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「探査機はやぶさ20日着陸 世界初の岩石採取に挑戦」←「イトカワ」に着陸する「はやぶさ」

◆記事:探査機はやぶさ20日着陸 世界初の岩石採取に挑戦

 

 宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)は17日、探査機「はやぶさ」を20日早朝に小惑星イトカワに着陸させると発表した。

 日本が地球以外の天体に機器を着陸させるのは初めて。小惑星からの岩石採取は世界でも初めての挑戦となる。

 19日夜に降下を開始、20日午前5時ごろに最終的な判断を行い、同6時ごろ着陸する見通し。

 はやぶさは小惑星にレーザーを照射して精密に高度を測りながら降下。

 目印となる反射板付きボールを投下し、カメラでボールをとらえて自らの姿勢などを確認し、着陸する。

 地面に着いた瞬間に金属球を発射、舞い上がった岩石の破片をカプセルに収め、約1秒で再び上昇に転じる計画だ。(共同通信) - 11月17日17時13分更新


◆コメント:「イトカワ」と「はやぶさ」

 

 最近ニュースで「イトカワ」に小惑星探査機「はやぶさ」が・・・という情報をしばしば伝えてくるが、一般人にはピンと来ない。

 来ないけれども、かなり画期的なことである。

 太陽系の大きな星は勿論水星から冥王星までの9つだが、これは、むしろ例外的に馬鹿デカいのである。

 それ以外にもの凄い数の「星」が飛んでいる。直径100メートルぐらいから、直径100キロメートルの小さい星が太陽の回りを回っている。

 今まで約6000個の小惑星が発見されており、毎年、新たに数百個が発見されている。

 しかし、小さすぎて地球から発見できない直径1kmぐらいの小惑星は100万個以上もあるだろうと言われている。

 「イトカワ」、というのは、サツマイモのような形をした長い方の径が600メートルぐらいの大きさで、地球と火星の間で楕円軌道を描いて、それでも太陽を周回している「小惑星」である。

 それに向って飛んでいった「探査機」が「はやぶさ」である。

 イトカワの名は、日本のロケット工学の始祖、糸川英夫氏にちなんで付けられた。

 というか、発見したのはマサチューセッツ工科大学の地球近傍惑星(NEA=Near Earth Asteroid)研究チームで、命名権は彼らにあったのであるが、

 日本は、この小惑星に探査機を飛ばすことをいち早く決め、それに際して、日本で「ロケット」というものを初めて手がけた糸川氏の名前にしたい、

 とMIT(マサチューセッツ工科大学)に頼んで、申請して貰ったのである。

 ちなみに、これは、あまり意識されていないが、探査機の名前「はやぶさ」は、糸川英夫博士(1912~1999)が戦時中設計した、当時他国もびっくりするほどの高性能を誇った戦闘機「隼」に由来すると思われる。


◆地球から3億キロ離れた500メートルの小惑星に着陸する

 

 この計画は、今ひとつ「派手さ」に欠けるので、一般の注目を浴びにくいが、実は先端技術の粋を結集している。

 なにしろ、20日、はさぶさはイトカワに着陸する地点は、地球から3億キロも離れたところにある。

 これは、光でさえ、到達するのに17分もかかる(ちなみに太陽から地球に光が届くのに8分を要する。我々が見ているのは8分前の太陽である。月でさえ、光が到達するのに1.3秒かかる)ほどの距離なので、リアルタイムで地球から操作出来ない。

 そこで、結論だけ言うと、記事にもあるが、はやぶさは自律航行といって、自分で自らの位置を認識し、さらに特殊なカメラを含む高度な技術を用いてイトカワを「自分で発見」して着陸するのである。

 はやぶさが地球を離れたのは2003年5月3日である。イトカワに着くまでに2年以上かかっている。

 これほど長く飛ぶことができるのは、イオンエンジンという私には到底理解不可能の新技術が使われているためである。

 分からないことを告白したままそのまま記述すると、イオンエンジンは、「推進剤キセノンを電波の力でイオンという電気を帯びた粒子にして、その粒子から電気を取って中性プラズマとして高速噴射し、 その反作用を推進力とする」エンジンであり、クルマのエンジンのように物を燃やさずに済み、しかも従来のエンジンよりも遙かに大きな加速度を得ることが出来るのだそうだ。

