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「豚インフルで課長級会議を緊急開催へ=政府、情報収集に努める」←WHOが「フェーズ4」を発するかどうか。

記事1:豚インフルで課長級会議を緊急開催へ=政府、情報収集に努める(時事通信社 - 04月25日 13:01)

政府は25日午前、メキシコ国内で豚インフルエンザの人への感染が疑われる症例が相次いでいることを受け、

全省庁の課長級による会議を午後1時から内閣府で開催することを決めた。感染が拡大すれば日本国内への影響が避けられないことから、

今後の対応を早急に協議する。また、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置し、情報収集に当たった。

これに関し、政府高官は同日午前、世界保健機関(WHO)がメキシコでの豚インフルエンザウイルスが

「人から人へ感染する」新型と宣言した場合、麻生太郎首相を本部長とする対策本部を設置することを明らかにした。

(注;太文字は引用者による)


◆記事2:米・メキシコ豚インフル、ウイルス「同一」 米当局が解析 (NIKKEI NET)(11:56)

【ニューヨーク=中前博之】米疾病対策センター(CDC)は24日、人から人へ感染する

新型の豚インフルエンザウイルスによる症例が米国内で計8件見つかったと明らかにした。

患者はいずれも軽症だったが、初期解析では重症例が多いメキシコの患者から採取されたウイルスと「同一」と判明。

国境を越えた感染拡大が確認されたことを受け、米当局はワクチン開発の準備も含め、警戒を強めている。

メキシコ保健当局は同日夕、豚インフルエンザの疑いがある患者は1000人を超え、死者は68人に達したと公表。

日本政府によると世界保健機関(WHO)は感染状況を評価するため、世界の専門家で構成する緊急委員会を日本時間の25日夜に開く


 CDCによると、見つかった症例はメキシコと国境を接する西部カリフォルニア州で6件、南部テキサス州で2件。

感染者で豚に接触した人がいないうえ、親子や学校の同級生など身近な環境にある患者がいることから、

当局者は「人から人への感染だと信じている」としている。 (11:56) (注;太文字は引用者による)


記事3:<豚インフル>新たなウイルスに変異の可能性 専門家の見方(4月25日12時56分配信 毎日新聞)

メキシコでの豚インフルエンザの感染者拡大で、

人から人への感染力を持つ新たなウイルスに変異している可能性が出てきた。

新型インフルエンザの脅威が高まる中、ウイルスの特徴や必要な対応を専門家に聞いた。



今回のウイルスは、H1N1型。現在も冬に流行するAソ連型と同じ型だ。

このため、世界中の人がこの型のウイルスに対して免疫を持つ。この点が人が免疫を持たない型(H5N1型)の鳥インフルエンザとは異なる。

またH1型のウイルスは、強毒性のH5型に比べ毒性が低い。

喜田宏・北海道大教授(ウイルス学)は「Aソ連型によって、ある程度免疫を持つ人は多い。

豚インフルエンザだけではなく、他の型のインフルエンザウイルスや細菌などとの同時感染だった可能性もある」と話す。

 一方、死亡率の高さから大槻公一・京都産業大鳥インフルエンザ研究センター長(獣医微生物学)は

従来の豚インフルエンザの範ちゅうを超えており、これまでにないウイルスになっている可能性がある。

H5N1型に限らず、別の型でも鳥から豚に感染し新型インフルエンザとなって感染が広がる可能性がある
」と話す。

田代真人・国立感染症研究所ウイルス第3部長は「人と豚のインフルエンザでは重症度や感染力が異なり、感染拡大の可能性はある」と警戒を求める。

(注;太文字は引用者による)


