民党のあの120項目をただ並べても仕方がない。

 その中で何が要点か、国民が判断する指針(本当は国民が自分で全部やるべきだが)、を可能な限り客観的、中立的に提示するのが新聞屋の仕事である。

 しかしながら、この点において及第点を与えられる新聞は、少なくとも全国紙には、現時点では、存在しない。

 新聞が載せているのは、相も変わらず、どの選挙区で郵政反対派にどの刺客が振り分けられ、これが、民主党票をどれぐらい食うか、という類の記事が中心である。

 これは、政治記事、政治ニュースではない。「政治家」ニュースである。

 そんなことは、選挙が済んでからコメントをすればよろしい(それですら、選挙報道の本質ではない)。

 徒(いたずら)に、ある選挙区では自民現職が有利だとか、そのたぐいの記事を載せるのは、一種の大衆心理操作であり、行うべきではない。

 日本人はもともと「他の人たちと同じように行動すること」が行動規範となる民族である。失礼ながら、地方において、この傾向は一層顕著である。

 したがって、他の有権者の思惑などは知らない方がよいのである。


◆では、何を報道するべきか:本日は、とりあえず2点。まず、環境。

 

 この日記では、過去何度も取り上げたとおり、地球環境は危機的な状況にある。

 国連環境計画が1999年に発表した、地球環境概況2000「概況と提言」を読めば分かるが、「地球温暖化を防ぐのは恐らく既に手遅れ」とのことである。


 この結果、淡水資源が不足するのが直接的には最も大きな問題である。

 また、大陸における砂漠化の進行により、作物の収穫が漸減する。海洋資源(食料としての魚)の減少が進む、と、同レポートは指摘している。

 つまり、水と食い物が無くなるということだ。 そして、言うまでもなく、水と食い物が無くなると言うことは、人類が絶滅するということだ。

 郵政民営化も、景気も、年金も、人類が存続することが大前提であることは、あまりにも当たり前だが、その大前提が危機にさらされているというのに、どの政党も、これを認識していない。

 そして、マスコミも指摘しない。


◆国家安全保障:集団的自衛権を認めてはいけません。

 

 環境の次は、「国家の安全を如何に守るか」という問題を各政党(及び、選挙が公示されれば候補者)がどのように考えているのかを、良く見極めるべきだ。

 日本国が無くなってしまったら、他のことを論じても意味がないからである。

 私は今までに何度も「日本に集団的自衛権の行使を認めてはいけない」と書いたが、そのたびにメールを頂く。

 「現実に北朝鮮という脅威が存在するのであるから、お前の言うことは、空想的平和主義だ」とか何とか書いてある。

 何を言っているのか分からない。というか、書いている人が基本的なことを理解していない。
 北朝鮮が攻めてきたとして、それに反撃するのは、日本の「個別的自衛権の行使」というのである。集団的自衛権は関係ない。

 私は、自衛隊が不要だ、と書いたことは、一度もない。

 国家を防衛するために必要な軍事力(本当は、「必要最小限の実力」と書かなければいけないのだが、それはどうでもよい)の保有とはいえ、第9条2項に照らし違憲だから、ダメだ、と書いたことは、過去全ての日記を読んでいただければ分かるが、ただの一度もない。それほど単純バカではない。

 仮に北朝鮮が攻めて来たら、黙ってじっとしていて、殺されなければならないという理由は無いからである。

 個人の家庭に例えれば、自宅に強盗が入ったら、撃退しようとするのが当然で、そのときに、多少相手を殴るのは仕方がない。これを国家に当てはめたのが、「個別的自衛権」だと思えばよかろう。

 日本国憲法第9条第2項に「戦力は一切保持しない。国の交戦権を認めない」と書いてあるじゃないか、と激烈な「平和主義者」は反論するかも知れないが、それは、もう少しよく考えて下さい。

 日本国憲法は、当然個別的自衛権を認めていると思われる。その根拠は何か?

 日本国憲法は、前文で、国民の「平和的生存権」は守らなくてはいけないと謳っている。したがって、その目的を完遂するための個別的自衛権、及びその手段としての武力の保有は当然の前提として想定していると解釈できる。当たり前なので、明文化していないだけであると思われる。


◆集団的自衛権の行使を認めるとどうなるか。 

 

 「国の交戦権を認めない」というのは、防衛ではなく、自分から外国に攻めていってはいけないという意味である。

 これが「憲法は集団的自衛権の行使を禁止しているという、長年の政府の公式見解である。

「集団的自衛権」とは、「自国そのものが、何者か(どこかの国)の攻撃・侵略を受けていなくても、同盟関係にある国が攻撃されたら、自国の領土が攻撃されたものと同等に見なして、反撃する権利」である。

