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「NHK職員、カラ出張」←職員の不祥事はNHKに対する受信料不払いを正当化しない。

◆記事:NHK 職員がカラ出張 1762万円着服、懲戒免職に

NHKは11日、報道局スポーツ報道センターの大下哲史チーフプロデューサー=CP=(43)が、01年1月から今年4月までの約5年間に計242回のカラ出張申請を行い、

旅費や日当1762万円を着服していたと発表した。同日付で大下CPを懲戒免職処分にするとともに、警視庁に被害届けを出すことを検討している。

NHKは一連の不祥事や受信料不払い急増を機に改革に取り組んできたが、そのさなかに続けられていた不正だけに、視聴者の反発を呼びそうだ。

NHKによると、大下CPは00年6月から札幌放送局でスポーツ中継業務を担当、昨年6月に現在のスポーツ報道センターに異動となり、主にサッカーの試合中継を担当していた。

カラ出張旅費を申請する際、いったん航空券を購入して領収書を入手し、その後、転売するなどしていたという。今月初旬、東京から福岡、大分を経て東京に戻る日帰り出張の旅費申請。

不審に思った上司に追及され、カラ出張を認めたという。着服した金は服飾費や飲食費にあてていたが、全額弁済している。

また、NHKは理事2人と大下CPの当時と現在の上司計12人を出勤停止や減給などの処分にした。

NHKの橋本元一会長は同日、「視聴者の皆様の信頼を取り戻すため、全力で改革に取り組んでいる矢先に、信頼を再び損なう行為が明らかになったことは痛恨の極みで、心からおわび申し上げます」

などとするコメントを出した。(毎日新聞) - 4月12日9時41分更新


◆記事2:受信料不払いの罰則化容認 民放連会長、NHK改革で

日本民間放送連盟の広瀬道貞会長(テレビ朝日会長)は12日、共同通信の取材に対し、NHK受信料の支払い義務化を容認する姿勢を示し、「不払い者への罰則導入もやむを得ない」との考えを表明した。

広瀬会長は、NHKの受信料不払いが全世帯の約3割に達し、支払っている視聴者の間に不公平感が広がっていると指摘。

支払いを義務化して罰則を導入する場合には、NHKのチャンネル数を削減して受信料を引き下げるなど「全員が公平感を持って払う仕組みを作ることが重要」と述べた。

NHKの経営体制については「NHKの経営委員会には常勤の経営委員を置き、国会や政府に責任を持たせる必要がある」と語った。(共同通信) - 4月12日18時14分更新


◆コメント1:「またこれで、NHK受信料を払わない理由が出来た」とほくそ笑んでいる人がいるのでしょうね。

同じことを何度も書くのは疲れるものである。

昨年、NHK職員が放火犯だったことが発覚した時に、私は「<NHK記者逮捕>視聴者の不信感に再び火」←受信料不払いの理由にはなりませんよ。という記事を書いた。その時と全く論理は同じなのでご参照いただきたいのだが、それだけでは手抜きなので、もう一度書く。

「NHK受信料の支払は法律上の義務ではない」

「経営体質が納得出来ない」

「職員が不祥事を起こす」

ことは、いずれもNHK受信料不払いの理由にはならない。


◆コメント2:NHKはインフラ(社会資本)なのですよ。

NHKはインフラ(インフラストラクチャー。社会資本。道路・港湾・鉄道・通信・電力・水道など)である。民放も放送はできるが、全国津々浦々まで電波を届けることができるのはNHKだけだ。

緊急時に一斉に全国民に連絡するシステムを確保するためには、NHKが絶対に必要である。



昨日書いたばかりだが、郵政民営化と同様である。

日本の放送局が全て民放になったら、人口数百人の離島まで電波を届かせるために、施設を作る、などという不採算なことは絶対にしないだろう。

だから、受信料で運営するしかないのだ。

「受信料の支払は法律上の義務でないから支払わなくても良い」という人は、単なるケチで、払わなくても罰則が無いから払わないだけではないか。

ところで、受信料を支払わない貴方。NHKを絶対に見ないのですか?

トリノオリンピックで2月23日(現地時間)荒川静香選手が金メダルを獲得したとき、最高視聴率は31.8パーセントを記録した。

受信料を払っていない人、まさか、見たんじゃないでしょうね?

見て払わない人は、何故、自分が払わなくても見られたのか、考えただろうか?