 また、はやぶさは最終的には先に書いたとおり「自分でイトカワを見つけ」て、それに接近してゆくのだが、最初、はやぶさを小惑星イトカワの方向へ向けるために、日本の技術者達は、はやぶさを一旦地球を離れた後、地球ぎりぎりのところをかすめるように飛ばせて、地球の引力を用いて方向を変える、「スイング・バイ」という方法を用いた。

 どうしてこういう計算が出来て、また、その通りにはやぶさを飛ばせる事が出来るのか、私など、またまた正直に言うと、説明を読んでも、ちんぷんかんぷんであり、世の中には頭の良い人がいるものだ、と つくづく感心した。


◆何故、そういうことをするのか。

 

 つまり計画の目的であるが、イトカワの地表から数グラムのサンプル(土の標本ですね)を持ち帰ることだ。

 地球のような大惑星では、太陽系誕生時から物質が大きく変化しているが、イトカワのような小惑星は太陽系が誕生したときの状態を保っていると考えられ、その表面からサンプル(といっても、ホンの数グラムである)を持ち帰ると、太陽系誕生や地球が形成される過程に関する研究に役立つことがほぼ間違いないからである。


◆サンプルの採集方法がまた、最新技術。

 

 はやぶさは、今、3億キロ離れたところで、自分でイトカワを発見して既に画像を地球に送っているが、最終目的は今、書いた通り、イトカワの表面から「土」(というのかね?)の標本を採集して、地球 に持ち帰ることだ。

 大きな惑星ならば、その惑星の引力を用いて着陸出来るが、イトカワは何せ、500メートルの小惑星なので引力は無きに等しく、はやぶさはイトカワに長時間へばりつくことは、出来ない。

 そこで、どうするかというと、20日の未明、つまり、今夜という日曜日の未明、2時頃、はやぶさはイトカワに着陸する。

 その瞬間、金属の球をイトカワ表面に向って発射する。

 そうすると、イトカワの表面から土ぼこりが立つでしょう?それを空中でキャッチしようというのである。すごいことを考える。

 繰り返すがこれは、地球からコントロール出来ないので、はやぶさが自分で判断して行うのである。

 サンプル採集後、はやぶさはまた2年かけて地球に戻る。そして自らは戻らず、標本の入ったカプセルだけを、地球に放り投げて消える。

 カプセルは減速しないで、すさまじいスピードで大気圏に突っ込むので、最終的には表面の温度が3000度にも達し、多分オーストラリア大陸に「落ちる」。

 無論、その高温と衝撃に耐えうるカプセルを作る技術がある、ということだ。


◆こういうことを行うのは、人類史上、日本人が初めて。

 

 そう。このたび日本がやろうとしている「小惑星に探査機を飛ばして、惑星のサンプルを収集して地球に戻す」という計画は人類史上初めてのことなのである。

 日本でこういう事をしている組織、アメリカのNASAに相当するのはJAXA(Japan Aerospace Exploration Agency,宇宙航空研究開発機構)といい、2003年10月1日宇宙科学研究所(ISAS),航空宇宙技術研究所(NAL),宇宙開発事業団(NASDA)の3機関を統合して発足したものである。

 JAXAのホームページは「JAXA」で検索すれば、当然ながら一発で見つかり、そこに、はやぶさに関する詳細な説明がある。

 Flashなど動画を多用して、なるべく素人にも何となく理解出来るように作られている。

 今夜、はやぶさがイトカワに着陸する様子はネット中継されるという。

 何せ、情報が届くのに速くても17分を要するのだから、「生」中継というのかどうか。不思議な話である。

 とにかく、日本には世界に冠たる頭脳が結集しているのだ。


◆糸川英夫博士のこと。

 

