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【音楽】ベンジャミン・ブリテン 「青少年のための管弦楽入門」(音と映像)

◆曲名から軽く見られがちなのですが、名曲なのです。

今回は、小学校か中学校の「音楽」の時間に、聴かされた方もいらっしゃるであろう、

英国の作曲家、ベンジャミン・ブリテン(Benjamin Britten )(1913-1976)の管弦楽曲、

「青少年のための管弦楽入門」を「見て」いただきます。

正式には、「青少年のための管弦楽入門 - パーセルの主題による変奏曲とフーガ 作品34」

(The Young Person's Guide to the Orchestra - Variations and Fugue on a Theme by Purcell, op. 34)ですが、

長い名前を覚える必要はありません。お勉強じゃないですから、どうぞお気楽に。


この曲は、「青少年のための~」というタイトルが邪魔してます。

殆どの場合、「青少年のための管弦楽入門」は、プロコフィエフの子供用の作品、「ピーターと狼」、サンサーンスの冗談音楽「動物の謝肉祭」と共に、

一枚のCDにカップリングされていますが、ブリテンの作品は「入門用」として子供が聴く音楽、という概念を超えて(勿論子供が聴いてもいいのですが)、

普通のコンサートのプログラムに載せて、大人が鑑賞する価値があります。


◆この曲こそ、本当は演奏を見なければ、面白くないです。

最近、このブログでは、音だけでなく、オーケストラを「見」て頂くためにYouTubeの画像を用いています。

オーケストラは、見るものでもあります。

特に、この曲など、その典型です。音楽だけ聴かせて、これがフルートだ、ファゴットだといってもつまらない。

映像が伴って、初めて、どの楽器が何という名前で、どういう音を出すのか、はっきり分かります。


◆映像は二つのファイルに分かれます(YouTubeは10分までなので)。Part1

まずパート1です。演奏は、マイケル・ティルソン・トーマス指揮、ロンドン交響楽団です。

イギリスという国は、何故か大作曲家が出ない国で、20世紀のブリテンがこの曲に使った主題は、

ヘンリー・パーセル(1659-1695)という17世紀の作曲家のものです。

(余談ですが、今、気が付きましたけど、パーセルは、今年、生誕350年ですね。)

まず、聴いていただきます。最初は、オーケストラ全体の演奏(総奏=テュッティ)で壮大にパーセルの主題が演奏され、

その後、その主題を木管合奏→金管合奏→弦楽合奏→打楽器合奏の順で繰り返します。

オーケストラは大きく分けると、この四つのグループから出来ているのだよ、ということを紹介しているわけです。




次に主題が、オーケストラの各楽器で変奏されます。再生開始後の時間を書き留めました。

完全に正確ではないですが、分かると思います。再生開始後の時間と楽器名。因みに,、「2:00」は「2分0秒」です。

まず、木管楽器

2:00 フルート。華やかです。

2:17 ピッコロ。一番小さい楽器なのに、ものすごく音が、通ります。オーケストラの最高音はこの楽器が出します。

2:36 オーボエ。オーボエは古くからオーケストラに使われている楽器です。色々なことができますが、ここでは哀愁を帯びた音色に着眼しています。

3:36 クラリネット 何でも出来てしまうクラリネット。音域が広く。高音域と低音域で音色が違う。そのコントラストがよく出ています。

4:20 ファゴット(英語だとバスーン)。木管楽器の最低音域を担当します。鼻にかかったような音色が独特です。滑稽な感じを出すことも出来ます。


弦楽器セクションになります。

5:15 ヴァイオリン。オーケストラの「心臓」です。

5:46 ヴィオラ。メロディを弾くヴァイオリンと、低音楽器は目立ちますが、内声部を担当するヴィオラは普段、なかなか裸で音が

聞こえないけれども、内声がいるから、ハーモニーが充実する。大事な楽器です。

6:45 チェロ。コントラバスと一緒に低音でオーケストラの響きをささえることも、表に出てメロディーを弾くこともあります。

7:45 コントラバス。ここはブリテンはコントラバスに親切です。普段は低音ですが、このように流麗にメロディーを弾くことも

出来るのですよ、コントラバスは。と言っているようです。弓の持ち方、よく見て下さい。

チェロと同じような持ち方です。フランス式です。

ベートーベン 交響曲第7番 終楽章 聴き(観)比べ。のN響を見て下さい。

弓の持ち方が違うでしょう?日本のオーケストラはドイツ式なのです。

英語圏(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなど)のオーケストラは大抵フランス式です。

コントラバスの弓の持ち方を見れば、そのオーケストラがドイツ式かフランス式か、分かります。


◆「青少年のための管弦楽入門」(Part2)





