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「米国は日本の憲法を見習え」(米国 California Chronicle紙 3月29日付社説)

◆はじめに(コメント):久々に、アメリカの新聞の心地よい記事を見つけた。

昨年の4月、中国で反日デモが激化し、領事館の窓ガラスが割られるなど、緊迫した情勢となったとき、欧米の新聞が何度も、「日本は謝罪したのに中国はいつまで文句を言い続けるのだ」という類の社説を載せた。

ワシントンポスト、フィナンシャル・タイムズ、英タイムズ紙、ウォール・ストリート・ジャーナルなどである。

今日、久しぶりに心地よい(改憲派には心地よくないかも知れない)記事を見つけた。

「カリフォルニア・クロニクル」という新聞に載っていたコラムである。

欧米の新聞では、自社の論説委員のみならず、外部の人間もコラムニストとして契約している。

出来るだけ色々なものの考え方を載せたいということから、このようなシステムが出来たものと思われる。

今日、私が訳した「コラム」の著者は、Stan Grime(スタン・グライム)氏。

インディアナ大学を卒業し、social workerとして活動していると書いてある。著書もあるそうだ。



なお、自然な日本語に近づけるために、かなり意訳している箇所があるが、

ミスター、スタン・グライムが、「戦争を禁じた日本国憲法は素晴らしい」、と述べている部分は、出来る限り逐語的にそのまま忠実に訳している。

チェックしたい方は、原文が↓に載っているから、読んで下さい。

http://www.californiachronicle.com/articles/viewArticle.asp?articleID=7396


◆記事(翻訳):原題:The Japanese Constitution: U.S.A. Take A Lesson(日本国憲法:アメリカは日本の爪の垢を煎じて飲むべきだ)

1946年、第二次大戦による壊滅的打撃から、疲弊しきっていた日本は、連合国司令官、ダグラス・マッカーサーに促されて、現在の日本国憲法を制定した。

この憲法の内容で特筆すべきは、ただ一つの、しかし、この国家の基礎を成す条文である。

それは、「戦争の放棄」を謳っている。「日本は、如何なる国家に対しても決して武力を行使しない。」と宣言している。

現行憲法下の比較的「新しい」日本政府は、戦後60年間、この約束を破らなかった

日本は、戦争という、国家の発展を妨げる余計な負担を背負わずに、巧みに、この期間を乗り越えてきたのである。



ひるがえって、アメリカ合衆国はどうかというと、このような(戦争を禁止する)条文は、憲法に存在しない。

我が国を作った先祖達は、将来のこの国の指導者が、国家の将来を考えたとき、あまりにも向こう見ずな暴挙に出るかも知れない、ということを全く考えずに憲法を創ったのである。



当時は誰も、まさか大統領就任式で宣誓を行った人物が、軍隊の若い兵士の犠牲のもとに、個人的利益の追求に走るなどとは考えなかったのだ。

(イラク戦争が始まってから)2,000人以上の最も前途有望な我が国の若者達の生命が、失われた。

それは、たった一人の男、

「私は、今、ここに厳かに、アメリカ合衆国大統領として職務を誠実に履行し、我が能力の全てを用いて、アメリカ合衆国憲法に従い、これを守ることを誓います」


と宣誓した男が、この国を誤った方向に導いた所為である。

ジョージ・W・ブッシュがアメリカ国民に向って、「イラクが大量破壊兵器を保有していることは、疑いの余地が無い」と断言したとき、彼は、「アメリカ合衆国大統領として職務を誠実に履行し」たのだろうか?

彼は、イラク戦争の終結を宣言したとき、憲法を遵守していたのだろうか?

彼は、NSA(国家安全保障局)に市民の電話の盗聴を許可したとき、「能力の全てを、国民の利益を最優先すること」に用いたと言えるであろうか?



我々は、虚偽の口実に基づき、戦争に突入した。そしてその戦争は、いまだに虚偽の口実を理由に続いている。

ブッシュ大統領が、「我々はイラクで勝利をおさめている。」という度に危険信号が発せられるべきだ。

ジョージ・ブッシュの母親、バーバラ・ブッシュにお願いしたい。

貴方の息子がバカな事を言う度に、耳をつまんで引っ張っていって、「お尻ペンペン」してやって頂けないだろうか?