 糸川英夫氏は、東大工学部を出て、前述のとおり戦前戦中は飛行機を設計する人だったが、戦後はもっぱらロケット開発を手がけ、日本で最初のロケットを飛ばした人である。

 これが、「ペンシル・ロケット」と言って、素人目にはオモチャかプラモデルにしか見えない。

 手のひらにのるほどの大きさ、重さ、のものなのだが、宇宙開発技術者達には、これに対する特別な思い入れがあるようだ。

 一番最近スペースシャトルに搭乗して見事に任務を果たした野口さんは、このペンシルロケットを「持って」宇宙へ行ってきたほどである。

 技術者、科学者としての糸川英夫氏の功績は素人が軽々しく論ずるべきではないが、とにかく専門家の間ではものすごく頭が良く、発想が卓越しており、実行力があり、人格者だということでいまだに、「神様」みたいな、兎にも角にも滅多にいないほどの優れた人だったようだ。

 糸川氏が亡くなったときに、弟子の学者・技術者達が書いた文章がここに載っているが、如何に尊敬されていた方か、分かる。

 他方、このように才能豊かな人には、ありがちだが、糸川先生は多才な方であらゆる事に興味を示した。

 音楽好きでチェロを弾いた。

 また、大正生まれの日本人男性であまりこういう人はいないと思うが、大人になってからバレエ(踊りのバレエである)の正式のレッスンを受けた。

 ご本人は大まじめなのだが、マスコミはこういう事ばかりを取り上げるので、一般庶民は「変な学者」と思っていた。

 さらに、戦後、ロケットと平行して個人的には「ストラディバリウスを超えるようなバイオリンを作りたい」と音響学的な見地から研究に研究を重ねて、晩年ついに完成した逸話があり、これは、糸川先生ご自身による、八十歳のアリア―四十五年かけてつくったバイオリン物語という本に詳しい。

 一般人向けのエッセイというか啓蒙書も山ほどある。Amazonで「糸川英夫」で検索すると、未だにすごい数の著書が売られている。

 代表作は「逆転の発想」という本である。

 糸川博士は、最初のロケット、「ペンシル・ロケット」の発射実験をする際、水平に発射した。

 それは、調べていただくと分かるが、それなりの理由があるからだが、とにかく、凡人はロケットといえば、垂直に発射することしか頭に浮かばない。

 それを「水平に」発射するという着想が、殆ど天才的である。

 「逆転の発想」は、そういう先生が書いた本だから、常識を覆すようなことに満ちあふれているが、単に奇を衒(てら)っているのではなく、一々、合理的根拠があるのだ。

 代表作と言っても、文庫本で、厚さが1センチもない。

 頭がいい人は、余計なことを書かず、要点を分かりやすく書くので、糸川先生の本は大抵これぐらいの厚さなのである。



 きりがないので、最後に一つだけ。

 糸川博士は理論性の極致であるロケット工学の科学者だが、何と、西洋占星術を本格的に研究して、本を出している。今も買える。

 人の一生で、これほどずっと様々なことに好奇心を抱き続け、本格的に実行してしまい、それなりの成果を挙げることができるのか、と感動する。

 糸川先生の生涯には、ただ驚嘆し、畏敬の念を抱かざるを得ない。


by j6ngt | 2005-11-19 13:49 | 宇宙

 明後日13日(土)未明、2時から4時頃、ペルセウス座流星群 が極大になります。綺麗ですよ。

◆3大流星群があります。

 

 毎年、比較的安定して(勿論、晴れていればですが)見ることが出来る三大流星群に、1月のしぶんぎ(りゅう座)流星群、12月のふたご座流星群と、8月13日頃に極大となるペルセウス座流星群があります。

 「何とか座」流星群という名前が付いていますが、それは、その星座の付近が中心になって(必ずそうなるとも限らないのですが、大体。)流星が飛び出して来るように見えるということです。