何故かと云えば、視聴者の7割に相当する人々が真面目に払っているからである。


◆コメント3:インフラ(社会資本)なのだから、国民が平等に負担するのは当然である。

前段落で、受信料を払わない人はまさか、NHKをみていないでしょうね?と書いたが、実はそれは関係ないのだ。

「自分は車を運転しないから、高速道路建設に使われる分、税金を安くしてくれ」、という人はいないだろう。

「自分には子供がいないから、学校建設に使う分だけ税金を安くしてくれ」という人はいないだろう。

「自分は健康だから、保険料を下げてくれ」という人はいないだろう。

NHKとて同様である。税金じゃないから、罰則がないだけだ。


◆コメント4:「経営体質が不満」という方。具体的に指摘してください。

「NHKの経営体質が気に入らないから受信料を払わない」という人もおられる。

「経営体質」ねえ・・・。

そういう方々に伺ってみたいのだが、NHKがどういう経営体質ならば、払うのか?

A4のレポート用紙一枚に、要点をまとめて提出できますか?

経営体質と言ったって、色々な要素がある。

経理、資金運用の現状と計画、設備投資計画など(要するに財務ですね、)、人事(人事評価システム、給与体系など)、新技術開発の現状と計画、番組編成、番組内容、等々。

放送業界に関しては全くの素人の私でも、すぐにこれぐらいの項目を思いつく。

「NHKの経営体質が気にくわない」という方は、当然、これらを把握しておられる訳ですよね(知らないのに、気にくわないもへったくれもないはずだ)?

仮に、NHKの経営体質をよく研究し、知っていたとしても、人それぞれ思想が違うのだから、視聴者全員が納得する「経営体制」を構築することなど、出来るわけがない。

即ち、「経営体質が気に入らない」ことはいずれにせよ、受信料不払いの正当化事由には成り得ない。


◆コメント5:NHKにも国家権力は介入するだろうが、民放はもっと制約がある。核燃料再処理の例。

記事2を読んで下さい。民放連の会長まで、受信料不払いに対する罰則もやむを得ない、と言っている。

民放だけでは出来ないことをNHKがやっていることを理解しているからだ。

例えば、以前、テレビ朝日「報道ステーション」が、核燃料リサイクルの問題点を特集で取り上げようとした。

核燃料再処理、核燃料リサイクル、プルサーマル等という言葉を聞いたことがあるでしょう?

ところが「リサイクルだからいいことじゃないか」という単純な話ではないのである。

それに関しては、私も素人だが、以前「再処理政策継続の中間報告 15日に地元に伝達 」 再処理工場は原発より、危険なのですという記事でまとめたので、ご覧頂きたい。

さて、その危険性についてテレ朝が取り上げようとしたら、番組のスポンサーである有名電気関連企業から、猛烈なクレームが来た。

この会社は家電を作っているから誰でも知っているが、核燃料リサイクルの設備も手がけており、実現すれば大儲けなのだ。

だから、核燃料の再処理の問題点を国民に知らせるな、とテレビ局に詰め寄ったわけである。

何度も書くが、民放にとって「スポンサーは神様」であるから、逆らえない。特集はボツになった。

この話は某現職若手衆議院議員がメールマガジンに書いていたのだが、暫く経ってから彼のサイトを見たら、通常、メルマガのバックナンバーは全て載っているのに、この件について書いた稿は削除されていた。

(わかりますね?政党も大企業からの多額の献金で支えられているのです。)

勿論、NHKにも圧力はあるだろうが、民間企業をスポンサーとする民放よりは自由度が高い。


◆コメント6:個人の不祥事は、彼(又は彼女)が属する法人に対する債務を免除しない。

「こんな不祥事ばかり起こす会社にカネなど払えるか!」という人もおられよう。

しかし、NHKとの受信契約の相手方は、あくまでも法人たるNHKであり、不祥事を起こした職員ではない。

従って、個々の職員が不祥事を起こしたからと云って、NHKに対する債務が消滅するという論理は成り立たない。

それは、「<NHK記者逮捕>視聴者の不信感に再び火」←受信料不払いの理由にはなりませんよ。で例を挙げたが、もう一度書いておく。

「NHK職員が放火犯であったから、受信料の支払いをしなくても良い」という論理は、

「或る企業に属する人間が犯罪を犯したら、その会社から、財・サービスを購入しても、それに相当する対価の支払い債務は消滅する」という論理である。

すると、次のような主張をしても構わない、という結果になる。実際に存在する企業名を使わせていただいたが、あくまで仮定上の話である。

架空の名称を使うよりも、現存する固有名詞を用いた方が、分かりやすいからである。例えば、


  • 日産自動車の職員が通勤途中に痴漢行為をはたらいたら、日産自動車からクルマを購入して、まだ、ローンを支払っている最中の人間は、ローン残高の支払い義務が消滅する。