◆コメント:かなり緊迫した状況で、新型ウイルスに変異した場合、世界中の人間の生命に関わる、ということです。

事態の重要な点を整理します。

メキシコでは、豚インフルエンザに感染した疑いがある患者は1000人を超え、死者は68人に達しています。

「現在確認されている」豚インフルエンザウイルスは、「H1N1型」で既存のウイルスです。

従って、これに対して免疫を持っている人が多い筈ですが、メキシコでは現実に68人が死亡しています。


アメリカでも豚インフルエンザよる症例が8件見つかっています。アメリカの患者は軽症でしたが、

感染したウイルスは、メキシコで死者が出たのと同じ型です。

アメリカの8人の患者は、豚と接触していないのに発症しています。

したがって、豚インフルエンザが「ヒト-ヒト」感染したことはほぼ明らかです。

専門家の見解は分かれますが、記事3で大槻公一・京都産業大鳥インフルエンザ研究センター長は、

従来の豚インフルエンザの範ちゅうを超えており、これまでにないウイルスになっている可能性がある。

との見解を表明しています。

現在の豚インフルエンザが変異して容易に「ヒトーヒト」感染する新型ウイルスが確認された場合、

今までにないウイルスですから、誰も免疫を(正しくは、ウイルスに対する抗体を)持っていません。

予防するためには、ワクチン接種が必要ですが、ワクチンというのは、ある病気の病原体を薄めたものを

わざと打つことにより、軽い病気にして、人間の持つ免疫機構を利用して、体内にその病原体に対する抗体を

作るものです。


したがって、原理的に考えて、新型インフルエンザのワクチンは新型インフルエンザウイルスが発生し、

それに感染した患者が出なければ作れません。作るといっても開発に何ヶ月もかかります。

開発に成功しても、世界中の需要を満たすためには、製造に時間がかかります。

さらに、ワクチンというものは、接種した瞬間に体内に抗体ができるわけではなく、

普通、抗体が出来るまでに1~2週間はかかります。抗体が体内に出来るまでは、感染の危険があります。

発症した場合、既存のインフルエンザウイルスの特定の型には、抗ウイルス薬、タミフル、リレンザが

有効ですが、新型インフルエンザに対しても有効である保証はありません。

感染発症したら、治療も出来ない可能性が極めて高い、と言うことです。

つまり、新型インフルエンザウイルスが確認された場合、

世界中の人に生命の危険が訪れるといっても過言ではありません。

だから、WHOは今日(25日)世界中から専門家を集めての緊急会議を開くのです。


◆ヒトーヒト感染するウイルスが確認されたかどうかWHOの判断はどこで確認すれば良いか。

記事1に、

政府高官は同日午前、世界保健機関(WHO)がメキシコでの豚インフルエンザウイルスが「人から人へ感染する」新型と宣言した場合

麻生太郎首相を本部長とする対策本部を設置することを明らかにした。

とあります。

WHOは新型ウイルスが発生し、ヒトからヒトへの感染が増加している局面をフェーズ4と規定しています。

それは、WHOのサイト、WHO | Current WHO phase of pandemic alertを見れば明らかです。

英語のサイトですが、英語を読む必要はありません。

現時点(2009年04月26日(日)00時14分)リンク先を見ると、3に○がしてあります。

現在はフェーズ3、「ヒト-ヒト感染が無い。又は非常に限られている」ということです。

WHO | Current WHO phase of pandemic alertで○の位置が3から一段階下がって、

4に○が付いたら、超緊急事態、と見なすべきです。新型インフルエンザウイルスがヒト-ヒト感染し、患者が増加している、

ということだからです。ここは毎日確認する必要があります。

前述のとおり、新型ウイルスの抗体は世界中誰も持っていない。

ということは、誰が感染しても不思議は無い。周囲で一人でも感染したら、

爆発的に感染者が広まり、貴方も私も感染の危険に晒され、運が悪ければ、

死ぬかも知れない。徒に脅かしているのではなく、リスクコントロール(危機管理)とは、

常に、最悪の事態が起きる可能性を考えることに、他ならないのです。

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by j6ngt | 2009-04-25 23:00 | 医療

「医師不足で産婦人科が休診中、名護に防衛医官を派遣へ」1名では無理だ。

◆記事:医師不足で産婦人科が休診中、名護に防衛医官を派遣へ

政府は8日、産婦人科医がいないため2005年4月から休診している沖縄県名護市の県立北部病院産婦人科に防衛医官1人を派遣することを決めた。

同市の要請を受けたもので、防衛医科大学校の教官を中心に人選し、4月中の派遣を目指す。

米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)の移設問題で、国と名護市が基本合意に達したことを受け、移設への地元住民の理解を得る助けとしたい考えだ。

沖縄本島の名護市から北の6市町村には、産婦人科は北部病院と名護市内の2診療所しかない。

帝王切開や異常出産などに対応できる救急施設は北部病院だけだ。しかし、同病院で辞職などが続き、産婦人科医がいなくなってからは、救急患者は車で30分以上離れた県立中部病院などに搬送されている。

こうしたケースは昨年4月から今年2月末までに79件あったが、搬送時間がかかるため、病院到着前に救急車内で出産した例もあった。

沖縄県は全国の大学などに産婦人科医の派遣を求めていたが、応じる医師がいなかった。このため、名護市の島袋吉和市長が3月6日に額賀防衛長官と会談し、防衛医官の派遣を要請していた。

派遣される防衛医官は自衛隊員であるため、那覇市の自衛隊那覇病院所属とし、勤務先を北部病院とすることで調整している。

ただ、今回は1人しか派遣できないことから、交代勤務の医師が3~4人必要となる、救急対応が可能な24時間診療は難しく、時間を限った診療となる見通しだ。(読売新聞) - 4月9日11時58分更新


◆コメント:大病院ではないか。

この記事の書き方はあまり上手くない。

「沖縄の在日米軍再編問題」と「沖縄県立北部病院に産婦人科医が一人もいないこと」とは別個の問題なのに、一つの記事で2つの問題に触れるから、因果関係が有るかのごとき錯覚に陥る。

因みに、沖縄における在日米軍再編問題とは、普天間基地を名護市のキャンプ・シュワブという既に米軍が訓練場(っての?)が有る場所に移すことで揉めている、という話である。

日本政府と沖縄県知事は合意したが、名護市長はあくまで反対を表明している。



◆国内の医師不足をよそにイラクに医官を派遣している国。

ところで、名護市の位置はここであり、病院周辺付近の地図がこれである。


さらに、沖縄県立北部病院のサイトを少し眺めれば分かるとおり、327床、診療科目も各科にわたる大病院である。

産婦人科医不足は噂に聞くが、特にこの病院が取り上げられたことには何か特別な理由があるのか?

たまたま米軍再編で名護市が話題に上がっているから、この病院のことを取り上げたのか?