ビル・クリントン(民主党)とモニカ・ルウィンスキー嬢との不倫が発覚したときには、共和党はここぞとばかりに、ネズミを狙うタカのような素早さでクリントンを弾劾した。

ブッシュも国民の見守る中で宣誓を行いながら、白々しい嘘をつくことを止めない。しかし、ブッシュが弾劾にかけられるという話は全く聞かない。

これは、どうしたことだ?

宣誓自体が嘘だったからか?



私は、戦後の日本を築いた先駆者達の先見の明、洞察力の素晴らしさに称讃を贈る。

そして日本人が成し遂げた諸々の技術力にも感服する。

私は、今日も「アサヒ・ビール」を楽しんでいる。


by j6ngt | 2006-05-10 18:44 | 憲法

改憲賛成が9年連続で過半数、「自衛組織」明記71%(読売新聞)←皆、憲法を理解しているのか

◆記事:改憲賛成が9年連続で過半数、「自衛組織」明記71%(4月4日付読売新聞記事)

読売新聞社が実施した憲法に関する全国世論調査(面接方式)で、「改正」に賛成の考えを示す人が56%に上り、1998年以降9年連続で半数を超えた。

また、現行憲法では触れられていない、自衛のための組織を持つことについて、憲法上明確にすべきだとする人が71%に達した。

11月に公布から60年を迎える現行憲法だが、社会や時代の変化に対応した新たな憲法を求める国民の声が強いことが改めて浮き彫りになった。

調査は、3月11、12の両日に行った。

憲法を改正する方がよい理由では、「国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから」47%が最も多かった。

今の憲法を「改正しない方がよい」は32%だった。
憲法改正の焦点である9条に関しては、「解釈や運用で対応するのは限界なので、改正する」が39%で5年連続最多だった。

「これまで通り、解釈や運用で対応する」が33%、「9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない」は21%だった。

「集団的自衛権」については、「憲法を改正して、集団的自衛権を使えるようにする」27%、

「憲法の解釈を変更して、使えるようにする」23%を合わせた行使容認派が50%に達した。「これまで通り、使えなくてよい」は44%だった。

憲法のどんな点に関心を持っているか――では、「戦争放棄、自衛隊の問題」49%が5年連続でトップ。

これに、最近論議を呼んだ「天皇や皇室の問題」31%や「靖国神社への公式参拝の問題」28%が続いている。(2006年4月3日22時55分 読売新聞)


◆コメント:「憲法改正」を議論するためには「憲法」を知っている必要がある。

当たり前じゃないか、という貴方。

戦争放棄を謳った日本国憲法第9条第一項と第二項を言ってみて下さい。勿論、何も見ないで。

憲法を改正するべきだという方は、今の憲法で定められた憲法改正の手続きを、直ちに、何も見ないで述べて下さい。或いは紙に書いて下さい。

どちらか一つでも出来ない人は、憲法改正を議論する為の知識が不十分です。はっきり言えば、「十年早い」


◆厳しい意見ではない。当然だ。知らないことをどうして議論できるのだ?

憲法は国の最高法規である。

最高法規であるということは、国家権力はここで許容された範囲内で、権力を行使することを許される、という意味である。

憲法は歴史的に遡れば、フランス革命後のフランス人権宣言に端を発する。

つまり、それまで、国家権力の圧政、独裁、に苦しんでいた一般市民が、自らの権利を確保するために行った権利宣言が基本である。

日本国憲法の目的は主権者たる国民の権利を守る為に、国家権力の暴走を抑止することである。

今、改憲、改憲、と騒いでいるのは、国家権力の側から始まったことである。

権力者が自らに課せられた足かせを外そうとしているのだから、主権者たる国民は、「怪しいぞ?」と思わなければ行けないのに

皆、憲法をろくに知らず、勉強しようとえばいくらでも出来るのに、しない。大人が勉強しないから子供も勉強しなくなるのだ(これは余談だ)。



そして、新聞の世論調査に誘導されるがままに、「憲法改正に賛成」。

理由、

「時代に合わなくなってきているから」
何ですか。「時代に合わない」とは?

