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運転士や車掌などへの嫌がらせ、事故後70件…JR西 マスコミはJR幹部が自殺するまで許さないつもりか。

◆記事:運転士や車掌などへの嫌がらせ、事故後70件…JR西

 

 JR福知山線の脱線事故後、JR西日本管内で、運転席後方のガラスに「命」と印刷された紙が張られたり、女性運転士がホームでけられ線路に落ちそうになったりする嫌がらせ行為が約70件も相次いでいることが、7日わかった。

 事故以降も後を絶たないオーバーランや不祥事も影響しているとみられている。

 西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)などによると、4月27日夜、JR東海道線の大阪駅に着いた新快速電車の運転席後方のガラスに「命」と書かれた紙が上下逆さまに張られているのが見つかった。同様の張り紙はこれまで計6回あった。

 今月6日には、大阪駅ホームで電車を見送っていた女性運転士が、男性に足をけられ、ホームから転落しそうになったという。

 このほか、▽東海道線・野洲駅で、男性駅員が「尼崎の事故でたくさん死んでいるのにJRは何をしてるんや」と言われ、顔を殴られた▽福知山線・宝塚駅で、若い車掌が乗務員室から引きずり出された▽大阪駅で、運転士がコーラの缶を投げつけられた――などが相次いでいる。(読売新聞) - 5月8日10時57分更新


◆コメント:運転士をおびえさせて、ことが改善すると思っているのか? 

 

「・・・などが相次いでいる」って、そういうふうに、世間を煽っているのは、マスコミだろう?読売新聞さんよ。

 5月4日に「被害者の知人」だといって、JR職員をこづき回している男がいた。いい加減にしなさい。という稿を上げたが、この記事はもっとひどい。

 マスコミがJR西日本を叩くのを見て、自分も「正義の味方」の大義名分で、その実、単なる憂さ晴らしをする人間がこんなに多いのか。

 マスコミの大衆操作は、こと、blogの世界では上手く作用しておらず、むしろ逆で、インターネットの世界では、マスコミを叩く人が多く、世間の良心に安心したのだが、この記事を読んで、悲しくなった。

 云うまでもないことだが、「女性運転士がホームで蹴られ、線路の落ちそうになった」というのは、これだけで明らかに暴行罪(2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金または拘留若しくは科料)である。

 けがをしたら傷害罪となり、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となる。

 云うまでもなく、これは、刑事責任のみに注目したのであり、これとは、別個に民事上の責任が生ずる。

 つまり、この運転士がけがをした結果、必要とした医療費、入院、手術を必要とすることになったら、けがをさせた人間にその費用の損害賠償請求訴訟を起こすことが出来る。そうなれば、これらの費用に加え、務めを休んだことによって失った、「得べかりし利益」(働いていたら、得られたはずの給料)や、訴訟費用も払わねばならなくなる可能性が高い。

 刑事責任に話を戻すが、この女性運転士が線路に転落しそうになったときに、もしも、列車がホームに入りつつあるタイミングであり、女性運転士を蹴った人間がそれを認識していたら、殺人罪の未遂の刑事責任を問われる可能性が十分にある。ただでは済まない。


◆コメント:要するに、マスコミと世間は、JR西日本幹部の誰かが自殺するまで許さないつもりなのか。


 

 とんでもないことを書くようだが、じつは皆、意識しているはずである。

 垣内剛JR西日本社長のあの憔悴ぶりを、演技と見る人もいるようだが、私には、そうは思えぬ。

 実際に何件、被害者宅を訪問し、何回土下座したか分からぬが、その中のかなりのひとから、人間の屑の様に罵倒され、土下座している画像を、マスコミは頼みもしないのに、全国に放映する。

 自分が彼だったらと、想像してみると良い。耐えられますか?

 記者会見の席での、垣内社長の土気色の顔色と、やや虚空を漂うような目はあたかも亡霊のようである。

 マスコミはそれにとどめを刺すかの如く、情け容赦無く語気を荒げて、詰問する。この光景を見て恐ろしいと感ずるのは私だけであろうか?



 何故恐ろしいのかと言えば、マスコミ、ひいては世論が暗に、垣内社長か他のJR西日本幹部が自殺することを「予想」もしく「期待」していることを感ずるから、である。

 何故そう感ずるのか?過去に何度も、鉄道事故ではないが、似たような例があるからだ。

 日本社会には、「死ねば許す」という、甚だ、残酷な一面がある。

 自殺はいかん。死んでも責任は取れないなどというのはきれいごとだ。そういう人は、現代日本史を調べてみればよい。

 戦後の疑獄事件の度に、自殺者がでる。ロッキード疑獄、安宅産業、イトマン事件の時など、何人死んだか、分からない。

 これらの事件では、今回の鉄道事故のように、人が何百人も死んだわけではない。それでも、こういう結果を招く。 世間の無言の圧力により、実際には何も悪いことをしていない、政治家の専用車の運転士まで、自殺「させられる」。

 そして、死ぬことにより「みそぎ」を済ませると、彼が属する集団へのマスコミや世間の風当たりは、急速に弱まるのである。



 また、イラクで人質に取られ、生きて帰って来た、高遠さんら3人は、日本に帰国してから、散々な「リンチ」を受けたが、その後、同じイラクで人質に取られて殺された故・香田証生君には何の非難も無かった。

 客観的にみれば、高遠さんの1件があって、それでもなお、「自分探し」の目的でイラクに入った香田氏の方が一層非難されてもおかしくないのに、死ねば、全てが許される。それが日本人の社会なのだ。

 今回は、実際に、事故により、100名を超える人が亡くなった。

 私には、マスコミは、さすがに口には出さないが、「誰かが死んで、当たり前」若しくは「死ぬべきだ」と、考えているように見える。

 そうなるのは、それなりの精神風土が日本社会にあるからで、私は、大変良くないことだと考えている。

 だから、JR西日本を叩きすぎてはいけない、と書き続けている。

 念のため書き添えるが、人に自殺をしろ、と云ったり、その実行を容易にするようなことを行うのは、いずれもれっきとした犯罪である。

 刑法第202条、自殺教唆及び自殺幇助。まとめて、「自殺関与罪」という。


by j6ngt | 2005-05-08 19:42

ダイヤ確認求める=鉄道31社に指導-国交省←マスコミは問題を指摘しないのですか?