どうせ取り上げるなら、全国的・普遍的な診療科目偏在に関しても書かないと、素人には、問題の核心(個別の問題なのか、一般的な問題なのか)が分からない。



ただ、本件に関して言えることは、政府は防衛医官一名の派遣を決めたと云うが、沖縄県立北部病院のサイト外来診療表を見れば、素人ですら産婦人科だけ一名というのは無茶であることが分かる。

そもそも、規模の大小にかかわらず、産婦人科医が一人というのは(他科も同様だろうがここでは省く)無理だ。

日本政府は、多分、沖縄県立北部病院に(仮に)4名の産婦人科の防衛医官を派遣したら、医師不足に悩む全国の病院から、同様の要請が殺到することを警戒しているのであろう。



しかし、防衛医官といえば、イラクには陸・海・空それぞれの自衛官が多数派遣されており、当然その中には医官が何名も含まれている(産婦人科医がいるのか否かは分からぬ)。

サマワの陸自の医官は、現地医療を助けているようで、その行為自体は良いことだ(しかし、私は「政策としての」イラクへの自衛隊派遣にはいまだに反対だ)が、

自国の沖縄県で産婦人科医がいない地域に、たった一名の防衛医官を派遣し、方や、それよりも多くの防衛医官を外国に派遣するのは、診療科目が違うとか何とか以前に、優先順位を間違えていると云わざるを得ない。


by j6ngt | 2006-04-09 23:51 | 医療

インフルエンザ薬:タミフルで異常行動死 少年2人」どの薬にも「重大な副作用」がある。(追加)

◆記事:インフルエンザ薬:タミフルで異常行動死 少年2人

 

 インフルエンザ治療薬のリン酸オセルタミビル(商品名タミフル)を飲んだ患者2人が、飲んで間もなく行動に異常をきたし、1人は車道に走り出て大型トラックにはねられ死亡、もう1人はマンションの9階から転落死していたことが11日、分かった。

 薬の添付文書には副作用として「異常行動」(自分の意思とは思えない行動)や「幻覚」などが起きる場合があると書かれているが、死亡につながったケースの判明は初めて。

 厚生労働省安全対策課も死亡例の一つを副作用として把握しており「異常行動の結果、事故死する可能性もある」としている。

 NPO法人「医薬ビジランスセンター」(大阪市)理事長の浜六郎医師が12日、津市で開催中の日本小児感染症学会で発表する。2人の遺族が浜医師に相談した。

 岐阜県の男子高校生(当時17歳)は昨年2月にインフルエンザと診断され、正午過ぎにタミフルの通常量、1カプセルを自宅で飲んだ。

 その後、家族が不在の間にパジャマ姿で素足のまま外出し、雪の中を自宅のフェンスを乗り越えて走るなどした。

 午後3時45分ごろ自宅近くでガードレールを乗り越え大型トラックに飛び込み死亡した。



 タミフルの輸入販売元の中外製薬は同年7月、「薬との因果関係が否定できない例」として厚生労働省に報告した。



 愛知県の男子中学生(当時14歳)は今年2月5日にインフルエンザと診断された。

 午後4時ごろに1カプセルを飲み、午後5時半ごろ自室に戻った。午後6時ごろ、自宅マンションの前で全身を打って倒れているのが見つかり、そのまま死亡した。

 警察によると9階の手すりに指紋が残り、手すりにぶら下がった後に落ちたとみられる。

 2人とも、薬を飲む前に精神的な異常は全くなかったという。



 この他にも10代の女性が服用後2日目に窓から飛び降りようとして母親に止められた例があり

、厚労省は昨年6月に「医薬品・医療用具等安全性情報」を出し注意を呼びかけた。添付文書に副作用として異常行動を盛り込むことも指示した。

 同省関連の独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」には、00~04年度に、服用後の幻覚や異常行動などが延べ64件報告されている。



 奥西秀樹・島根大医学部教授(薬理学)は「脳内には興奮を抑える仕組みがあるが、タミフルはこの仕組みをさらに抑え異常な興奮などを起こすのではないか」と推定する。

 未成年者や乳幼児は化学物質から脳を守る機構が弱く、特にこうした副作用を受けやすい。

 他に幼児6人が服用後に突然死しており、同様の副作用と疑われるという。

 タミフルはスイス・ロシュ社が開発した。ウイルスの増殖を妨げ熱がある期間を1日程度縮める効果がある。

 国立感染症研究所の医師によると日本での年間販売量は1500万人分で、世界の8割以上を占める。 

 毎日新聞 2005年11月12日 3時00分


◆コメント:毎日新聞は、結局どうしろというのだ?

 

 鳥インフルエンザの世界的流行の可能性があるという。

 何故、大騒ぎをしているかというと、感染した場合、死亡率が高いからである。

 中国や、東南アジアは大騒ぎだ。ベトナムでは既に42人が鳥インフルエンザで死亡している。

 今までのところは、鳥から感染した例(鳥そのものとの接触や、排泄物の処理を通じて。食べて感染という話はまだ無いはず)ばかりだが、

 WHOは「現在のウィルスが変異してヒトからヒトへ感染するような事態になれば、世界中で数百万人が死亡するだろう」とかなり深刻な警告を発している。

 あるWHOの高官は悲観的で、新型ウィルスは必ず発生するだろうという。



 渡り鳥がウィルスを運んで来るのであるが、「渡り鳥が移動する主要な八経路のうち三経路が、世界の20%あまりの家禽を養う中国の上を通っている。

 その60%が放し飼いであり、防疫難度は高い」としており、感染を完全に防ぐのは極めて難しいのだそうだ。

 その渡り鳥は日本にもくるわけだから、日本政府も珍しく早めに厚生労働省が対策本部を設置している。

 新型のウィルスが発生したときのことは、ひとまず留保する。

 現在のH5N1型ウィルスによって発症するインフルエンザには、スイスの大手製薬会社ロシュが製造する「タミフル」という薬が有効だとされている。

 発症から48時間以内に服用すれば、体内でウィルスが増殖するのを抑制する働きがあるそうだ。

 他にも同様の効果が期待出来る薬が何種類もあればいいのだが、ない。

 このため、世界中の政府からロシュ社にタミフルの注文が殺到していて、ロシュ社は薬の製造が注文に追いつかず、大変らしい。


 ◆どの薬にも副作用はあるんだから、あまり神経質になっても仕方がない。

 