ペルセウス座というのは、何千光年も離れた星団などを結んだ便宜的な呼称ですね。そんな遠くから、流星が飛んでくるのではありません。


◆彗星が通った後に残っている塵の中を地球が通過するときに見えるのが流星群です。

 

 太陽系には9つの惑星だけが有るわけではありません。

 何千という小惑星や、彗星が太陽の周りを回っています。

 小惑星と彗星の違いは、前者は、太陽の周りを回っているけれども、9つの(先日、太陽系10番目の惑星が見つかって大騒ぎでしたが、今はまだ、確定していないので、9つと書いておきます)惑星ほど大きくないもの。

 後者(彗星)はもの凄く細長い楕円軌道上を回っていて、氷で出来た小さな天体のことです。

 大抵は、一度地球に近づいても、次は何千年も経たないと見られない。ハレー彗星は比較的、頻繁に地球のそばに来るけれども、それでも76年周期です。

 それで、彗星自体には、滅多に間近でお目にかかれませんが、細長い軌道をビュン、と飛んでいくときに、長い尾を引いていますね。あれはごく小さい塵なのですが、いつまでも散らばっているわけです。

 地球は、規則正しく、太陽の周りを回っているから、毎年ある時期になると、何十年も前に通った彗星が残した塵の中に突っ込むのです。

 すると、大気圏に入ってきた塵は光を発して燃え尽きるわけです。それが、流星群の正体です。


◆2001年のしし座流星群がすごかったけど、今年のペルセウス座流星群もかなり、いけそうです。

 

 2001年秋のしし座流星群は、私、ベランダから肉眼で見ていただけでしたが、一般に空が明るくて天体観測に不向きだといわれている、この東京ですら、唖然とするほど、沢山の流星=流れ星を見ることが出来ました。

 圧巻でした。絶句しますよ。

 思いがけないところから、びっくりするほど明るい彗星が、ヒュン!と飛んでゆくのは、人間がいくら人工的な光のショーを演出してもかなわない。

 因みにしし座流星群は毎年見られるとは限らないので、3大流星群には、入っていません。


◆明後日の未明です。

 

 明日の深夜、明後日の未明です。性格には8月13日(土)の午前2時から4時ぐらい。

 皆さんのお住まいの場所によって方角が若干違うけれど、ネットで「ペルセウス座流星群」で検索すれば、いくらでも情報があります。

 流星群は、塵に過ぎないのですが、あれほど美しいのですよねえ・・・。

 宇宙は神秘的です。

 太陽系が属する、この円盤状の銀河系は直径10万光年(半径5万光年)ぐらいなんですね。 太陽系は円盤の真ん中から3万光年ぐらいの所を円盤の中で移動しているわけです。

 この銀河系の中だけでも2000億個もの星があるというのです。

 そして、宇宙全体には、このような円盤状の銀河が500億個とか1000億個もあるようなのです。

 我々の銀河系に最もよく似ていて、お隣(一番近く)にある銀河はアンドロメダ銀河ですが、我々のところから、220万光年ものかなたにあります。

 「220万光年」のアンドロメダが「お隣さん」なのです。



 気の遠くなるような大きさですね。宇宙は。ロマンティックだと思います。


by j6ngt | 2005-08-12 00:45 | 宇宙

ディスカバリー無事帰還。←よかった。本当によかった。

◆記事1:ディスカバリー、エドワーズ空軍基地に無事着陸

 

 【エドワーズ空軍基地(米カリフォルニア州)=古沢由紀子】野口聡一さん(40)ら7人の宇宙飛行士を乗せたスペースシャトル「ディスカバリー」が、米太平洋時間9日午前5時11分(日本時間9日午後9時11分)、エドワーズ空軍基地に着陸した。

 シャトルの発着基地となっている米航空宇宙局(NASA)ケネディ宇宙センター(フロリダ州)への帰還を目指したが、滑走路付近に雷雲が発生するなど、着陸を試みた8、9日とも天候が悪かったため断念した。

 今回を含めシャトルが無事帰還した計112回の飛行のうち、エドワーズ空軍基地への着陸は50回目。若田光一さん(42)が2000年10月に乗った時も、同基地に帰還した。