◆記事1:過密ダイヤないか確認求める=鉄道31社に指導-国土交通省

 

 JR福知山線脱線事故を受け、国土交通省は6日、全国の鉄道31社に対し、列車ダイヤに無理がないか緊急点検するよう各地方運輸局を通じて指導した。JR西日本で不備が指摘された列車自動停止装置(ATS)についても、今月末までに基準を満たしているか報告を求めた。

 同省によると、列車ダイヤは最高速度や曲線区間の速度制限、旅客の乗降時間などを基に鉄道各社が独自に算出。作成する際には一定の余裕を持たせるが、実際に無理がないかの確認を求める。 (時事通信) - 5月6日22時1分更新


◆コメント1:こういうところでマスコミが問題点を指摘するべきなのです。

 

 この記事を読んで、どこか、おかしいと思いませんか? 

 国交省は、「鉄道各社にダイヤの点検を命じ」た、とありますね?

 私は、そもそもダイヤが過密になるのは、それなりの需要が有ったからであり、鉄道会社の「手落ち」と解釈するべきではないと思うのです。 

 しかし、今は、そのことには目をつぶるとして、よろしい。国交省が、他の鉄道会社が、福知山線と同じような「無理な運行ダイヤ」を組んでいないか、点検しろというのです。



  ここが、おかしいですね。

 列車のダイヤなどというものは、国交省が自分で調べられるのに、各鉄道会社に「調べて今月末までに報告しろ」と云っているのです。

 時刻表なんて、今やインターネットで調べられますね。国交省は何故、手元でさっさと調べないのでしょうか?

 それとも、インターネットに載っているダイヤは実はウソで、それとは別に「本当の運行予定表」が存在するのでしょうか?

 その可能性は低い。インターネットや、今でも昔ながらに全国の駅のキオスクで販売している紙の「時刻表」と、実際の電車の発着時刻がまるで違っていたら、時間にうるさい日本人ですから、必ず何かクレームが付く筈です。



  だから、ダイヤは国交省が、鉄道会社からの報告を待つまでもなく調べられるはずなのです。

記事には、「実際に(ダイヤに)無理がないかの確認を求める」とありますが、それを調べるのは監督官庁であるべきです。



  しかも、その報告の提出期限。 

  鉄道会社がこの点検結果を報告する期限は、5月末となっています。まだ24日間もありますね。その間に、事故が起きたらどうするのですか?

 「本当に、事故を誘発するほど危険な運行ダイヤがあるかもしれないのならば、国交省が一日も早く、自ら動いて、調べるべきでは無いか?」という疑問が生じなければなりません。そこで、「国交省の『緊急点検』は少しも『緊急』ではないではないか」 という批判を行うのが、マスコミの仕事でなければなりません。

 ボーリングや宴会に出ていたJR西日本の職員のうち何人が事故の深刻さを認識していたか、などと云うことよりも、よほど重要な事柄なのです。


◆記事2:ATS装置にも速度記録=数十秒間、詳細な経過解明へ-JR福知山線脱線事故調

 

 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は7日、先頭車両にあった列車自動停止装置(ATS)の関連機器に、数十秒にわたり速度記録が残されていたことを明らかにした。

 計測位置の特定も可能なことから、事故調は脱線時のスピードや衝突に至る詳細な経過を解明する手掛かりになるとみて調べている。 (時事通信) - 5月7日19時0分更新


◆コメント2:今分かっている事実は、「事故原因は不明である」ということだけだ。

 

 私はここ数日、同じことを書いているので、くどいのですが、大事な認識だと思うので、繰り返します。

  要するに、今なお、「何が原因で事故が起きたのか、全貌は解明されていない」という一点だけが、明らかな事実なのです。

  「何が原因が分からない」からこそ、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は、ATS関連機器に記録された、事故車の位置と速度の変化を詳細に調べる必要がある、と、云っているわけですね。原因が既に分かっているのならば、そんな、面倒くさいことはしないですね?

  原因は、不明なのです。ですから本当は、JR西日本の管理責任云々を述べるのは、時期尚早なのです。


◆記事3:「JR西ええじゃないか踊り」朝日新聞5月6日付コラム、「素粒子」

 

《素粒子》 2005年 5月6日(土)付

 JR西ええじゃないか踊り。

 ①事故原因は置き石で、ええじ ゃないか、ええじゃないか。

 ②役員が賞与を返上すれば、ええじゃないか、ええじゃないか。

 ③乗り合わせた運転士がさっきと脱線現場を離脱しても、ええじ ゃないか、ええじゃないか。

 ④隣で死傷者多数出ようとも、 ボウリング遊びと飲み会で、ええじゃないか、ええじゃないか。

    ×   ×

 万太郎急逝して42年。 <湯豆腐やいのちのはてのうすあかり>


◆コメント3:散々JRの社長を怒鳴りつけて取材をしていたジャーナリストさんが、一番不謹慎ですね。  

 朝日新聞という新聞は、若い頃に読んだことがあるが、最近は随分長いこと読んでいないのです。

 不愉快になるからです。

 ですから、私はこの記事(?)が掲載された紙面を手元に持っておりません。ネット経由で入手した情報です。しかし、何回かクロスチェックしたので、記事3の内容は間違い無く、金曜日の朝日の夕刊に載っていたはずです。

 これを書いた人間は、時事風俗を、「エスプリを交えて」「巧みに風刺」したつもりなのでしょうか?

 これは、冗談にも何もならない、単なる悪ふざけです。

 朝日新聞にJR社員が宴会をしていた、と非難する資格は無い。この「コラム」を読んだ遺族で不愉快にならない人がいたら奇跡です。

 朝日新聞は、「正義の味方」のフリをして、実はこの鉄道事故が起きたことにより、とっておきの「ネタ」、これだけで当分食っていける「ネタ」が出来たことを、世の中で一番喜んでいる連中なのではないでしょうか?