 日本が、戦後60年、ただの一発も武力行使をせず、外国の国民を殺傷しないで済んだのは、9条第2項が集団的自衛権を禁止しているのおかげである。

 韓国は、これに相当する条文がないから、ベトナム戦争の時に、アメリカに「命ぜられて」大勢、ベトナムに出兵して、ベトナム人を大勢殺した。

 日本は第9条があったからこそ、ベトナム戦争に巻き込まれずに済んだのである。

 私は、今のイラクへの自衛隊派遣ですら違憲だと思うが、それでも、鉄砲を撃たないで済んでいるのは、日本国憲法第9条の歯止めがあるからである。

 9条がなかったら、サマワの宿営地でじっとしていることなど、外国が認めない。


 ◆海外のインテリ層は、「日本は憲法で武力行使を禁じられていること」を十分承知している。

 

 海外の新聞を読むと大変良く分かるのだが、世界の主だった国のインテリ層は、いずれも、「日本は憲法で禁止されているので、武力行使はできない」ということを完全に所与の条件として認識している。

 これは、The Economistも、Financial Timesも、アメリカの新聞も、アルジャジーラも、同様である。

 そして、少なくとも私は、日本国憲法第9条をを批判し、改正すべきだという海外の論説は読んだことがない。

 世界も認めるこの画期的な規定をわざわざ放棄するべきだという人の気が知れない。

 但し、今の自衛隊法、自衛隊法施行令、自衛隊法施行規則、内閣法などを厳密に解釈すると、どこかの国から先制攻撃を受けてから、反撃に出るまで、殆ど喜劇的に馬鹿馬鹿しい、時間を要する手続きを必要とするので、これら行政法を改訂して、迅速に対応できるようにすればよいのである。


◆アメリカの言うことに従って集団的自衛権を持たないと、いざというとき守ってもらえないというのは、大笑い

 

 アメリカと日本は、安全保障条約を締結している。

 日本が攻撃を受けた時に、アメリカに守ってもらうために、日本もアメリカの云うことを聞いて、集団的自衛権の行使を可能にするべきだという人が多いが、甘い。

 日本が集団的自衛権を行使出来るようになったら、アメリカの小間使いになるだけだろう。

 そして、有事の際、アメリカが日本を守ってくれるというのは、さらに甘い。

 2003年、当時のアーミテージ国務副長官(あの、スキンヘッドの、熊みたいな大男ですよ)が来日して、日本に対してイラク復興から逃げるな(Don't walk away) とか、「これはお茶会じゃないぞ」とか散々日本政府を恫喝し、それに震え上がった小泉首相がイラク派兵を一も二も無く決めた。


◆アメリカの忠実な番犬になってもアメリカは日本を守らないだろう。

  

 このときのアーミテージ国務副長官の言葉を、私は鮮明に記憶している。

 

「日本への攻撃(北朝鮮やら、イスラムテロ組織のこと)は、アメリカ本土への攻撃と見なす」


 一見、頼もしい。だが、良く読んで下さい。彼は「日本が攻撃されたら、それは、アメリカが攻撃されたと同等に見なす」と言っているが、

 
「日本を第3国の攻撃から守ってみせる」。


 とは、絶対に言わない

 アメリカは、パールハーバーも実は全部暗号を解読していたのに、ルーズベルトはわざとハワイの太平洋艦隊には知らせず、日本に奇襲攻撃をさせて、「汚いジャップ」のイメージをアメリカ国民に植え付けることに成功した。

 この、「相手に先に攻撃させておいてから、猛然と反撃する」のがアメリカが大好きなやり方なのだ。

 だから、テポドンが飛んできても、元々技術的にも無理だし、アメリカは放っておくことはほぼ、間違いがない。

 先に攻撃させて、わざとらしく、「よくも、やりやがったな」といって、北朝鮮に反撃する、というだけのことだ。

 だから、アメリカが日本を守ってくれるだろうというのは、甘いというのだ。

 大体、見れば分かるでしょう。何の証拠も実は持っていなかったのに、「イラクは大量破壊兵器をもっている」と言って戦争を始め、後になって「あれはウソでした」と平気で言う奴らなのだ。

 どうして信用するのか。


◆各党はどういう安全保障構想をもっているか。

 

 長くなったが、上で述べたことを知った上で、各党はどのような構想を持っているのか。

 マニフェストだけでは、分からない。新聞社から、各党に質問状を出すなりなんなりして、突っ込んで取材して欲しい。しないなら、私がする。

 環境と防衛しか取り上げられなかったが、長くなったので、今日は、ここまで。


by j6ngt | 2005-08-22 01:37 | 選挙