  • NTTの職員が女性のスカートの中を盗撮したら、電話料金は払わなくて良い。

  • 東京ガスの社員がひき逃げをしたら、ガスはタダで使いたい放題。
  • ソニーや富士通やNECや、IBMの職員が万引きをしたら、パソコン店から、それらの会社のパソコンを勝手に持ち出し、料金は一切支払わなくても構わない。

  • 石油元売り各社の社員が、酔っぱらって他人に怪我をさせたら、その会社のガソリンスタンドで、いくらガソリンを入れても、ガソリンは無料だ。



このように考えると、「NHK職員、カラ出張」→「受信料不払い」が全然正当な理由にならないことがお分かりになるのでは無かろうか。

今日は、NHKのエラい人が国会に参考人招致されて、散々虐められたようだが、これは日本独特の習慣だ。

不祥事を起こしたのは大人だ。横領がれっきとした犯罪であることを知った上で横領したのだから、本人が悪いのである。

NHKが悪いとすれば、経理上の監査が甘かったということであるが、それは二次的な責任である。

或る個人が犯罪行為に及んだとき、その責任は行為者本人に帰するのであり、彼の職場の責任ではない。NHKの上司が謝る必要は無いのだ。

それとも、日本の会社(NHKは株式会社ではないが、似たようなものだ)は、大学を出た新入社員に「犯罪を犯してはいけません」と、教え諭さなければいけないのだろうか?


by j6ngt | 2006-04-14 23:16

「特急が脱線転覆2人死亡 33人負傷、車内になお3人」事故の原因はまだ分からないのだ。

◆記事1:特急が脱線転覆2人死亡 33人負傷、車内になお3人

 

 25日午後7時15分ごろ、山形県庄内町のJR羽越線砂越-北余目間で、

秋田発新潟行きの特急いなほ14号=鈴木高司運転士(29)、6両編成=が最上川の鉄橋を通過後、前寄り5両が脱線、うち3両が転覆した。

 山形県警は26日未明、男女2人が死亡したと発表した。

現場で他に1人の死亡を医師が確認しており、県警が確認を急いでいる。

 乗客と鈴木運転士の計33人が重軽傷を負い、病院で手当てを受けた。

 同県警によると、死亡したのは転覆した先頭車両に閉じ込められた計6人のうち2人。

 消防がほかに女性1人を救出、残る性別不明の3人の救出を急いでいる。

 庄内署の調べに、鈴木運転士は「突風で車体がふわっと浮いた」と話しており、

 同署は死傷者の身元の確認を急ぐとともに、事故の詳しい状況や原因などを調べている。

 同署によると、電車には乗客44人と鈴木運転士、車掌の計46人が乗っていたとみられる。(共同通信) - 12月26日2時43分更新


◆記事2:<特急脱線転覆>JR東日本社長らが謝罪

 

JR東日本は東京都渋谷区の本社で25日午後10時から記者会見を開き、

 小縣方樹常務取締役らが「けがをされた方が多くいる。深くおわび申し上げます」と頭を下げた。

 しかし、現場の状況については「実際にどれだけの乗客がいたのかはわからない。

 運転士もけがをしているようだが、直接連絡が取れていない」と話した。(毎日新聞) - 12月26日1時52分更新


◆コメント:今、確認出来る事実は、羽越線の列車が脱線転覆して、死傷者が出たと言うことだけだ。

 