 あまりにも有名なサイトなのでリンクは貼らないが、「お薬110番」という処方薬の膨大なデータベースサイトがある。

 これを見てみると、全ての薬に「重大な副作用」という項目があるのだ。

 例えば、ずーっと昔から非常に一般的に使われている抗うつ薬でアナフラニールという薬があるが、私も飲んでいたけれど、

 これには、悪性症候群、セロトニン症候群(興奮・混乱状態、もうろう状態、取り乱す、幻覚、発汗、体のぴくつき、ふるえ、けいれん、発熱。)とか、

 幻覚、せん妄、錯乱、けいれん(現実でない人や物が見えたり声が聞こえる、混乱、興奮、取り乱す、けいれん)などという、素人目には怖くなるような言葉がこの後も延々と続いている。

 アナフラニールを取り上げたのは実際に私が3年間ぐらい飲んでいたことがあるからだが、「重大な副作用」はタダの一度も起きなかった。

 また、外来で知り合った患者でそのような経験をした人はひとりもいなかった。

 他の科の薬の添付文書にもやはり、重大な副作用が必ず列挙されている。

 勿論これは、製薬会社が免責の為に載せている。

 たとえ、確率は非常に低くても、過去、実際に起きた副作用は、明記しておかないと、訴えられるからだ。

 現実には、滅多なことでは「重大な副作用」は起きない。


◆伝染病なんだから、飲んで貰わないと、周囲が迷惑だ。

 

 毎日新聞は、不必要に不安を煽っている。

 まず、確認しておかなければいけないのは、少年二人の「異常行動」とタミフルの服用との因果関係は証明されたわけではない、ということである。

 謂わば状況証拠だけなのに、この新聞記事は、既に因果関係は証明済みであるかのような印象を与える。

 ミス・リーディングな記事だ。

 H5N1型ウィルスによるインフルエンザに罹った心配性の患者が、この記事を覚えていて、

 非常に起きる確率が低い副作用を恐れて薬を飲まないことにより、体内でウイルスが増殖し、ある時変異して周囲の人に感染し、

 最悪の場合死亡する。ということになりかねない。

 インフルエンザはれっきとした伝染病であり、自分だけの問題ではないのだ。そして特に今回のウィルスはタチが悪いのである。


◆結論:鳥インフルエンザになったとき、薬の副作用と、病気そのものとどちらがより深刻か

 

 問題はそういうことだ。

 仮に、タミフルに、異常行動を起こさせる副作用があったとしても、 貴方が鳥インフルエンザに罹ったとしたら、

 異常行動で死ぬ可能性と、病気そのものにより死ぬ可能性とでは、どちらの方が大きいか?

 さほど難しい話ではないでしょう。
 とにかく、タミフル以外殆ど選択肢が無い日本人に、この薬で頭がおかしくなって飛び降りて死んでしまった人がいますよ、

 と不必要な心配材料、恐怖を与える毎日新聞の意図が分からない。


◆追加:2003~2004年、日本でタミフルを服用した人は600万人もいる。(WHO疫学週報)

 

 今、発見したが、<WHO疫学週報 Weekly Epidemiological Report>というページがある。これは小樽市地域感染症ネットワークのサイトの一部であるが、有益な情報が掲載されている。

 さて、<WHO疫学週報 Weekly Epidemiological Report>は長いページなので、Ctrl+Fでページ内を“タミフル”で検索してください。

 すると、「日本では、2003-2004に600万人がタミフル服用。」というセンテンスを見つけるだろう。

 WHOが発表する数字なので、まず信用しても良いと思う。

 冒頭の毎日新聞の記事によれば、2000年から2004年の間に、タミフル服用後の異常行動、幻覚が「延べ」64件報告されているという。

 延べ数だから、複数回の重大な副作用を経験した患者がいるわけで、実際の患者数は64人より少ないことになる。

 WHOのタミフル服用者数カウントと期間が重なっていないので科学的、統計学的につっこまれると困るが、「傾向」は分かるでしょ?

 ものすごく大雑把なことを云うと、一年間に300万人ぐらいの人がタミフルを飲んだわけです。

 一方重大な副作用は4年間で64人。

 統計学的、科学的な主張にはならないだろうが、副作用の出る確率がかなり低いと言うことは、素人なりに分かる。

 だから、あまり気にしなさんな、と言いたいのだ。

 勿論、絶対安全とは云いませんよ。

 いくら確率が低くても、運が悪い人は最初に一錠のんで、異常行動を起こすかもしれない。

 「可能性」と云ったら、それは、ありますよ。しかし、そこまでおどおど気にしても仕方がないでしょう。その時は運が悪かったと諦めるのだ。

 貴方も私も明日、クルマに轢かれて死ぬ「可能性」はゼロではない。

 だからといって、会社や学校を辞めるという人はいないでしょう。
 「可能性」を怖がっていたら、一生、一歩も外に出られない。「タミフル」も、そんなものだよ。


by j6ngt | 2005-11-13 05:18 | 医療

「医療給付金49兆円に抑制 医療制度改革で厚労省試案 」 まだまだひどい話が続きます。

◆記事1:医療給付金49兆円に抑制 医療制度改革で厚労省試案 [ 15日 12:02 共同通信 ]