 とにかく、問題外。言語道断。

 なお、問題の「素粒子」の最後にある「万太郎」とは、小説家、戯曲家、俳人の久保田万太郎(1889年~1963年=明治22年~昭和38年)のことです。

 「湯豆腐やいのちのはてのうすあかり」は万太郎の俳句の代表作で、これ自体は別に不真面目なものではありませんが、この日のコラムで引用する意味が、私には良く分からない。 

 とにかく、この日の「素粒子」を書いた奴はバカに相違ありません。


by j6ngt | 2005-05-08 14:01

マスコミがJRを追い詰めすぎだ。運転士が緊張しすぎて却って危険だ。

◆記事見出一覧:全国のJRで、オーバーランが続出(日付は記事日付)


  • 4月30日JR西、またオーバーラン 6日連続、見習い運転士が。(共同通信)

  • 5月3日 常磐線 170メートルオーバーラン 運転士「考えごとしていた」(産経新聞)

  • 5月4日 指導運転士もオーバーラン JR西、同じ電車が2度 (共同通信)

  • 5月4日 <オーバーラン>JR山陽、東海道線で1時間半に3件相次ぐ (毎日新聞)

  • 5月5日 150メートルオーバーラン JR中央線 猿橋駅で (共同通信)

  • 5月5日 大和郡山駅でもオーバーラン=車両数勘違い-JR西日本 (時事通信)

  • 5月5日 JR奈良線でオーバーラン 10メートル行き過ぎ 黄檗駅で (共同通信)

  • 5月6日 北陸線で45メートルオーバーラン=見習い運転士、タイミング遅れる-JR西 (時事通信)


◆コメント:JR職員を過度に緊張させることにより、新たな危険が生じている。

 

 マスコミは相変わらず、JR西日本の職員が、事故当日にボーリングをしていたとか、宴会を開いていたとか、詰まらぬことを追いかけている。

 情けない。全ての新聞社がゴシップ誌になってしまったのか。今頃、何を言ったところで、仕方がない。



 事故以来、マスコミの取材の仕方はあまりにも傲慢かつ殆ど恫喝的である。

 記事1でここ一週間のオーバーランの見出しだけを拾ったが、普段からこれほどオーバーランが起きているとは考えにくい。

 尼崎の事故以来、JR西日本のみならず、日本中の電車(地下鉄を含む)の運転士が普段より緊張しているはずである。 

 「万が一にでも事故を起こしたら、自分も叩かれるし、会社にあれほど迷惑をかけるのか」、という殆ど「恐怖心」に近い心理、或いは恐怖心そのものが、日本中の電車の運転士に過度のプレッシャーを与えているのだろう。

 仕事に緊張感は確かに必要だが、緊張しすぎると、普段出来ることも出来なくなってしまうのが人間であることぐらい、誰でも分かるだろう。

 その意味からも、マスコミは冷静な報道をするべきだ。

 そもそも、あの横暴な口の利き方。あの興奮した様子。

 冷静さを失った人間に、客観的な記事が書けるのだろうか。


◆事故原因は特定されていない。

 事故の原因は未だ分からない。



 1985年8月12日に日航123便が墜落した直後から、日本航空社員への風当たりは強く、亡くなった機長の奥さんのところにまで、「良くおめおめと生きていられるな」などの嫌がらせが殺到した。

 しかし、事故の最終報告書によれば、事故機は、以前、着陸時に尾部を地面にぶつける、いわゆる「尻餅」事故を起こした経緯があった。

 その修理を飛行機の製造元であるロッキード社に依頼した。

 ロッキード社は、圧力隔壁を修理する際に、マニュアルの指示では3枚の板に両側からリベット(釘のようなもの)を反対側に貫通するまで打ち込まねばならなかったのだが、実際には、貫通せず、途中までしか打ち込まなかった。

 このため、その後、長い時間をかけて隔壁にヒビが入り、ついに事故当日、圧力隔壁が破壊され、その壊れた隔壁の一部が油圧系統のパイプを全て切断し、飛行機をコントロール不能にしてしまった。という事情が判明した。

 圧力隔壁の状態まで機長に把握せよというのは無理である。日航123便の墜落の責任は機長には、無かった。

 このように、ずいぶんと時間が経ってから意外な事故原因が浮かび上がることが、実際にあるのだから、まだ、完全に運転士の運転ミスと断定して良いのかどうか、わからない。

 実際、こういう記事もある。

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◆列車脱線・ストッパーに異常な傷跡

 

 事故の衝撃で折れ曲がった旋回運動を抑えるためのヨーダンパー。

 車体の極端な上下運動を防止するストッパーに異常な傷跡があったことが6日、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べで分かった(同委員会提供)(時事通信社)21時27分更新




 専門家では無いので、このことに関しては詳細は分からないが、「車両自体の欠陥、金属疲労の類が原因ではない」とは、完全に言い切れない、ということではないだろうか。


◆フェアな報道を希望する。

 今回の一回の事故が全てであるかのような錯覚を受けるが、統計によれば、鉄道事故による死者数は過去数十年にわたって漸減もしくは、ほぼ低位で安定していることは、国交省の「鉄道運転事故による死傷者の推移」というこのグラフを見れば、一目瞭然である。

 昭和50年の3分の1に減っている。

勿論、この資料は、JRのみならず、日本中の鉄道事故に関する統計であるから、厳密にはJR各社の事故件数推移は分からない。しかし、JR各社の旅客の合計が日本最大であることは容易に推察可能であり、JRの事故が増えていれば、これほど、事故件数は減らなかったはずである。

 しかし、何が何でもJRを「悪者」に仕立て上げたいマスコミ各社はこのような統計には全く触れない。 これは、不公平である。

  本来、こういうことを書くことこそが、マスコミの仕事であり、素人は理屈も分からず興奮している、というものである。

 今や、様々なblog等を拝見すると、一般人の方がよほど落ち着いて、論理的に思考しているのに、マスコミは完全に頭に血が上って、JR西日本社長を怒鳴りつけている。

 いくら何でも口の利き方があるだろう。

 物事を伝えるプロと素人が逆転しては困るのである。


by j6ngt | 2005-05-08 13:56

「被害者の知人」だといって、JR職員をこづき回している男がいた。いい加減にしなさい。

◆被害者側の立場に「のみ」立った扇情的報道、行動は止めろ

 

 今日の夕方、日本テレビのニュースを見ていたら、ひどい映像に出遭ってしまった。

 先週の列車事故の被害者の「知人」だ(遺族ではない)と称する男が、現場の献花台に控えているJR西日本の職員の頭を小突き、髪の毛を掴んで揺さぶり、挙げ句に胸ぐらを掴んだ。その間、ずっと聴くに堪えない罵声を浴びせているのである。

 「ワシの知り合いはのー。おまえらに殺されたんじゃー。よくも平気で生きていられるなおまー。挙げ句に運転手が(事故列車に)乗っていたのにそのまま逃げたそうやないかー。敵前逃亡やでー。」という調子である。


◆あら探しもいい加減にしろ。

 

 被害者の知人? それが何を偉そうに?

 なんだよ、「敵前逃亡」ってのは?