 12月25日に列車事故が起きた。

 奇しくも、福知山線の脱線転覆事故から丁度8か月目である。



 当時、事故原因が不明なのに、マスコミ各社があまりにも横柄な態度で、

 JRを取材すると云うよりも「吊し上げ」、遺族は関係の無いJRの社員に暴力を振るった。

 私は、「事故原因が分からないのだから、責任の所在は特定出来ない」、と書き、

 短絡的に事故をJRの責任と決めつけ、国民に錯覚を起こさせたマスコミ報道を批判した。



 今回も、現時点で確かな事実は、JR東日本羽越線の列車が脱線転覆して死者、負傷者が出た、と言うことだけである。

 何故、脱線したのかは分からない。

 従って、責任の所在も不明である。

 だから、論理的には、今、JRが東日本は謝罪する必要はないのだ。

 しかし、とにかく、何でも良いから謝らなければ済まされない、という精神的風土が日本にはある。

 犠牲者が出たのは誠に気の毒だが、

 もう一度繰り返すと、「事故の原因が分かるまでは、誰の責任かは分からない」という当たり前のことを、

 いい加減、日本人は理解するべきである。



 去年も今年も皮肉なことにクリスマス前後に悲劇が起きる。

 昨年、12月26日にはスマトラ島沖大地震による津波で、数十万人の犠牲者が出て、

 いまだに特定できない死体があるという。今年はこれ以上、何も起きないことを祈る。


by j6ngt | 2005-12-26 04:00

「今日の出来事 東京直下型地震が起きたら」←今、こういうニュースを流すべきではない

◆伝えても仕方がないニュースで、徒に不安を煽るな。

 

 先週はTBS、今日は日本テレビ系列のニュースで、「東京直下型地震が起きる可能性が高い。その時の被害はどうなるか」、をご丁寧にCGまで用いて、生々しく説明してくれた。

 東京付近で大地震(因みに、テレビのアナウンサーは必ず「おおじしん」と読むのですね)が発生した場合、

 1万1千人が死亡し(そんなものじゃ済まないだろうと思うのだが・・・)400万人が被災者(家が倒壊するとか、火災で焼失するとか)になるのだそうだ。

 大地震が遅かれ早かれ首都を襲うであろうことは、常識である。

 しかし、何時起きるか、現在の科学では、正確に予想出来ないのだから、厳密には「防災」という言葉は殆ど無意味である。


◆防災と云っても、結局「運」次第。

 

 あまりにも当たり前だが、地震が起きて生きのびるか、死ぬかは、運次第だ。

 運が良ければ助かる。悪ければ死ぬ。

 運の悪いことに、エレベーターに閉じこめられ、そのビルで火災が発生し、エレベータから脱出出来ずに、

 蒸し焼きになる人もいるだろう(勿論、それは、私かも知れない)。

 家屋の下敷きになって、圧死する人もいるだろう。

 水道管が破裂し、地下鉄を大量の水が襲い、溺死する人もいるだろう。



 そんなことは分かっている。

 分かってはいるが、どうしようもない。

 何時起きるか分からない地震を恐れて、学校にも会社にも行かず、自宅に頑丈なシェルターみたいなものを作って(作れる人は限られますね)、

 地震が起きるまで、一歩も外に出ないという訳にはいかないでしょ? 

 地震対策に非常食とか水とか、懐中電灯とか云っても、自宅にいる時に地震が起きるとは限らない。

 我々は、それでも仕方がないから肚をくくって生きている。

 そういう市民の不安を徒(いたずら)に煽るべきではない。



 おどろおどろしい音楽をならし、わざとらしく不気味なトーンでナレーターが原稿を読む。

 何故、こういう事をするのか?

 「数字(視聴率)が取れれば何をしても良い。」それが民放の行動規範だからである。

 話が逸れるが、何でも「民で出来ることは民で」、といい、NHKを民営化するなどという案が出ているが、とんでもない話である。


◆どうして、欠陥住宅が問題になっているときに、どうしようもない情報を強調するんだ?

 

 間(ま)が悪い、と言う言葉がある。今、「大地震の恐怖を伝える」、という行為がまさにそれだ。

 建築物の強度偽造問題で、みんなが思っているのは、これは、姉歯建築士や木村建設、ヒューザー、総研だけの問題ではなくて、

 日本中至る所で同様の手抜きが行われているのではないか、ということだ。

 建築業界、土木業界の構造的な問題ではないか、ということだ。

 多分、そうだろう。パンドラの箱を開けてしまったのだろう。日本中欠陥住宅だらけなのだろう。

 これについて、取り上げるべき事があるだろう。


◆建築基準法改正は、アメリカの年次要望書に従った結果だと知っていますか?