 

 来年の医療制度改革に向けた厚生労働省の試案に、現行制度のままでは2025年度に04年度の2倍以上の56兆円に膨張すると見込まれる医療給付費を、生活習慣病予防や長期入院の是正策などにより49兆円(国民所得の9%)に抑制するとの案が盛り込まれることが15日、分かった。 この案を基本に、上乗せの抑制策として、


  1. 65歳以上の窓口負担を原則2割にする(25年度の削減効果1・3兆円)

  2. 1000円以下の低額医療費を公的医療保険の給付対象外とする「保険免責制度」を導入(同4兆円)

  3. 診療報酬を25年度までに10%削減(同4・9兆円)


-を選択肢として提示する。来週中にも公表。政府、与党内の議論のたたき台とする。


◆記事2:◆記事2:経団連、医療給付費抑制で目標設定・2010年は30兆円以内[日経 10月14日]

 

 日本経団連は14日、医療制度改革への提言をまとめた。

 2010年度の公的医療給付費を30兆円以内に抑制する総額目標の設定を初めて提唱した。制度改革論議に一石を投じそうだ。

 医療給付費の抑制目標をめぐっては、経団連の奥田碩会長も参加する経済財政諮問会議の民間議員が経済成長率に高齢化率を加味して計算する伸び率の範囲内に抑えるべきだと提案している。

 経団連は「伸び率の目標は毎年の医療費実績や景気変動によって目標の数値が変わってしまう」とし、総額を掲げた対案を提示した。

 経団連は30兆円の根拠について「2025年度時点で、潜在的な国民負担率を50%程度にするには必要な水準」と説明しており、厚生労働省が試算した2010年度の医療給付費より4兆円抑制する必要がある。

 政府が導入を検討している高齢者医療制度に関しては、被保険者の対象年齢を65歳以上にするべきだとした。政府は75歳を軸に検討しているが、経団連は企業などの負担軽減に配慮したものとみられる。


◆記事3:終末医療費抑制:医療、介護の連携に報酬増額 厚労省 [毎日新聞 10月13日]

 

 厚生労働省は12日、診療報酬と介護報酬が初の同時改定となる06年度改定で、医療・介護関係者が「在宅医療チーム」を組んで入院患者が早期退院できる診療計画をつくり、計画に基づくケアにあたった場合、報酬を上乗せする方針を固めた。

 終末期を迎えた患者の尊厳を重視するとともに、自宅で死を迎える人を増やすことで高額な「終末期医療費」にメスを入れる狙い。自宅死亡が2倍になれば、25年度の終末期医療給付費を5000億円削減できると見込んでいる。(中略)

 死亡前1カ月の「終末期医療費」は総額約9000億円(1人当たり平均112万円)で、医療費全体を膨らませる大きな要因になっている。

 高齢化の進展によって年間の死亡者数は毎年2万人超ずつ増える見通しで、厚労省は終末期医療費を抑えるため、自宅で死亡する人の割合の2割から4割へのアップを目指すことにした。


◆コメント1:医療費の患者負担を上げ続ける小泉君。

 

 この云い方は、好きではないが、今回は私は云う資格が有ると思う。

 「だから、いったでしょ?」

 何のことかといえば、衆院選の前、9月7日の日記で、【衆院選】自民党が勝利すると、こういうことが起きる。と題する稿を上げた。

 その中で、小泉は必ず、サラリーマン増税の他に、「医療費の本人負担を増やす」と書いた。

 そのとおりになってるでしょう(但し老人医療費とは書かなかったから、完全に予想通りではないが)、といいたいのだ。

 小泉首相という人は、以前から患者の窓口負担を引き上げたがるのだ。

 1997年、本人負担割合を1割から2割に引き上げたのは、当時の厚生大臣だった小泉純一郎氏である。

 その5年後、小泉君は総理大臣になって1年を経たところで、本人負担を2割から3割に引き上げた。

 この時、当時の丹羽厚労相は、診療報酬(所謂、医者が提出するレセプト、保険の点数計算というやつ、に応じて、国から医者に支払われるおカネ)を大幅に引き下げたばかりだったので、

 「診療報酬を引き下げたから、健康保険財政には余裕があるから、患者本人の負担を増やす必要はない。これでは、改革ではなく、意味のない国民の負担増だ」と反対した。

 ところが、他人に反対されると、理屈が通っていればいるほど拗ねて、逆のことをしたがる、小泉純一郎という、この幼稚な宰相は、トップダウンで押し切って、本人負担率を3割にした。



 そして、今回は、老人をターゲットにした。

 世代間で負担率に格差があるのは、おかしい、というのが大義名分のようだが、果たしてそうか?