 どの新聞もマスコミも申し合わせたように、事故車に乗っていた運転士が救助活動をせずに、業務に向かったことをけしからん、と云う。

 それは、おかしい。

 運転士であり、自分の乗務があれば、普通そちらに向かうだろう。

 行かなかったら、出るべき電車が出なくなる。そうなったらなったで、マスコミや世間は文句を言うに違いない。

 「現場で救助活動にたずさわり、自分の乗務を忘れた運転士が二人いた」と。



 自分に当てはめて想像してみることだ。

 現場から勤務に向かった二人の運転士がけしからんという人。仮に、自分が運転士でなくてもよい、今の職業で現場に遭遇し、その朝大事な会議があったとして、自分が欠席したら会議にならないという状況で、おまえさんは、「自分ならば、それでも救助を優先した」と、全く迷うことなく言い切れるのか?


◆「被害者側の人間なら」暴行を働いてもよいのか?

 

 日テレのニュースに映ったオヤジのけしからんことは、罵声を浴びせるばかりでなく、JR西日本の職員に対して、明らかに物理的に暴力を振るっている、と言うことである。

 この様子では、多分、テレビではさすがにまずいというので放映しないが、本気でJR職員を殴った奴が、何人もいることだろう。

 しかも、遺族でもない。被害者の知人だという。JRの職員が絶対に口答え出来ないこと、抵抗しないことを知った上でやっているのだ。

 事件が悲惨だったら、「被害者側」の人間は何を言っても、何を行っても許されるのか?

 今度殴られたら、JR職員は警察を呼べばよい。暴行は歴とした犯罪だからだ。人を殴った人間は、暴行の罪で刑罰を受けるのだ。

 「被害者の知人」だからJR職員に暴行を働いても良いのか?

 良くない。全く良くない。たとえ遺族でも、良くない。

 被害者側の人間ならば、JR職員に暴行を働いても構わないというのであれば、全ての被害者の勤務先の全社員、通学していた全ての学校の全学生は、無条件で、JR西日本の職員をぶん殴っても良い、という理屈になる。そんな無法な状態が許されないことは自明である。

  事件の悲劇性と、暴行の違法性とは全く別個の問題である。

 そして、「自力救済の禁止」(仕返し、仇討ちをしてはならない、ということ)が近代法治国家の大原則であることぐらい、高校生でも知ってるだろう。

 事故が起きて辛いのは、遺族だけではない。 

 JR西日本の職員やその家族まで、肩身の狭い思いをしているのだ。その一人一人には責任はないにも関わらず。

 それなのに、家族は、嫌がらせを受け、子供が学校で虐められたりしている。

 繰り返すが、JRは決して抵抗・反論出来ないと分かっていて、これに対して様々な精神的・肉体的苦痛を加えるのはいくら事件が悲惨だったからと言っても、卑怯だし、法的にも許されない行為なのだ。


◆扇情的な報道が、さらに感情的な行動を惹起している。

 

 腹立たしいのは、JR職員に暴行を働く男ばかりではない。、献花台に立っていたJR西日本の職員が殴られるのを、「これは美味しい画像(え)だ」(嫌な言い方だが、これがマスコミの本音だろ?)とばかりに、カメラに納め、暴行を止めなかったテレビ局の職員。そういうのを下司(げす)な根性というのだ。

 単に下司では、済まない場合もある。

 法的責任が問われるかも知れないのだ。幇助(ほうじょ)という。

 状況によっては、暴行罪の幇助犯(共犯の一種、他人の犯罪の実行を容易にすること。見て見ぬふりをして、暴行を止めなかっただけで、幇助とされた判例もある)になるかも知れない。

 法的云々はともかく、このような映像を流しておいて、これはいけませんね、という「キャスター」はいなかった。

 つまり、少なくとも日本テレビは、この暴力を妥当であると考えているのだろう。その態度が間違っている。


◆繰り返す。客観的事実だけを伝えよ。

 一昨日書いたばかりだが、マスコミは、視聴率を求める余り、センセーショナリズムに走るべきではない。それは、不幸な人間を増やすだけだ。全く関係の無い視聴者まで、不快にするだけの情報を流すぐらいならば、事件の最終調査結果が出るまで、何も伝えない方が良い。


by j6ngt | 2005-05-04 21:07

ピアノの本当の美音。アシュケナージのモーツァルト

◆ウラディーミル・アシュケナージ

 

 今シーズンからN響の音楽監督は、ウラディーミル・アシュケナージという人です。旧ソ連から亡命した人です。

 その半生記を書くと長くなるので割愛します。

 とにかく、世界中の音楽ファンなら誰でも知っているこのような超有名人が、ついに日本のオーケストラの指揮者になったのかと思うと、30年間N響を聴いてきた私にとって、感無量です。

 自分で書くのも何ですが、聴く側だといっても、30年っていうのは並じゃないですよ。

 N響の今の若い楽員さんが生まれる前から、聴いているんだから。下手したら、彼よりはN響を知っている。

 なんてね。勿論弾く側の苦労に比べれば、大したことは有りません。



 さて、アシュケナージは、もともとピアニストです。最近、なんでも「超」をつけますが、この人が世界的にみて、「超一流」のピアニストであることは、好みの問題を通り越して、誰もが認めざるを得ないでしょう。

 アシュケナージのピアノは何がすごいか。勿論テクニックはある。それは、もう滅茶苦茶に上手い。

 しかし、何よりも彼を世界的たらしめたのは、その唖然とするほど美しい音色です。




 楽器は不思議なもので、同じピアノを弾いても、一人一人、違う音色がするのです。科学的にどう解釈するかは音響物理学とか何とかいう学者さんの分野でしょうが、要するに、同じフェルトを貼った、木のハンマーが鋼鉄の線を何トンという力で張ったものを叩くわけです。

 そのハンマーアクションの構造というのはとても複雑で、「よくもまあ、こんな仕組みを考えたものだ」と思います。

それはさておき、このハンマーは勿論、ピアニストが鍵盤を押さえることによって動くわけですから、動き出してから、弦(ピアノ線)に当たるまでの、わずかな加速度の違いが、音色の差になっているものと思われます。


◆モーツァルトピアノ協奏曲23番、27番の一枚は死ぬほど美しい。

 

 理屈はこのぐらいにして、それでは、アシュケナージの美音を堪能するのに、何から聞くのがよいかというとですね、簡単に選ぶのなら、ショパン夜想曲全集ですね。

「夜想曲」とは、「ノクターン」を日本語にしたものです。

 これはもう、どうにもこうにも、文句の付けようがない。

 日本の音楽評論の第一人者で、吉田秀和さんという方がいらっしゃいますが(ホロヴィッツが初めて日本に来たとき、あまりにひどい演奏だったんですが、これを「ヒビの入った骨董品」と形容したことで有名です)、吉田さんは、「このCD集の唯一の欠点は、全てが、あまりにも完璧な演奏であることだ」と言ったぐらいなのです。