 

アメリカの年次要望書のことは過去に何度か触れた。

 「拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる」という本を読めば、一層良く分かる。

 要するに、

「建築基準法の改正や半世紀ぶりの商法大改正、公正取引委員会の規制強化、弁護士業の自由化や様々な司法改革…。これらはすべてアメリカ政府が彼らの国益のために日本政府に要求して実現させたもので、アメリカの公文書には実に率直にそう明記されている。」



 と、要約される。



 地震はどうしようもない。

 だが、アメリカの言いなりになって建築基準法を変えたのは、云うまでもなく、人間の意思に基づいている。

 具体的には、日本の政治家の責任だ。

 テレビ屋さんは、どうせニュースにするなら、追及する意味のあることをテーマにしていただきたい。


by j6ngt | 2005-12-22 00:32

<松下電器>石油温風機事故←問題ではあるが、松下の対応はさすがだ。

◆記事1:<松下電器>石油温風機事故 修理作業の関連会社を家宅捜索

 

 松下電器産業の修理済み石油温風機を使用していた山形市の男性(82)が、

一酸化炭素中毒で意識不明の重体になった事故で、山形県警は10日、

社員が修理作業をした関連会社「山形ナショナル電機」を業務上過失傷害容疑で家宅捜索した。

 松下は、同事故を含む13件の製品修理で、交換したホースが抜けていたとしている。(毎日新聞) - 12月11日1時2分更新


◆記事2:FF式石油温風機及び石油フラットラジアントヒーター 安全確保のための『社告』実施について 松下電器産業株式会社

 http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn050420-3/jn050420-3.html

2005年4月20日
松下電器産業株式会社は、1985年から1992年までの期間に製造した

「FF式石油温風機」及び「石油フラットラジアントヒーター」の25機種について、

安全確保のための市場対応を行うことにいたしました。このたび、FF式石油温風機(OK-3527、OK-3527HA)におきまして、

不完全燃焼により発生した一酸化炭素を含む排気ガスが室内に漏れ出した事故が3件発生しました。

事故原因を究明した結果、長期間のご使用による経年劣化とその他の要因が複合して起こるものであり、

新たな同種の事故が発生する可能性があると判断し、当該製品と同等構造の機種を加え、

社告を行い、無料で部品の交換等の処置を実施いたします。

ご使用時に異臭・異音・運転停止などの異常にお気付きの場合、直ちに室内の換気とご使用の中止をお願いいたします。

皆様方には、大変ご迷惑をおかけし申し訳ございません。

なにとぞご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

1.対象製品及び台数

(1)FF式石油温風機 19機種 124,356台

(2)石油フラットラジアントヒーター 6機種 27,776台

合計 25機種   152,132台(詳細は別表参照)

2.事故の概要弊社製FF式石油温風機(OK-3527、OK-3527HA)で3件の一酸化炭素中毒事故が発生しました。

1件目は、 2005年1月5日福島県南会津郡で1名の方が死亡、1名の方が入院中。

原因については、現在警察で調査中です。

弊社としては引き続き調査に協力してまいります。

2件目は、 同年2月23日長野県茅野市で、2名の方が入院、現在退院回復。

3件目は、 同年4月13日長野県長野市で、3名の方が診察を受け、2名の方が検査入院し翌日退院。

3.一酸化炭素が漏れ出た原因の推定


事故品は、14年以上経過しており、また過去事故事例がなかったので、

経年劣化ではないかと想定して解析しました。事故原因を究明した結果、以下のメカニズムが推定されました。


  1.  経年劣化により、FF式石油温風機の燃焼室に給気する耐熱ゴム製2次エアホースに亀裂が入ると、燃焼用空気の供給圧力が低下し、不完全燃焼がはじまる。

  2.  亀裂が大きくなると、2次エアホース内の空気の圧力が燃焼室内の圧力より低くなり、燃焼排気ガスが2次エアホース内を逆流し、微量の一酸化炭素が漏れ出る。

  3.  さらに給排気筒・製品の設置状況、また燃焼ファンの異常など複数の要因が重なると、一酸化炭素濃度の上昇や燃焼室内圧力が増加し、事故に至る一酸化炭素が室内に漏れたと推定する。


4.お客様への対応

(1) 対象製品をお持ちのお客様には、お買い求めの販売店並びに弊社サービス部門が無料で部品交換等の処置をさせていただきます。

(2) 明日新聞紙上で、『謹告』を行います。

(3) 弊社ホームページでもお知らせいたします。

(4) 本日から、フリーダイヤルにてお問い合わせをお受けいたします。フリーダイヤル  0120-872-773

(以下、表の為、引用者が省略)


◆記事3:謹告 大切なお知らせとお願い 松下電器産業(12月8日付)