ちょっと、キリが悪いのですが、コントラバスが途中で途切れ、残りがこのPart2で演奏されます。

0:33 弦楽器の一種と言えますが、これまでと違う、弦をはじいて音をだす、御存知、ハープです。

世界中のオーケストラを調べた訳ではありませんが、ハープは女性奏者が多い。

しかし、ロンドン交響楽団、珍しく男性です。尤も、長年女性の入団を認めなかったウィーン・フィルは、

当然、ずっと男性でした。日本のハープ奏者も大抵女性ですが、日本のハープの先生の元祖はモルナールさんという方で、

やはり男性奏者です。

弦を低音から高音、又はその逆に連続的に撥じく、ハープの「グリッサンド」には独特の効果があります。


次は、金管楽器になります。

1:20 ホルン。オーケストラではホルン四本で使われることが多い。ハーモニーの美しさ。ベル(開口部)が、

他の金管と異なり前を向いていないことが、独特の響きの一因です。

2:05 トランペット。如何にもトランペットらしい、信号ラッパのリズムです。この楽器の音は皆さん御存知でしょう。

2:32 トロンボーン。この堂々とした音。トロンボーンは派手な音も出せますが、音が互いに良く溶け合い、ハーモニーが

やはり、大変美しい。ホルンがフォルテで吹くと、トロンボーンと紛らわしいことがあります。

2:47 テューバ。金管の最低音域を担当します。トロンボーンよりさらにオクターブ低い。何故か姿が映りません。


最後に打楽器です。

3:40 一番大事な打楽器、ティンパニ。太鼓ですが、音程が変えられます。このため、リズムを強調するだけでなく、

コントラバスなどと共に、オーケストラの低音を補強することもあります(ブルックナーとかね。特に)。

4:01 バス・ドラム(大太鼓)とシンバル。ここぞと言うときの強打の印象が強烈です。

4:10 タンバリン。手に持って叩きますが、周りに小さなシンバルが沢山付いている。なかなかいい音を出すのが難しいです。

4:15 トライアングル。小さい楽器ですが、音を鳴らしたら、必ず聞こえます。間違えたら直ぐにバレる、ということです。

4:21 スネア・ドラム(小太鼓)。打楽器の基本は小太鼓なのです。木製のスティックのバウンドをコントロールするのが、

大変難しい。片手で2回以上ずつ叩いて、「ザーッ」と持続音にする独特の効果を上げる「ロール」という奏法もあります。

かの有名な「ボレロ」は小太鼓が無くては始まりませんね。

4:31 シロフォン。木琴です。マリンバも木琴ですが、あれはアフリカの民族楽器を改良したもので、別の楽器です。

マリンバは柔らかい音がします。オーケストラで使う木琴はシロフォンですが、音が非常に目立ちます。

カバレフスキー「道化師」のギャロップ、ハチャトゥリアンの剣の舞で大活躍。ショスタコービッチの交響曲でも使われます。

4:43 カスタネット。オーケストラでは、このように、柄の付いた楽器を用います。コツが分からないと、正しいタイミングで

鳴りません。

4:55 ムチです。二枚の板の端が蝶つがいで繋いであり、両方の板を合わせて音をだします。マーラーの交響曲や、

ポピュラーなところでは、ルロイ・アンダーソンの「そり滑り」に登場します。


◆コーダ(終結部)。二重のフーガが天才的着想です。

5:32から、ブリテンが作った早いパッセージを今までの順番で各楽器が演奏し、

7:27から、最初に奏でた「パーセルの主題」と重なります。パーセルの主題は壮大に鳴りますが、

同時にブリテンの早いパッセージが演奏されて、二重のフーガになります。これは圧巻です。

見事に計算されています。こういうオーケストレーションは数学的な知能が無いと、作曲出来ないと思います。

この部分だけでもブリテンは天才ではないかと言うぐらい、見事な作曲技術です。音楽的な盛り上がりは、

最高潮に達します。

如何でしょうか。これをCDで探すとやはり「ピーター」、「謝肉祭」とカップリングされているのが多い。

それから、「青少年のための管弦楽入門」に解説のナレーションが入っているのがある。出来れば避けたいのですが、

そのナレーションを、初代007、ジェームズ・ボンドのショーン・コネリーが吹き込んでいる珍しいCDがあります。