 ちなみにこういう、沢山の曲が入った全集を聴くとき、真面目に最初から全曲通して聞く必要は全くありません。

 好きなところから聴いて、好きなところで止めればよいのです。

 それで、例えば、DISK2の8曲目、夜想曲第20番嬰ハ短調ってのを聴いてください。「戦場のピアニスト」で有名になったそうですが、私は見ていないのでしりません。とにかく、圧倒されます。そう、圧倒されるんですね。



 これに対して私は、まず、ショパンよりも先にモーツァルト:ピアノ協奏曲第23番&第27番をお奨めします。これは、「圧倒される」というよりも、「優しく包み込まれる」という感触です。参考までに書きますが、これはコンチェルトの「弾き振り」です。つまり、アシュケナージがピアノ協奏曲のソロを弾きながら、自分のパートが休みの時には、オーケストラを指揮しているのです。

 私は、この演奏を聴いたときに、「この世にこれほど美しいピアノの音色があったのか!」と思いました。

 曲は勿論素晴らしいです。モーツァルトってのは、駄作が無いのです。その中でも、この2曲は特に有名な部類に属します。ここのAmazonのカスタマーレビューの人と奇しくも私も同じことを思いました。

 つまりですね。この後、モーツァルトのピアノ協奏曲23番が大好きになりまして、いろんな古今東西の演奏を聴いてみたのですが、どうしても、このアシュケナージほど美しいピアノの音は聴けないのです!

 最初にこういう、本当の超一流の大天才が書いた名曲を、超一流の演奏で聴かないと、損です。間違った尺度が出来てしまう。

 ここから後は、書こうかどうしようか迷ったのですが、相手はカネを取っているプロだからはっきり書かせていただきます。

 このごろ、なんとかヘミングなんてオバサンがもてはやされています。これも、テレビの影響です。しかし、違う。あの人は技術もなければ美しい音も無い。

 ああいうのを褒める人は、忌憚なく言わせてもらいますが、ピアノを知らない人です。


by j6ngt | 2005-05-04 12:35 | 音楽

マスコミの見識 尼崎鉄道事故から1週間

◆尼崎事故から1週間であることぐらい分かっている。

 

 今日のマスコミ報道は、予想していたこととは云え、「事故から1週間を経て、悲しみから到底抜け出せない家族」や「JR西日本幹部を怒鳴りつける家族」の映像を流し、如何にも沈痛な、偽善的なトーンでナレーションを加えていた。

 新潟中越地震の時にも、マスコミ各社は顰蹙を買っていた

 今回も同じようなことをしているような気がしてならない。

 遺族が「どのようなお気持ち」か、普通の人間ならば、訊かなくても、想像できる。

 遺品を手にして泣き崩れる姿を全国に放映されて嬉しい遺族がいるわけがない。

 同情するフリをして、結局数字(視聴率)が取れる画像を編集することに血道を上げている。


◆JR西日本の経営責任

 

 JR西日本に関して、「過密なダイヤを組み、過度に収益を重視した経営体質が、無茶な運転を運転士に強いた」ことがやたらと強調されている。

 どうやら、人材の育成の面で長期的展望に欠け、30代の中堅がおらず、若手の社員が、粗製濫造気味に運転士にさせられていたということらしい。

 そうだとしたら、それは、問題であろう。

 だが、事故調査の最終報告が出ていない時点で、状況証拠だけで、どこまでもボコボコに叩くというのは、どうか?

 鉄道会社が安全を軽視して良いわけがないが、民間企業である以上、収益を重視しなかったら、バカであり、株主に訴えられても仕方がない。

 安全だけを重視するならば、全ての列車を時速30km以上で走らせないようにすれば、脱線はしないだろうが、そんなことをしたら、乗客が暴動を起こすか、全て阪急に取られていたであろう。

 過密ダイヤはけしからん。だが、安全性を向上させた上で、今後も同じ頻度、ダイヤで運行せよ、というのは、論理的に無理がある。

 何でもよいから、JRさえ叩けば数字が取れるという、マスコミの計算が働いている。

 「新幹線並の、つまり、過速度を感知したら、自動的に制動をかける、ATSの導入が望ましい」、というような多少なりとも建設的な論説は出ないのか。


◆マスコミに人を裁く権利はない。

 

 テレビニュースを見ていて気になるのは記者だかなんだかしらないが、JRの社長や社員に向かって(彼らは未だ刑事被告人でもなければ、起訴もされていないし、それどころか、逮捕もされていないのである)、怒鳴りつけるような口調で質問していることだ。

 あれでは、質問というよりも、尋問、取り調べである。

 それは、マスコミの仕事ではない。司法警察員の仕事である。

 司法警察員であっても、検挙した人間を無闇に乱暴に人間の屑のように扱って良いとは、六法全書のどこを見ても書かれていない。


◆当事者が感情的になるのは無理もないが、マスコミが煽るべきではない。

 

 要するに、マスコミは「本当に確かに判明したこと」と「まだ、判明していないこと」を峻別して分かりやすく報道するのが第一の任務であり、それを見てどう判断するかは、視聴者に委ねられるべきなのだ。

 ところが、マスコミ、それも特に、「視聴率」という呪縛にとらわれた民間放送局は、事実を必要以上に感情的に描写して、冷静な判断の妨げになっている。

 JR西日本が使命感に欠けている、と批判するマスコミは、自らの使命は何かを今一度熟考する必要がある。


by j6ngt | 2005-05-03 00:15

「バグダッド・バーニング―イラク女性の占領下日記」というサイトと本があります。

◆日常にかまけて忘れそうになるが、イラクでは今日も人が殺されている。

 

 尼崎の鉄道事故で100名を超える方が亡くなり、中には大勢の若者がいた。

 若いお嬢さんで、早くに母上を亡くされ、父上と兄上の面倒を見ながら(つまり、主婦の役目を果たしつつ)勉強し、ようやく少し余裕が出来て、生まれて初めての海外旅行(韓国)に行く、楽しい日々が始まるはずのときに、空港へ向かうためにあの電車に乗り合わせたが為に、ささやかな幸福も奪われた。

 留守中、家族が不自由しないように、電子レンジの使い方とか、納豆のかき混ぜ方とか、細々としたことをメモにして残していった、優しいお嬢さんであった。

 ご本人と家族の無念を思うと、胸が苦しい(私は今、本当に苦しいのである)。


◆事故で亡くなった人が気の毒なら戦争で毎日人が死んでいることをも思い出すべきだ。

 