 一般論としては、人間は年を取れば取るほど、身体にガタが来て、医者の世話にならなければならず、若い頃ほど無茶をして働いて稼ぐ訳にはいかないのだから収入が減る。

 くどいようだが、一般論である。高齢者には、もともと金持ちもいるだろうし、若い頃からカネを貯めるか増やすことに熱心で、そこそこ資産を保有している人もいるだろうが、人にはそれぞれ事情がある。

 若い頃から一生懸命働いたが、その所為で身体を壊し、中には寝たきりとなり、年金や、個人で加入していた保険だけが頼りという年配の方の方が多い筈である。

 そう考えると、高齢者の医療費の自己負担を現役バリバリと同じにするのは、酷だ、と考えるべきである。

 それが為政者の正しい発想だ。


◆コメント2;経団連は政治に口を出しすぎだ。

 

 記事2を読むと腹が立つ。

 またしても、経団連の奥田会長が、政治に口を出している。出し過ぎだ。

 しかも、何時までに、いくら、医療費の国庫負担を減らすべきだなどと、細かい数字まで上げている。

 それは、政治家と役人の仕事で、クルマ屋のオヤジの出る幕ではない。

 2025年には、本人負担率を半分にしろという。

 要するに団塊の世代の大量定年を2007年に控えて、どの企業も、退職金や厚生年金の会社負担を出来るだけいろいろ分かりにくい制度にして、安く抑えようとしているのだ。

 そういことをしていいのか?

 散々社員を働かせておいて、企業収益は向上しているのに、給料は上げない。

 病気になって社員が困っている時にも、なるべく会社はカネを出さない。

 そして、30年以上も真面目に働いたサラリーマンに「ご苦労様」という感謝を込めて支払う退職金をどんどん減らそうという。

 会社員は、「どうせ、おれたちは使い捨ての兵隊だ」と思うようになる。モラルが下がる。生産性が下がる。不祥事も増えるに決まっている。

 それぐらいの人の心が分からなくて、良くも経営者面をして威張っていられるものだ。


◆コメント3:どうせ助からない患者はさっさと退院させて、医療費の国庫負担を減らすのだそうだ

 

 記事3もすごい。

 終末医療即ちターミナルケアとは、末期癌などの最早回復する見込みがない、はっきり言えば、死を待つだけの患者に対する医療のこと。

 正確に言うとターミナルケアというと看護用語になるのかもしれぬ。専門家の方、教えてください。

 確かに、自宅で死を迎えることを望む人はいるだろう。

 が、一方では、病院で最後まで専門家に診てもらいたい患者だって多いはずだ。

 末期癌でたびたび激痛に襲われる人に対しては、モルヒネ系、つまり麻薬系の強力な薬物を用いて鎮痛を試みなければならない。

 そういう人が自宅に帰って、家族、即ち素人にモルヒネを扱わせるつもりか? 素人は、医療行為をしてはいけないはずだ。

 まして、麻薬系鎮痛剤、(というか麻酔薬の部類なの?)の使い方を間違えたら(他の薬物も同様だが)、そのまま死んでしまう。

 注射を打った家族は、いずれは死ぬと分かってはいても、自分が肉親を殺したとの良心の呵責に責められるだろう。



 自宅に帰したら、「在宅医療チーム」を編成して、ケアに当たるそうだ。

 へー。ただでさえ外来と病棟だけで忙しい病院の医療従事者に、そんな余裕が有るのですかね。

 そのためには、医師の数を大幅に増員せねばならず、結局、人件費がかさむ。

 「在宅医療チーム」云々(うんぬん)は国民を一応納得させる(つまり、騙す)ために、響きの良い「アイディア」の域を脱していない。

 要するに、自宅で死ぬか病院で死ぬか、どうせ助からないのなら、それぐらい患者本人の選択を尊重するべきである。

 それを、国が、十把一絡げに、助からない人はさっさと病院から出て云って下さいね。というのだ。 しかもその理由はカネだけなのだ。

 「貴方、もう長くないです。自宅に戻ったら、もの凄い痛みに耐える事になるかも知れないけど、頑張ってください。

 貴方が病院にいるとカネがかかって、どうしようもないのです。」

 人間の一生の終わりという厳粛な時のあり方をそろばん勘定だけで、考えて良いのか?

 それは、人間の死、即ち、その人の一生に対する冒涜ではないだろうか。

 小泉はとにかく弱者に冷酷だ。殆ど異常と云っても差し支えない。


by j6ngt | 2005-10-16 04:10 | 医療

難病患者や障害者への負担を増やし続ける←「弱者に薄く」が小泉内閣の基本です

◆小泉内閣の医療制度「改革」はこんなことをしている。

 一昨年、2003年4月から健康保険の本人負担が三割に引き揚げられた。

これは記憶に新しい。おかげで、私は苦労させて貰っているよ。小泉さん。


◆一定金額以下の治療費は全額を自己負担にするつもりらしい。

 

 さらに、まだ決まってはいないが、一定額以下の治療費については、全額を自己負担にする「免責制度」の導入も小泉内閣考えている。

 例えば、2千円を免責金額として、保険対象外とした場合、怪我、病気で1万円の医療がかかったときには、現行制度では1万円の3割の3千円が自己負担となる。

 「免責制度」を導入すると、2千円に加えて、残りの8000円の3割がまた自己負担分となるので、8000×30%=2400円が上乗せされる。

 つまり、2000+2400=4400円が本人負担額となるのである。

 これは、滅多なことでは医者に行かない健康そのものの頑健な肉体と精神をお持ちの立派な方はいいだろうが、定期的に何年にも亘って医師の診察・治療を受けなければならない病気は多く、そういうのは、大抵、一回当たりの金額は2000円もしないのであるから、全部自己負担になるんだろう。

 金額が低い患者ほど再診患者が多い、という現実を知っていて、こういう政策を打ち出すのであろう。

 しかし、良くないね。例えば、血圧などは、降圧剤を飲んでいる患者が、医療制度が変わり、来月から医療費が家計に重すぎるのでもう、来ませんということになったら、とんでもないことである。