 URL:http://panasonic.co.jp/appliance/info/important/heating/index.htm

1985年から1992年製のナショナルFF式石油温風機及び石油フラットラジアントヒーターには事故に至る危険性があります。



日頃は、弊社製品をご愛用いただきまして、誠にありがとうございます。

さて、本年4月21日「謹告」にて部品交換等の実施に関わるお知らせとお願いをさせていただいておりますが、

未点検品において新たな一酸化炭素中毒事故が発生いたしました。

当該対象製品を未点検のままご使用になりますと、一酸化炭素を含む排気ガスが、室内に漏れ出し、

場合によっては死亡事故に至るおそれがあります。

ご使用のFF式石油温風器及び石油フラットラジアントヒーターの品番をご確認いただき、

未点検のお客様は、直ちにご使用を中止いただき、

下記のフリーダイヤルまたは、ご購入販売店までご連絡ください。

加えてこのたび新たな事故が発生しました。事故品は部品交換済みの2次エアホースが外れていたものです。

これを受けて、点検・部品交換済みの製品につきましても全数再点検を実施いたします。

お客様のご要望に応じ、対象製品のお引取り(1台当り5万円)もしくは、無料で点検修理をさせていただきます。

既に点検修理をされたお客様にも別途同様のご案内をさせていただきます。

ご愛用の皆様には、大変ご迷惑をおかけいたしますが、

なにとぞご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

平成17年12月8日 松下電器産業株式会社

(以下、画像となるので引用者が省略)


◆コメント:松下電器産業の製造物責任と修理店の刑事責任は別の話。

 

 松下温風器の問題には、2つの流れがあるが、新聞の書き方が悪い。

 両者を分けて書かないから、消費者が混乱しているのではないか。

 1番目は、製品そのものの欠陥である。

 これは、記事2と記事3で松下が公式に製造物責任を認めているわけである。

 「製造物責任」とは「製造物の欠陥から生じた損害に対して製造者などが負う責任。あるいは,これに関する特別な責任制度。」である。

 「製造物責任法」という法律が存在する。平成6(1994)年から施行されている。

 2番目は、記事1で掲げた、修理店の刑事責任である。

 欠陥製品の修理がいい加減で、事故が起きた、という問題である。

 これは修理店の刑事責任(業務上過失致傷)が問われているのであり、松下電器産業の製造物責任とは別個の問題である。

 製品に欠陥があるのは、松下がわるいが、

 修理がいい加減だったのは、修理した人間の責任であり、製造者の責任ではない。

 これら2つの問題を混同してはならぬ。


◆死者が出ているので不謹慎な云い方であるが、松下の対応はさすがだ。

 

 温風器の不完全燃焼により一酸化炭素中毒の被害者が出たことを、松下は記事2に掲載したとおり、

 既に今年の4月に欠陥の具体的内容、被害者が死亡したこと。

 その他の被害者の被害の程度、欠陥が生じた原因、補償の方針について、細かく公表している。

 そして、4月の松下による「謹告」を見落とした人が、同種欠陥製品を使い続けて、

 再び死者が出たのであるが、これに関しても、記事3で1台5万円で引き取ると発表している。

 テレビでは、驚くほどの頻度で注意を促すコマーシャル(?)を放映している。

 松下がこの事態の対応に必要だと考えているのは200億だという。



 これは、人それぞれ考え方が違うだろうが、私は20年も前の温風器を使い続けている人がいるのに驚いた。

 20年も使えば、所詮、機械である。壊れるだろう。

 それはさておき、松下の対応は、本来これが当然なのだが、そうは言ってもさすがだ。

 自らに都合の悪いことは、たとえ他人の生命に関わることでも隠し通そうとする、

 どこかの建築設計士や土建屋、不動産屋のことを考えると、如何に良心的か分かろうというものだ。

 一時的に松下の家電製品の売上げは落ちるかもしれないが、

 問題が生じたのが最近の製品ではなくて、20年も前の製品であったのに、これだけ、正直に全てを公表して責任を認め、

 補償に応じる、と即座に言ってのけるところは、さすがに世界に冠たる松下だ、と感心してしまう。

 まずいことを隠したり、嘘をついたりしてごまかすほど、後で受ける打撃は大きくなる。

 長い目で見るならば、「やはり松下は信用できる」、という社会的評価につながるであろう。


◆松下幸之助氏が健在だったら・・・。
 

 松下電器産業の責任者にとって運が良かったのは、松下幸之助氏が既に故人であることだ。

 健在だったら、タダでは済まなかっただろう。

 無論、今回も社内処分はあるのだろうが、松下氏というのは、普段からすごかったのだ。

 下っ端は、直接接することがないからまだ良いが、役員などは徹底的に絞られる。

 何か問題があった場合ではない。通常の業務報告をしただけで、

 ここはどうなんだ?それでは、こういう場合はどうするのだ?それが上手くいかなかったら次はどうするのだ?