演奏そのものも決して悪くないので、ブリテン:青少年のための管弦楽入門

をお薦めしておきます。

それでは、皆さん良い週末をお過ごし下さい。

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by j6ngt | 2009-04-25 16:47 | オーケストラ

「在阪楽団への運営補助金を大幅削減 橋下行革」←大阪府議政務調査費、年間6億5千8百万円を減らせ。

◆在阪楽団への運営補助金を大幅削減 橋下行革 (4月9日13時44分配信 産経新聞)

国内オーケストラの草分け大阪フィルハーモニー交響楽団(大阪市西成区)と、

大阪センチュリー交響楽団(大阪府豊中市)に対する大阪府の今年度の補助金が、

いずれも削減されていたことが9日、分かった。

関西フィルハーモニー管弦楽団(大阪市港区)と、大阪シンフォニカー交響楽団(堺市堺区)への補助金も予算化が見送られ、

復活は不透明。在阪4楽団をめぐっては一昨年、財界トップが「4つを1つにしては」と発言して物議を醸したが、

補助金大幅カットの流れは決定的で楽団統合の議論が再燃しそうだ。

大阪府は今年度、橋下徹知事の指示で暫定予算を組み、7月までに全事業をゼロベースで見直して本予算を編成するが、

削減の方針決定が明らかになった事業は今回が初めて。

府文化課によると、大フィルには長年、府と大阪市、財界が約1億1000万円ずつ運営費を補助してきた。

府は単独で9年度から減額を続け、20年度は前年度比500万円(7・4%)減の約6300万円。

ただし運営に支障がでないよう、削減した通年予算の全額を暫定予算に計上した。

センチュリーは府主導で平成元年に設立され、財団法人大阪府文化振興財団が運営。

19年度は年間予算約7億5000万円のうち約4億2000万円が府の補助金が占め、府への依存度が最も高い。

財団への補助金はこの3年間で計約4500万円カットしてきたが、20年度は単年度で約3000万円(7・1%)減の約3億9000万円に。

暫定予算では4~7月分の約1億3000万円を計上した。

大手企業がスポンサーになっている関フィルと、シンフォニカーには毎年100~150万円を補助してきた。

20年度は「全事業費ゼロベース見直しの」の知事方針に従い、暫定予算には盛り込んでいない。

在阪4楽団をめぐっては18年4月、行政の財政難や経済の低迷を背景に、関経連の秋山喜久会長が統合を提案したが、

「大阪の文化をないがしろにしている」などと批判が続出。

4楽団の理事長は昨年7月に会談し、互いの個性を尊重し共存することで合意した。

それでもセンチュリーの場合、14年度から給与10%のカットと昇級をストップし、平均年収は44歳で約500万円。

年10回の定期演奏会のほか、1回230万円の収入となる依頼公演などを年70回こなしながら協賛企業を募ることで、

19年度は事業収入を前年比約40%増やし、運営費に占める補助金の割合を52%まで低下させた。

府文化振興財団は「財政難の下で補助金カットは仕方がない。楽員はヘトヘトだが、

今後も府への依存度を下げる努力を続けていくしかない」としている。


◆コメント:東京も大阪も知事になる野郎は芸術を愛さない無教養な馬鹿野郎だ。

大阪府が財政難だから、オーケストラに対する補助金を減らす、という。

オーケストラは本質的に金儲けの為の団体ではない。大衆に真の芸術は理解しにくい。

儲からないのが当たり前で、それは西洋音楽の本場ヨーロッパ、或いはアメリカでも同じだ。

だから、国や州が補助をする。大企業は文化に対する貢献として寄付をする。それで成り立っている。

市民も十分理解している。



芸術はカネのためにあるのではない。

漱石が「草枕」でいみじくも書いているとおり、

とかくに棲みにくい人の世を、棲み易くするため

に存在している。

東京都でも同じ事があった。石原慎太郎のバカの号令で、2005年、東京都交響楽団に能力給を採用する事になった。

私はそのとき、これが如何にバカなことか、オーケストラにもリストラ。都響が能力主義導入 逆です。人心が荒んでいるときこそ、「永遠なる美」のために資金を投じるべきだ。に書いた