 ディスカバリーは、先月26日に打ち上げられた。2年半前のコロンビア空中分解事故後、NASAが講じた数々の安全対策を検証することを最大の任務とし、飛行中も機体に傷がないか点検を続けた。

 国際宇宙ステーションにドッキング後、野口さんと同僚のロビンソン飛行士(49)が3回にわたって船外活動に挑み、史上初となる宇宙での機体補修などを実施した。飛行時間の合計は13日と21時間32分で、地球を219周した。

 野口さんら7人は、身体検査などを受けた後、家族らが待つテキサス州へ向かう。ディスカバリーは、整備のため、ボーイング747に載せてケネディ宇宙センターへ空輸される。(読売新聞) - 8月9日21時25分更新


◆野口飛行士のメッセージ(昨日ディスカバリーから日本に向けて発したものを、私が文字に起こした)

 (注:メッセージの前に野口さんが、折り鶴を無重力状態で飛ばしてみたり、あやとりをしたり、子供の頃にしたであろう遊びをやって見せて、さらに「世界でたった一つの花」をキーボードで弾いた)

日本のみなさん、こんにちは。ディスカバリー号から野口がお伝えしました。

日本は夏休みですよね。特に日本の子供達に、将来、夏休みにどんな遊びが出来るのかな、というのを考えて貰いたくて、こういうビデオを作ってみました。

夏休みまだ続きますけれども、宇宙のこと、それからみなさんの未来のこと、自分の持っている夢のことを考えて、楽しく過ごしてください。

JAXAでも夏休みの間、色々と楽しいイベントがありますけれども、今年は日本でロケットの実験が始まってちょうど50年にあたります。

今回僕はこのモデルロケット(と言いながら、長さ30センチぐらいの小さいオモチャのようなロケットをカメラに向けながら)、えー、これはモデルじゃなくて本物のロケットなんです。

この50年前に本当に打ち上げられたロケットをお借りして、国際宇宙ステーションに持ち込みました。

大きな夢というのは、実現するまでにすごく時間がかかることがあります。

このロケットも50年前に初めて打ち上げられてから、随分長い時間をかけてついに宇宙ステーションまで来た訳ですけど、皆さんの夢も長い時間をかけて、いつか実現するように、祈っています。

それでは、近い将来、日本で直接皆さんとお話できることを楽しみにしています。さようなら。(笑顔で手を振る)


◆コメント:宇宙飛行士の皆さんはどうして、あんなに純真な心を持ち続けられるのだろう?

 

 今回のディスカバリーは、離陸直後に、前回「コロンビア号」が着地16分目に爆発、空中分解したときと同じように、耐熱タイルが剥がれたというニュースが伝わっていたので、大気圏再突入の時には気が気ではなかった。

 着陸のようすはNASAがインターネット経由で生中継していたので、私は着陸15分前ぐらいから、ずっと見ていた。

 次第にディスカバリー号の例の飛行機の形が明らかになったと思ったら、あっという間にタッチダウン(着地)した。思わず、目頭が熱くなった。

 昨日、野口さんのメッセージを聞いて、なんとしても無事に戻って欲しいと思った。

 野口さんのみならず、どうして、宇宙飛行士というのは、あれほどまでに、完璧に優秀で、しかも、いい人達なのだろう?

 優秀なのは、まだわかる。

 全員、もともと、一流の科学者である。つまり、皆大学の物理や化学やその他それぞれの科学的専門分野のドクター(博士)である(向井千秋さんはほんとにドクター(心臓外科医)だった)。

 ただでさえ優秀な人が、厳しい宇宙飛行士訓練生採用試験と、厳密な身体検査(500項目もある。水虫があってもだめ)に合格をしたわけで、それだけでも私のような浅学非才の凡人から見たら、神様のような人たちだ。

 そんな彼ら、彼女らが、さらに、厳しい訓練を経て、最終的に残って、初めて宇宙飛行士になれるのであるから、全く想像もつかないぐらいの才能や知力、強靱な精神力を持ち合わせた人々であることは、想像がつく。