 日本人が、まず、日本国内の出来事に目を向けるのは自然なことであるが、テレビ・新聞・インターネットを少し読めば、例えば中東では、毎日人が死んでいることが分かるはずである。

 イラク戦争が始まってから、今日までで773日になる。

昨年、2004年10月29日にイラク戦争が始まってから死亡したイラク人の数が10万人を超えたというニュースが流れた。

その後も、死者数は増え続けている。現在は戦争というよりも、内戦に近いけれども、いずれにせよ、人が死んでいることには変わりはない。


◆イラク戦争を開始したのはアメリカである。

 

 2003年3月20日にイラク戦争を開始したのは、アメリカ合衆国である。

 この戦争に正当性は無かった。

 そもそも、現在の国際社会では、戦争は原則的に違法行為なのである。

 その根拠は、国連憲章という国際法である。これを読むと、国際紛争は、平和的に解決しなければならないということが明記されている。

 但し、例外、つまり武力の行使を容認するケースが2つだけある。

 1つは、自衛権を行使する場合(第51条)。

 他国が侵略してきて、これに対して自国民を守るために武力を用いることはやむを得ない。日本の国内法(刑法)になぞらえれば「正当防衛」である。

 もう1つは、やたらと好戦的で、他国への攻撃を行いあるいは、他国を侵略する国が有った場合、これを鎮めるためには、国際社会が団結して武力で対抗するしかない、と国連安全保障理事会がやむを得ず決定し、多国籍軍の派遣を決めた場合である(第42条)。


◆イラク戦争は2つの正当化事由、いずれにも該当しない。 

 

 イラク戦争を始めたとき、ブッシュ大統領はその理由として、イラクは大量破壊兵器を保有しており、その大量破壊兵器はテロリストの手に渡り、明日にでも、アメリカ本土が911と同じような攻撃を受けるかも知れない、というものだった。

 結果的に、大量破壊兵器は存在しなかった。開戦前、アメリカ合衆国は「イラクが大量破壊兵器を保有している、確かな証拠がある」と述べていたが、後の証言で、実はそんな証拠は存在していなかったことが分かった。

 しかしながら、仮定上の問題として、もしも、イラクが本当に大量破壊兵器を保有していたとしても、国連憲章が認める武力行使の要件を満たすものではなかった。イラクが実際にアメリカを攻撃してきたならば別であるが、イラクはそのような動きは全く見せていなかった。したがって、イラク戦争は自衛権の行使とは言えない。

 また、国連安全保障理事会は、国連原子力委員会の査察の報告を受け、さらに数ヶ月イラク国内を査察する必要があると考えており、直ちに多国籍軍をイラクへ派遣するべきだ、という意見は全くなかった。

 要するに、どこからどう見てもイラク戦争は、正しくないのである。


◆イラク戦争の「大義」という言葉を使うバカ

 

 日本の政治家もマスコミもイラク戦争が始まった2003年から昨年にかけて、しばしばこの「イラク戦争の大義」という言葉を用いた。

 戦争に関する国際法の規定が存在するというのに、「大義」などという定義が曖昧な言葉を使うべきではない。

 先に書いたように、現代国際社会では、原則として武力行使は違法なのである。

 議論をするならば(後に述べるとおり、議論の余地など存在しないのだが)、「イラク戦争の正当性の法的根拠」というべきである。

「大義」という言葉を使っている連中は、「大量破壊兵器が見つかったら、イラク戦争は事後的にでも正当化される」と思っていたのであろうが、不勉強にもほどがある。


◆そもそも、議論の余地など無いのである。

 

 イラク戦争に大義はあるか、などと国会で話しているのをみて、国会議員の無知さ加減に腹が立った。

 国際法、国連憲章を読めば、議論の余地はない。

 イラク戦争は違法行為である。


◆イラク人なら死んでもよいのか。

 

 日本国内で100人が事故でなくなったのは悲惨である。事故の原因は多分何らかの過失であろう。

 だが、故意ではない。戦争は、故意による殺人である

 イラク戦争は、ジョージ・ブッシュが故意に始めた人殺しである。
 イラクでは、10万人、しかも多くは無辜の女性や子供が、銃弾やロケット砲や爆弾で頭を吹っ飛ばされ、或いは体中が肉片となって飛び散って亡くなっている。

 何万人という親が子供をなくし、何万人という子供が腕や脚をもがれ、挙げ句、孤児になった。

 これを気の毒だと思わない人が、日本人に、いる。

 小泉純一郎内閣総理大臣である。彼は一貫して「イラク戦争は正しかった」といっている。



 私は、イラク戦争が始まる前も始まるときにも、始まった後も、一貫してこれに反対してきた。それは、過去の日記をお読み頂けば、お分かりになるだろう。

 そして、日本がこの戦争を支持することは正しくない、ということも、一貫して主張してきた。今もその考えは変わらぬ。

 従って、私は、小泉首相の考え方は正しくない、と判断している。


◆「リバーベンドの日記」を読むと良いですね。

 

 イラク戦争における「アンネの日記」といわれている。リバーベンドという、開戦時24歳だった女性が、戦火のイラクの様子を綴った日記、blogである。いまもWeb上で続いていて、日本人の翻訳者が訳してくださっているBaghdad Burningというサイトがある。

 この日記の、一番最初、開戦時の部分は、バグダッド・バーニング―イラク女性の占領下日記という本になって売られている。

 繰り返すが、事故で人が亡くなってもこれほど辛い。

 ましてや、戦争で人が亡くなると云うことは、明らかに他の人間の悪意によって、その命が失われた、ということなのだ。

 だから、遠い場所での出来事とはいえ、戦争を看過すべきではない。


by j6ngt | 2005-05-02 00:47 | ニュース

「閉鎖滑走路に着陸許可」何だか、日本人、たるんでいません?