ココログはこちら)。

今年の2月にも、東京マラソンも結構ですけどね---音楽にまつわる国辱。ココログ)を書いた。

3年の時を隔てているが、私の云わんとするところは同じである。

日本の首都と第二の都市の行政最高責任者が、音楽・芸術の価値を理解していない。これは大変に恥ずかしいことだ。


都道府県だけではない。私のブログ、JIROの独断的日記ココログ版からリンクさせて頂いている、

プロのクラリネット奏者、Nべさんは以前、大阪市消防局音楽隊に所属しておられたが、

同音楽隊は「大阪市の財政難」を理由に、多くの市民の反対署名をも顧みず、昨年3月末、解散させられた

(この話に関しても書いた記事があるココログ)。


◆大阪府は、年間6億5千8百万円の「政務調査費」を使っている。

昨年、大阪市消防局音楽隊廃止反対の理由にも書いたが、財政難といいながら、議員の「政務調査費」を削ろうとしない。

大阪府政務調査費の交付に関する条例、第四条は次の通り。

第四条 議員に対する政務調査費の額は、月額四十九万円とする。

大阪府議会の定数は、112名。したがって、定数を満たしているとすれば、

毎月議員全員に支払われる政務調査費は49万円×112=54,880,000円。

年間では54,880,000円×12=6億5千8百万円になる。

しかも、市民オンブズマン事務局日誌によると、
◆大阪府議 政務調査費 3億4100万円 返還勧告
大阪府議に支給された04.05年度の政務調査費合計計15億5600万円のうち、

約8億1千万円が不正に使用されたとして、大阪の市民グループ「見張り番」が

住民監査請求していた件で、大阪府監査委員は07/6/15づけで、

うち3億4116万9234円の目的外支出を認定し、返還勧告を出しました。

政務調査費に関する住民監査請求での返還勧告額としては過去最高です。

とのこと。

ふーん。

これを放っておいて、オーケストラへの補助金を減らすのかい。

大体、今までだって、大阪フィルに対する補助金が(それも府と市と財界合わせて)1億1000万円だったのだ。

これを減らすだと?この野郎。減らすどころか増やせってんだよ。

大阪センチュリーは都響と同じ、府のオーケストラだろう。

世界第二の経済大国の第二の大都市の文化的資産だろう。十分な補助をするのが当然だ。

こういうのをおろそかにすることが、恥ずかしい、と言う感覚が分からない連中ばかりなのだろう。



そもそも、政務調査費という勘定は原理的におかしいのである。

都道府県議会でも市町村議会でも、「全ての議員が」「毎月一定額の『政務調査費』」を必要とする訳がなく、

百歩譲って、幾ばくかの調査費を必要としたとしても、予め支給されるべきものではない。

本人が歳費(給料)で立て替えた後、領収書を添付して、地方自治体に還付を請求するのが筋道である。

実際には都道府県議会議員、市町村議会議員は「政務調査費」で「ゴルフをし」たり「オネーチャンのいる店で高い酒を飲ん」だり、

挙げ句に「私用のクルマの購入代金に充て」ているのが現実だ。納税者をバカにするにもほどがある。

「政務調査費」は我々が額に汗して働いて収めたカネをドブに捨てているようなものである。全廃しても良いぐらいだ。



結論的に繰り返す。政務調査費を放っておいて、タダでさえ経済的に苦しい、芸術家の集団に対する補助金を減らすとは、言語道断。

大阪の政治家ってのは、大阪市も大阪府も、どいつもこいつも、「芸術」などという言葉とは一生無縁な、

無教養で野蛮な馬鹿野郎なのだろう、と、私は心から軽蔑する。

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by j6ngt | 2008-04-10 20:27 | オーケストラ