 と「詰め」のあまりのものすごさに、多くの役員は気絶してしまう。

 そして、気絶しても放免にはならないのだ。

 気付け用のブランデーが幸之助氏の部屋には常備してあり、

 それで目を覚まさせて「詰め」を続けるというのだから、想像を絶する。

 日本の世界に冠たる製造業は、皆、松下幸之助氏ほどでなくても、同様の誠実さでモノを作り続けてきたのである。


◆偽被害者が出ることを懸念する。

 

 問題は異なるが、4月に起きたJR西日本、福知山線脱線事故の被害者でもないのに、

 被害者だといつわって、なかにはJRその他から200万円も騙し取った人間がいる。

 「偽被害者」少なくとも50人はいるのだそうだ。

 

◆記事:偽乗客”の女逮捕 見舞金詐取、未遂含め50人

 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、事故を起こした快速電車の乗客を装い、

 JR西日本から見舞金など約10万円をだまし取ったとして、兵庫県警捜査2課と尼崎東署などは28日、

 詐欺容疑で事故当時、大阪市に住んでいた無職石橋日出子容疑者(58)=窃盗罪で服役中=を逮捕した。

 事故を捜査する尼崎東署捜査本部が負傷者からの事情聴取を重ねる過程で、

 未遂を含めた“偽乗客”が約50人いたことが判明。

 うち29人が見舞金などをだまし取り、発覚後も弁済に応じていないことも分かった。

 休業補償やタクシー代など計約200万円をだまし取ったケースもあり、

 捜査2課は特に悪質な約10人について順次、立件する方針。

 調べでは、石橋容疑者は4月の事故直後から6月にかけて3回にわたり、

 JR西が負傷者に対して支払った一律3万円の見舞金や休業補償など計約10万円をだまし取った疑い。

 石橋容疑者に勤務実態はなかった。 (共同通信) - 11月28日18時17分更新


◆コメント:恥を知れ。

 

 今回の「温風器事故」でも、恐らく「偽被害者」が現れるのだろう。

 世の中には卑しい人間がいるものだ。


by j6ngt | 2005-12-11 14:16

「栃木女児殺害」過熱報道への懸念を今一度強調する。

◆記事:胸狙い何回も刺す=深く心臓に、失血死-同級生と別れすぐ拉致か-栃木女児殺害

 

 栃木県今市市の小学1年吉田有希ちゃん(7つ)が行方不明になり、遺体が茨城県常陸大宮市の山林で見つかった事件で、

有希ちゃんは胸を何回も刺されていたことが3日、両県警の合同捜査本部の調べで分かった。

 死因は心臓を深く刺されたことによる失血死。遺体には切られた跡も含め、数カ所の傷があり、捜査本部は凶器の特定などを急ぐ。

 捜査本部は3日、遺体を司法解剖した。同日午前9時40分の解剖開始を起点とし死後1~2日であることも判明した。

 また、捜査本部は警察犬を使い、有希ちゃんの通学路周辺を捜索。

 しかし、犬は有希ちゃんが同級生3人と別れたY字路から自宅方向に数十メートル行った場所で追跡できなくなった。

 捜査本部は同級生と別れた直後に、近い場所で拉致された可能性があるとみて、

 周辺で不審な車や人物を目撃した人がいないか情報収集に全力を挙げている。

 これまでのところ、事件に直結する情報はないという。 (時事通信) - 12月4日2時0分更新


◆コメント:一ヶ月前の大事件のことは忘れているでしょう?

 

 ちょうど一ヶ月前、11月4日の日記で取り上げたが、

 大事件があったのをずっと覚えていた人がいるだろうか?

 これは、静岡県の女子高生が母親に劇物のタリウムを摂取させていた事件である。

 当時マスコミは大きく取り上げたし、犯罪の原因・背景などについてブログで取り上げた人は数え切れなかった。

 しかし、今、ここでそのことを再び書くまで、忘れていた人が多いのではないだろうか?