 全部ではないが、降圧剤を急に止めたら、血圧がリバウンドして、運が悪ければ脳内出血や心臓に来て、死ぬ患者も出るだろう。いや、本当に降圧剤を急に止めたら危ないですよ。
 実際、そう言う人が、増えそうな気がする。


◆障害者への負担を重くすることが決まりました。、身体・知的・精神の「三大障害」全てについて。

 

 これは、今日、実際に決まってしまいました。

◆記事:障害者支援法案 衆院厚労委で可決 原則1割負担に変更

障害者施策を見直す障害者自立支援法案が13日、衆院厚生労働委員会で政府案を一部修正の上、与党の賛成多数で可決された。

身体、知的、精神の障害別の福祉サービスを一元化し、障害者が自立した生活をできるように支援する。財源を安定化するため、利用したサービス費用の原則1割の定率(応益)負担を障害者に求めるが、野党は「障害者の所得保障が先」などと反対している。低所得者への減免措置の内容などは未確定で、法案成立までさらに論議が続きそうだ。

  ◇解説 重度障害者ほど重い負担

 障害者にサービス費用の原則1割の自己負担を求める障害者自立支援法案が13日、衆院厚生労働委員会で可決された。サービス利用量が多い重度の障害者ほど、負担額が重くなる定率負担となることに、福祉の在り方として各方面から疑問の声は強い。

政省令に委ねられた減免措置の具体的内容も明らかにされておらず、議論すべき課題はなお多い。

 障害者は月6万~8万円の障害基礎年金などが頼りで、市民団体の全国調査では、9割強の人が月額10万円未満しか収入がない。可決された与党の修正案では、障害者の所得保障に関する検討規定が追加され、所得保障の在り方を速やかに検討し、3年以内にその結論を出すことも付帯決議された。方向性をより具体化することが求められる。

 また、現行の支援費制度が作った「施設から地域社会へ」の流れを断ち切らないためにも、低所得者への減免措置が必要だ。法案は負担上限を収入に応じて月4万200円▽2万4600円▽1万5000円の3段階に設定。これに加えて、重度障害者やグループホーム入所者らを対象に具体的な減免措置を今後、政省令で定めていく。ただ、その内容は不透明で、衆院では十分に議論が尽くされなかった。(毎日新聞) - 7月14日10時12分更新


 なんでそう言う大事なことを「議論をつくさないで」決めるのかな。


◆弱者に冷たい小泉純一郎内閣総理大臣。

 

 その他にも、所構わず、患者の負担を重くしようとしている。


  • 食費や居住費を自己負担へ 長期入院の医療型療養病床(共同通信) (4日2時4分)

  • <厚労省>被扶養者からも新たに保険料徴収へ←今はお父さんがサラリーマンならば、お父さんが会社の健康保険組合を通じて保険料を納めればよいのだが、いずれ、奥さんや子供からも保険料を徴収するのだそうです。

  • 特定疾患の見直し。


「特定疾患」とは昔は「難病」とか「奇病」とか呼ばれていたものですが、呼び方が変わったのは、次のような考え方が出てきたためです。

「治療法が確立していない難病のうち、特定疾患については、治療が極めて困難であり、その医療費も高額なので、「特定疾患治療研究事業」を推進することにより、特定疾患の治療法の確立・普及を図るという名目により、結果的に、患者の経済的負担を軽減する」と。



 ところが小泉政権になってから、2001年、「難病対策委員会」という厚生労働省の審議会を作らせて、要するに、今、現在研究対象となっている特定疾患は121疾患で、そのうち、45疾患が治療費公費負担の対象になっているのですけれども、この数を減らそうとしてます。

 数とは特定疾患として認める病気の数を減らし、ここの患者も少し程度症状が軽くなったら、もう公費は出さないよ、といえるように変えようとしている。

 テレビで、特定疾患を患っているお子さんをお持ちのお母さんが、「自分たちが生きている間だけでも、何とかこの子を支えようとしているのに、これで、特定疾患から外されて、急に治療費が出なくなったら、それは、この子に死ねと言っているものだと解釈します」といっていた。

 小泉さんという人は、私はもう怒る気力がないけれど、本当に血も涙もないひとだね。
 以前、自殺遺児が小泉さんを訪れたときの話を書いたので、そちらもご覧下さい。


by j6ngt | 2005-07-15 01:40 | 医療

親というのは悲しいものなのです。

◆ここ、2週間ほど、大げさに言うと地獄でした。

 

 私は、滅多なことでは、私事(わたくしごと)をここに書かないのですが、今日は少しばかり。

私事と云っても、自分のことではなく、一人息子のことであります。

結論から書くと、倅(せがれ)は元来小柄なのだが、薦めてくれる人がいて、約2週間前に近所の小児科医院を受診したところ、「下垂体性低身長疑診」と云われ、翌日、これも比較的近所にある総合病院で検査(採血と写真かな。カミさんが連れて行ったので細部が今ひとつ分からぬ)を受けたのです。


◆幸い、正常でした。

 今日結果が出て、要するに異常は無い。平均より少し肉体の成長が遅いだけだ、とのお墨付きを頂いたのだ。

 主治医は小児科ではかなり有名な先生だ。

 ホッとしたが、し過ぎて、気が遠くなった。

良かったじゃないか。と、思われるでしょうけどね。 親というのはそういうものではないのだ。

この2週間は本当に辛かった(息子はけろりとしているのだが)。

私は、祖父が医師だったし、親戚にも医者が多い。門前の小僧で、「病気」という概念、状態を病的に恐れる者ではない。

下垂体性小人病だったとしても、成長ホルモンを(今は自家注射が出来るので)毎日、何年間か注射し続ければ、まず、間違いなく効果が現れ、重篤な副作用の心配も殆ど無いということは、少し調べれば分かる。