日本国憲法の何条何項が現代のどういう状況と「合わない」のか、具体的に言ってみて下さい。

何も考えていないでしょう?


◆新聞の世論調査は、いつも誘導尋問的だ。

どの新聞も他のメディアも5項目ぐらいの中から選ぶようになっている。
ここに、読売新聞の改憲に関する世論調査(2006年3月11日~12日の全問が掲載してあるので、

見ていただきたいのだが、

(憲法改正に賛成と答えた人に対しての質問)
あなたが改正する方がよいと思う理由は何ですか。回答リスト6番の中から、いくつ
でもあげて下さい。
【答え】

  1. アメリカに押しつけられた憲法だから               33.6

  2. 国の自衛権を明記し、自衛隊の存在を明文化するため        32.5

  3. 権利の主張が多すぎ、義務がおろそかにされているから       25.3

  4. 憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱するから          32.9

  5. 国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから 47.4

  6. その他                             1.5

  7. DK.NA                              1.9



憲法を改正するという思想の根拠は世の中にこれだけしかないのか?

そもそも、質問が不明瞭だ。例えば、
「憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱するから」


なんだこれは?

憲法の解釈や運用だけで「何に」対応するのか?「何が」「どのように」混乱するのか?

意味不明である。

さらに、
「国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから」

これは、国際貢献=自衛隊の海外派遣という認識で設問していることが明らかだが、それならそう書くがよい。

回答者も「国際貢献」の正体が分からぬまま、

「国際」(世界に)「貢献」→良いこと。今の憲法では貢献できないのか・・・・。ならば、改正した方がいいな・・・

という、小学生程度の認識しか無い者が大勢いたに違いない。

そもそも、日本国の一般市民が国際社会に関心を抱いているとは思えない。

選挙のときは、いつも、「地元に道路を造ってくれるか」「橋を架けてくれるか」で投票しているじゃないか。



「国際貢献できないから憲法を改正する」本当にそんなことを考えているのですか?それならば伺うが、

新聞の国際面を毎日読むか?

アラブイスラエル紛争とは何だ?

イラク戦争は何故始まった?

イラク戦争が国際法上違法な行為であったことを認識しているか?


◆「憲法改正に賛成の理由」は論述式にするべきである。

「憲法を改正する」などという大事な問題(質問)に関して、選択回答方法は間違っている。

何も分からなくても形式上、回答することが可能だからである。

本当に思想があって「憲法改正に賛成」ならば、その理由を何も見ないで、論述できるはずだ。

論述式の回答にすれば、多くの人は何も書けないだろう。

そうすれば、如何に「自分が何も分かっていないか」と言うことを自覚できるだろう。それが大切だ。

何も書けない人、何も分かっていないは、「憲法を改正するべきか否か?」と問われたら、「分からない」と答えるのが最も正しい行動だ。


◆憲法を最初から最後まで読んで覚えて、判例を勉強して、第9条に関して言えば、国際法も勉強して、学説を勉強して、初めて改憲云々を議論する準備が出来たといえるのだ。

世間で本当に憲法に関心を持ち、勉強した人は僅かなはずだ。ところが、上述のとおり、そこが世論調査の罠である。

自分では何の考えが無くても、目の前に用意された答えを「何となく、雰囲気で」選べば、有効回答になってしまう。

全国紙の一部は改憲に持って行こうとしているから、誘導尋問のような設問が多い。

つまり都合良い答えを引き出すトリックを仕掛けておいて、「ほら見ろ、国民は改憲を望んでいる」とかき立てる。

一種の詐欺である。


◆分からないまま、改憲賛成と言うな。

結論的に繰り返すが、「分からないこと」は「分からない」と言うべきである。

今現在無知であることは恥ずかしいことではない。これから勉強すればよいのである。

勉強もしないで、安易に国家権力にたいする抑止力としての憲法を変えること。

即ち、何も知らないまま、世間の風潮に載って「改憲」を唱えることこそ、恥ずかしい行為である。


by j6ngt | 2006-05-05 00:52 | 憲法