◆記事1:閉鎖滑走路に着陸許可=「忘れて」管制ミス-事故調が調査・羽田空港

 

 29日午後9時39分ごろ、補修工事のため閉鎖中だった羽田空港のA滑走路に、帯広発の日本航空1158便エアバスA300型機(乗員乗客51人)が着陸した。管制官が工事日程を忘れていたのが原因で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は事故に準ずる重大事案「重大インシデント」として調査を始めた。

 工事開始前のため、滑走路上に関係車両などはなく、けが人はなかった。同省は日航側に謝罪するとともに、担当した管制官18人を業務から外し、再教育を行うことを決めた。  (時事通信) - 4月30日14時0分更新


◆記事2:閉鎖滑走路への着陸誤指示 管制官ら全員が失念

 

 羽田空港で29日夜、工事のため閉鎖されたA滑走路に日航機が着陸したトラブルで、国土交通省は30日、管制官ら管制グループ18人全員が滑走路閉鎖を失念し誤った指示を出したのが原因と判断、同省航空・鉄道事故調査委員会は重大事故につながる恐れがあったとみて、調査官3人を羽田空港に派遣し調査を始めた。

 国交省は航空法違反で処分する方針。また降下中の別の日航機が、着陸をやり直していたことも分かった。

 事故調委は管制交信記録を分析するなどして、詳しい状況を調査。指示を出した管制官(35)は事情聴取に「漠然とは閉鎖があることは頭の隅にあったが、昨日がその日との認識はなかった」と話しているという。 (共同通信) - 4月30日16時41分更新


◆記事3:JR西、またオーバーラン 6日連続、見習い運転士が

 

 30日午後5時ごろ、大阪府高槻市富田町1丁目のJR東海道線摂津富田駅で、西明石発京都行きの普通電車が停止位置を約4メートル行き過ぎた。JR西日本では、尼崎脱線事故を起こした快速電車のオーバーラン以降、6日連続の発生。

 JR西日本によると、見習い中の運転士(22)がブレーキのタイミングを誤ったという。指導のための運転士(26)が同乗していた。電車に遅れはなかった。 (共同通信) - 4月30日20時48分更新


◆コメント1:飛行機と鉄道が全てではないが・・・・。

 

 どうも、日本人の仕事へのモラルが下がっているような気がする。

 正確に言えば、モラルが低い人の全体に占める割合が、じわりじわりと上がっているような印象を受ける。

 私の場合、それを感じ始めたのは、三菱自動車が「明らかに構造上の欠陥があり、これを放置すれば事故を引き起こす可能性がある。」との報告が技術者からなされていたのに、「リコールするとカネがかかる」という驚くべき理由で、経営陣がこれを無視した、という昨年の出来事を知ってからである。

 世界に冠たる、高い技術に裏付けられた、高品質を誇るべき日本の製造業-戦後日本経済発展の立役者-が、「人の命に関わる欠陥を抱えた商品を、放置した」という事実は、悪夢のようであった。

 これは、単に一人の経営者の人格の問題というよりも、日本人の精神のあり方の変化を象徴しているように思われた。


◆コメント2:管制官18人全員が「忘れていた」で済むか!

 

 同じ、公共交通機関に関することではあるが、先日の尼崎の事故に関しては、まだ、原因は究明されていないので、コメントするべきではないと考える。

 しかし、今日の管制ミスはひどいぞ

 閉鎖滑走路に着陸許可を出した。18人の管制官の誰もがそのミスに気がつかなかった。

 閉鎖滑走路は、工事のために閉鎖されていた。

 今回、事故が起きなかったのは、たまたま幸運に恵まれたからである。


◆コメント3:大惨事になった可能性は十分にある。

 

 もしも、この滑走路が工事の為に路面がボコボコだったら、飛行機は着陸後、脚を壊して胴体をこすり、火を噴いたかも知れぬ。

 今日は天候が良く、パイロットも、管制官の着陸許可を得た上に、自らの目視確認で、滑走路上に障害物を認めなかったからこそ、ランディングを決断したのだろうが、天気の悪いときには、視界200メートルとか、最悪100メートルで着陸する場合もある。

 その場合は、パイロットは、管制官を信じて着陸するのである。「この滑走路の前方には何もありませんよ」と管制官がいちいち告げるわけではないが、「着陸許可が出る」とは、管制官が滑走路の安全をパイロットに保証している、ということであるから、その言葉を信じてランディングを決行するのである。

 もしも、今日の閉鎖滑走路付近の天候が悪く視界不良で、しかも、当該滑走路上に、工事用機械(ブルドーザーなど)が存在していたら、どうなったであろう。

 パイロットはその訓練過程において、「タッチ・アンド・ゴー」といって、一旦、着地した後、直ちにフラップを戻してエンジン出力を最大に引き揚げて、再び離陸上昇する、という操作を会得している。

 しかし、空母に着艦する軽い戦闘機ならまだしも、巨大な旅客機が着地後、たとえば、前方数百メートル上の障害物を発見して、直ちに、タッチ・アンド・ゴーの体勢に入っても、間に合うかどうか分からない。間に合わなければ、ぶつかるだけだ。

 要するに、今日は、たまたま、事故は起きなかったが、運が悪ければ、時速200kmぐらいで突っ走る旅客機が、ブルドーザーに激突し、爆発炎上、全員死亡の大惨事になっていた可能性も十分にあったのだ。その意味では、身の毛もよだつほど、恐ろしいミスである。

 なにを大げさな、と言う人は危機管理=リスク・コントロールが何かを理解していない人である。

 リスク・コントロールは最悪の事態を想定するべきだからである。


◆コメント4:先日掲載したが、3月以降の航空関係の「事故には至らなかったミス」をもう一度掲げる。

 本日、モモリーネ様の日記で取り上げてくださったが、私の4月26日の日記で取り上げた、航空関係で最近多発している、「ミス」「小事故」を掲げる。


  • 新千歳空港で1月、管制官の許可が出る前に日航機が離陸滑走を始め、管制官の指示で停止し離陸をやり直すトラブルがあったことが3月1日、分かった。日航はこのトラブルを国土交通省に約1カ月報告せず、同省は日航に厳重注意した。

  • 3月2日午後7時ごろ、青森空港で、札幌行きの日航2808便MD81(乗客乗員46人)が誘導路を走行中、除雪した雪だまりに右翼先端をぶつけライトを破損した。乗客らにけがはなかったが、同機は欠航した。

  • 3月3日 羽田空港で3月3日に、女満別から到着した日航1184便エアバスA300(乗客乗員150人)が、管制官から指示された誘導路を通り過ぎるトラブルがあったことが4日、分かった。 日航は「管制指示違反に当たる可能性がある」として国土交通省に報告したが、同省は「報告義務が生じる状況ではなかった」としている。

  • 3月11日 韓国・ソウル近郊の仁川空港で3月11日、日航機が管制官の意図に反して滑走路に入り、この滑走路に向け降下中だった韓国機を管制官が回避させていたことが12日、分かった。日航が同日、国土交通省に報告した。

  • 3月16日 羽田発札幌行きの日航機が16日、緊急時に作動する脱出用スライドのスイッチの切り替えをせずに運航していたことが17日、分かった。客室乗務員の確認ミスとみられ、日航は国土交通省に報告した。