それでは、ますます心配要らないはずだ。しかし、それは「理屈」だ。

くどいが、親は理屈で動く者ではない。

自分の子供に、もしかすると、この先数年間、毎日注射を打たねばならないかもしれないと考えると、たまらなかった。

 そうはいっても、毎日心配だ心配だと日記に書くわけにも行かないし、仕事も通常通りこなさなければならぬ。何とかこらえた。

医療側にとって、検査結果が出るまでの2週間は常識だろうが、この間の患者(では無かったわけだが)側の苦痛は、筆舌に尽くしがたい。拷問である。


◆何の検査でも2週間というの、何とかならない?

 あの、何の検査でも、混んでるときも空いているときも2週間というのは、如何にも事務的である。どうにかならないものか。

恐らく、混んだときを想定した時間なのだろうが、空いていて、1週間で結果が出たなら、結果がどうあれ、早く教えてもらえないだろうか。


◆結論をまず一言目に云って下さいよ。

 

 検査を受けたのは総合病院だが、その結果は再び、近所の小児科に送付され、今日はそこで説明を聞いたわけである。 ドクターが写真を並べる。採血結果をみて、しばらく何も云わないのだ。というか写真(レントゲンのことね)をみて、ふーん、なんて云っている。

心臓が口から飛び出るのではないか、と思った。

 出てきた答えは、平均よりも身長の伸び方が遅れているだけであり、これから伸びて、普通の身長になるでしょうと言うことなのだった。

これね。患者から云わせると、その一言をまず、云って欲しいのだ

本当に、辛いんですよ。一秒でも早く、結果を知りたいのですよ。


◆難しいのでしょうけどね。
 

 強がるわけではないが、2週間悲嘆に暮れていたわけではない。

我が子は赤ん坊の頃から、常に、肉体的発達が、少しずつ人より遅いのだ。

赤ん坊の首が据わるのは普通3ヶ月だが、3ヶ月をすぎてもすわらなかった。

その頃は違う場所に住んでいて、今日のドクターではなかったのだが、診てもらったら、こういうのを、フロッピーインファント(フロッピーってのはぐにゃぐにゃした、ってな意味ですね)といって、歴とした病気だ。と宣告された。

初めてのこどもだから、当たり前だが、何もかも初めてで、専門家に言われたことは、素直に信じるしかない。

 カミさんはパニック状態に陥った。

脳に異常が有るかもしれない、といって、女子医大で、まだ赤ん坊の息子のCTを撮った。

 子供は、暴れると行けないから、導眠剤を飲ませ、手足をベルトで固定する。その姿で、あの巨大なトンネルの如き機械に吸い込まれて行くのを見るのは、辛かった。歯を食いしばって我慢したが、その光景を見ただけで、私は危うく泣くところだった。

異常所見は認められず、結局5ヶ月で首は据わった。



歩き出すのも、遅かった。早い子供は10ヶ月で立って、歩く。我が子は1年を過ぎても歩かなかった。

このときもまた、ドクターに(ドクターが善意、誠実なのは分かるのだが)おどかされた。

 18ヶ月を過ぎても歩かなかったら、直ちに、精密検査をします。筋肉に電流を通して、神経が正常であるかどうかを調べます。という。

赤ん坊は言葉が分からないから、何を言っても大丈夫、と思ったら大間違いである。気配で分かるのだ。

小児科医の診察を受けている間、まだ、何も分からないはずの幼子が、不安を感じ、私の顔を見て、「助けて」という目で訴える。

 しかし、どうしてやることも出来ぬ。 私は胸が張り裂けそうであった。

何を大げさな、と思うだろう。私も若い頃なら、同じように思ったに違いない。

しかし、「親とは、そういうものなのだ」

息子は、1年7ヶ月目で歩き出し、普通に発育した。小学校のかけっこでは1位になったこともある。



だから、身長が低いのも、どうせ同じ現象だろう、という気持ちがあった。

私の中学時代の同級生で高校生になってようやく声変わり(第二次性徴ってやつね)した奴がいたことも思い出し、落ち着こうとした。

 小児科が専門分野であるのは、「子供の身体は大人の小型版ではない」からで、特有の診断・治療技術を必要とする。難しい分野なのだ、ということは、身内からも聞いていた。

 最近は、何かというと親が訴訟を起こすので小児科の成り手が少ないそうだ。つくづく大変な仕事だと思う。


◆患者に対する説明も、医療技術の一つだ。

 大変な仕事だといことは、分かっている。

分かっているが、駆け出しの若いドクターにも、ベテランにも注文をつけたい。

特に、「初めて子供を持つ」親には、患者が病気であっても、無くても、また、検査をしなくては分からないと言う場合も、状況を説明するときの言葉の使い方には日頃から「吟味に吟味を重ね」て下さい。

 患者(の親)一人一人に、いちいちそんな手間をかける暇はない?

ダメですよ。 医師といえどもサービス業者なんだからね。

まあ、若い人には分からないかも知れない。

自分が親にならないと分からんよ。こればかりは。

親というのは、憐れなものなのさ。

本日は、つまらぬ 私事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


by j6ngt | 2005-04-13 01:08 | 医療