◆子供の頃の夢を持ち続けた人々なのだろう。

 

 普通の人間社会では、これぐらい、群を抜いて優秀だと、必ず、鼻持ちならない人間がいるものであるが、宇宙飛行士の人々は本当に子供のような純粋な美しい心を持ち続けていることに驚く。

 聖人君子とは彼らを表現するために存在する言葉ではないかと思われるぐらいだ。

 初めて宇宙を飛んだ日本人は毛利衛さん(厳密に言うとTBSの記者だが、科学者ではないので、飛んだだけだった)である。

 毛利さんが、スペースシャトルから、紐とリンゴを使って、「何故、スペースシャトルや人工衛星は地球の周りにいて落ちてこないのか」という、初歩的な物理の「講義をしたのだが、そのときの、生き生きと輝く、毛利さんの声や表情から、その人柄を直感的に理解できた。

 「この人は、科学をするために、純粋に宇宙に行きたくて宇宙飛行士になったのだ」ということが、良く分かったのである。

 そこには、優越感も虚栄心も功名心も名誉欲もない。

 ただ、「宇宙に行きたい。」という夢があっただけなのだ。

 純粋な気持ちや心は、人を動かす。私は強烈な印象と感動を覚えた。良く覚えている。


◆みんないい顔をしている

 

 もっとも、毛利さんは初めての宇宙飛行士だったから、毛利さん個人が特別に素晴らしい人柄を持っておられるのかと思った。

 ところが違った。

 その後に続いた、向井千秋さん、土井隆雄さん、若田光一さん。そして、今回の野口さん。

 皆同じように聡明で、情熱的で、それなのに謙虚で、真面目で、優しい人たちなのだった。

 私は、彼らが日本に帰ってきて、子供相手の催しなどでも真剣に話しをしているときの姿をみて、同じような情熱、生命力、そして、「宇宙から地球を見た経験がある者にしか備わらない大きさ」を感じた。

  JAXA(宇宙航空研究開発機構)の日本人宇宙飛行士の皆さんのこの素晴らしい笑顔をご覧なさいよ。

 邪念を持っている人間は、絶対にこういう顔にはなれないのだ。


◆「宇宙からの帰還」という本を読んだことがありますか?

 

 20年以上も前に出版された、宇宙からの帰還という本がある。

 立花隆が、アポロの宇宙飛行士達に、非常に長い時間をかけて丹念にインタビューし、本にまとめたものだ。

 全ての宇宙飛行士が口をそろえて言うのは、宇宙から見た地球の美しさ、神秘的な美しさ、である。

 厳密に科学的思考の訓練を受けた科学者である宇宙飛行士達が、まず、「美しさ」に言及することは極めて、興味深い。

 ある飛行士は言った。

 

「宇宙から地球を見れば、地球は文字通りひとつなんだ。全体で一つなのだということが、一瞬にして分かる。そして、人間同士が領土や宗教やイデオロギーを理由に殺し合うなどと云うことが、どれだけ下らないことかが、身体で分かる。それは大げさではなくて、本当に文字通り、腹を抱えて大笑いするほど滑稽なことだとわかるんだ」


 この言葉は強烈だった。 また、月面に降り立った飛行士の何人もが神の存在を確信して、科学者から宣教師になってしまったというからおどろく。


◆日本人宇宙飛行士の皆さんもきっと同じような体験をされたことであろう。

 

 野口さんは、帰還前の最後の交信(スペースシャトル乗員全員が画面に映り、NASAのスタッフと話す)で、「宇宙ステーションでの活動をしてみて、世界中の人が平和のために協力することができると確信しました」といっていた。

 野口さんや、今まで飛んだ日本人宇宙飛行士の皆さんも、きっと、美しい地球を見て、感ずるところが有ったのだろう。

 とにかく、野口さん、ご苦労様でした。良かった。


by j6ngt | 2005-08-10 00:03 | 宇宙