  • 3月22日午前9時すぎ、広島発羽田行き日航1600便エアバス300-600(乗客乗員136人)の機長から「操縦室内で煙のにおいがする」と羽田の管制塔に連絡があった。 同機は午前9時半、羽田空港に緊急着陸したが、機体に異常はなく、けが人もいなかった。日航などがにおいの原因などを調べている。 羽田空港には緊急着陸に備え、消防車が待機した。

  • 3月22日 福島空港でJAL機尻もち 滑走路灯破損

  • 3月22日午後8時40分ごろ、オーストラリアのブリスベーン発成田行き日航762便のジャンボ機が、成田空港に到着後の機体点検でエンジン付近のパネルの一部が脱落していることが分かった。

  • 3月27日午前8時すぎ、ジャカルタから成田空港に到着した日航726便ボーイング777の左翼からゴム製部品が脱落しているのを整備士が発見した。空港は2本の滑走路のうち1本を午前8時16分から7分間閉鎖して調べたが、部品は見つからなかった。発着便に影響はなかった。

  • 3月30日午前1時15分ごろ羽田空港で、けん引車で誘導路を移動中の日航ジャンボ機の左翼が、空港外周のフェンス監視用カメラの支柱に接触し損傷した。ジャンボ機には誰も乗っておらず、けん引車の作業員2人にもけがはなかった。

  • 4月5日 日航機の部品の一部が欠損 全日空機も部品脱落

  • 4月7日 高松空港に7日夜到着した羽田発の日航1411便エアバスA300で、エンジン付属部品のボルト1本が脱落しているのを整備士が発見した。羽田、高松両空港で8日朝、滑走路を点検したが見つからなかった。

  • 4月12日 日航は12日、社内規定で資格を満たしていない副操縦士が、計3便で離着陸をしたことを明らかにした。 日航によると、6カ月以上の経験がない副操縦士は、教官資格がない機長と乗務した場合、離着陸時に操縦することが禁じられている。この副操縦士は発令後5カ月余りで資格外だった。

  • 4月14日 成田空港に14日午後、到着したホノルル発の日航73便ジャンボ機の翼にある部品の一部が欠けていたことが、到着後の機体点検で分かった。

  • 4月17日 17日午後6時ごろ、成田発香港行き日航735便DC10(乗客乗員約200人)が離陸のため誘導路を移動中、操縦装置などを動かす油圧系統の一つが異常を示した。 同機は駐機場に引き返し、点検のため滑走路が約8分間閉鎖された。乗客は代替機に乗り換えて、約3時間遅れで出発した。

  • 4月22日 全日空便が無許可滑走 機長、管制指示を「失念」 小松空港


◆コメント5:「管制ミス」とは、どれぐらい危ないことか。

 

こういう事件があったのを覚えていませんか?2001年の出来事です。

◆日本経済新聞2001.2.3【14版1面】━

 1月31日、静岡県焼津市付近の上空で日航機同士が異常接近(ニアミス)し、羽田発那覇行き907便ジャンボ機の乗員乗客計42人が重軽傷を負った事故で、国土交通省は2日、「管制官が接近を回避するため航空機を降下させる際、便名を呼び間違えて指示した」との調査結果を発表、管制ミスが事故の原因となったことを明らかにした。

 同省航空局は同日、管制を担当した東京航空交通管制部(埼玉県所沢市)の管制官2人に対し、事情聴取を実施。

 その結果、当該空域の管制資格を取得するための訓練中だった管制官(26)が、航空機の接近を回避するため、着陸予定の釜山発成田行き958便(DC10型機)を降下させるつもりで、誤って907便を呼び、降下指示を出していたことが分かった。

 907便は指示通り、降下を開始。管制官は言い間違いに気づかず、混乱したまま指示を続け、両機は約1分半後にニアミスした。

 当時、管制卓には教官役の管制官(32)が付き添っていたが、この管制官も管制ミスに気づかなかった。

 この後、しばらくして、指導を受けていた管制官(の卵)も指導を行っていた管制官も、自らのミスの大きさにより、PTSDだか、パニック障害になったと記憶している。

 だからといって許されるわけではないが、本人達が如何に重大なミスだったかを一番良く理解していたのであろう。とにかく、航空管制官の責任は重いのだ。


 長くなるので、多くは触れないが、その責任の大きさの割に、航空管制官の給料は驚くほど安い。責任だけ負わせて給料は安い。

 一方で、地方公務員なんてのは、一日中市役所の出張所で新聞を読んでいるだけ、のようなオヤジがいつまでも辞めず、辞めるとなると結構な額の退職金を手にする。この国は、税金の配分がおかしいのだ。


◆コメント6:しかし、それにしても、たるんでいる。

 

尼崎の列車事故の数日後には、こんな事故もあった。

 

◆<磐越事故>高速バスが横転 3人死亡、3人重傷 猪苗代町

 28日午前6時ごろ、福島県猪苗代町の磐越道上り線の磐梯河東IC―猪苗代磐梯高原IC間で、大阪発仙台行きの高速バスが横転し、3人が車外に放出され全身を強く打つなどして死亡、3人が重傷で近くの病院に搬送された。また、他の14人は軽傷だという。上り線は同20分から同区間で通行止めになっている。(毎日新聞) - 4月28日8時57分更新

 これは、運転士がよそ見をしていたのが、事故の原因であることが判明した。

「プロの運転士が」「高速道路で」「よそ見」?

 素人の私ですら、よそ見をして運転をしたことなど、ないぞ。

 そして、冒頭に引用した記事3「JR西日本オーバーラン6日連続」。

 運転していたのは見習いだが指導官がそばについていて、ブレーキングが遅れるのか。

 いっそ、電車も自動車教習所の教習車のように、教官用の副ブレーキを設置してはどうか。


◆コメント7:原因はいろいろ考えられるだろうが・・・。

 

 非常に月並みな、だれでも思いつくことと云えば、今の日本は、もはや、高度成長期のような経済成長は期待できず、昔のように「長く務めていれば、自然に給料が上がってゆく」という世の中ではなくなっていることだ。一言で言えば、「働きがいがない。」

 真面目に働いていても、給料を減らされたりする。

 努力しても報いが無いという世の中では、モラルが下がる可能性は高い。

 しかし、それでは、給料を上げれば、「オーバーラン」や「航空機の整備不良」や「航空管制官のミス」が根絶するとは保証できない。

 私のように頭の悪い人間に云えることは、ただひとつ。

 無闇に「向上」しようとしなくて良い。

 誰もが「自分の普通の仕事を」「ちゃんとやる」ことだ。


by j6ngt | 2005-05-01 01:07