 「異常だ」「許せない」と、そのときは騒いでも、所詮、一般人が自分に直接関係がない犯罪に対する関心の程度というのはその程度だ。


◆だから、犯行の詳細を報道するメリットはない、と書いたのである。

 

 わずか数日前、広島の事件に関して、「広島小一女児殺害事件」の詳細を報道するべきではない。という稿を上げた。

 犯罪の詳細を一般国民が知るメリット、知らないことによって被る不利益、いずれも認められない、と書いた。

 マスコミがいくら大々的かつ詳細に事件を報じても、特段の意義が認められないのは、

 今書いたとおり、静岡の異常な事件のことを、わずか一ヶ月で人々が忘れていることからも、ほぼ明らかである。


◆事件をセンセーショナルに取り上げることにより、連続犯となることがある。

 

 間違えないで頂きたいが、私は「事件そのものを完全に報道しなくて良い」、と述べている訳ではない。

 「センセーショナルに騒ぎ立てることは極めてよろしくない」ことを強調しているのである。

 その理由は、上で述べたこと以外にも、ある。



 11月4日に書いたが、アメリカではこの手の殺人の殆どは「快楽殺人」、

 つまり、他に目的がなく、殺害時の被害者の苦しみ方などを喜ぶ異常性を持つ犯行である。

 それは同じ文章で紹介したFBI心理分析官を読めば、分かる。

 栃木で起きたような犯罪も恐らくそれに類似している。

 そうだとすれば、事件を騒ぎ立てるほど、犯人を喜ばせることになる。



 何故なら、彼らは自らの犯行が新聞で取り上げられ、テレビで報道されるのを見て、「満足する」のである。

 これは、我々がいくら考えたところで、異常な人間の思考だから、理解できぬ。

 但し、彼らにそういう傾向があることは知っておく必要がある。

 繰り返すが、世間が自分の事件で大騒ぎをするということは、犯人の目的の達成を助けているのも同然だからだ。

 そして、さらにまずいのは、「自分の犯行が世間で騒がれることの喜び」が、

 同一犯が同種犯罪を繰り返す起因となりかねないことである。 連続殺人犯は、大抵、そのパターンだ。

 だから、何度も書くが、テレビも新聞も雑誌も、必要最低限以外の事を放送したり、書いたりするべきではないのである。


by j6ngt | 2005-12-04 11:28

<耐震偽造>民間確認検査機関が陳謝、再調査結果を説明←陳謝で済むか、馬鹿者。

◆記事1:<耐震偽造>民間確認検査機関が陳謝、再調査結果を説明

 

 姉歯秀次1級建築士が構造計算書を偽造したマンション「グランドステージ船橋海神」(千葉県船橋市)の建築確認をした

民間確認検査機関「東日本住宅評価センター」(横浜市鶴見区)が2日会見し、「偽造を見抜けずに申し訳ない」と陳謝した。

奥沢泰一社長は「社内調査の結果、この他には偽造はなかった」と説明した。(毎日新聞) - 12月2日20時58分更新


◆記事2:耐震計算偽造:「転居費用は」「子の学校は」 横浜市使用禁止命令に、住民悲鳴

 

 「あまりに急だ」「引っ越し費用もない」。

 横浜市が使用禁止命令を出す方針を明らかにした分譲マンション「コンアルマーディオ横浜鶴見」(同市鶴見区)の

 住民への説明会では、住民から悲鳴のような声が相次いだ。

 市側は、使用禁止命令に伴う転居について「市は市営住宅の住居費は出すが転居費用は負担しない」と説明。

 住民は「新しいマンションに移るなら家具なども買わなければならないが、引っ越し費用も出せない状況だ」と訴えた。

 別の住民は「子供が区外の学校に通っている。市営住宅では通えず、民間住宅に入りたい。民間でも援助してほしい」と要望した。

 だが、市側は「(民間住宅の)費用を市が負担することはできない」と理解を求めた。毎日新聞 2005年11月26日 東京夕刊


◆記事3:耐震計算偽造:転居先に公営住宅提供、石原都知事が難色

 

 構造計算書偽造問題で国土交通省がマンション住民の転居先として公営住宅の提供を打診したことについて、

 東京都の石原慎太郎知事は18日の会見で「災害と違い、無条件で優先的に入れるわけにはなかなかいかない」と難色を示した。

 国交省は公営住宅の提供を求めているが、都都市整備局によると、

 都営住宅の競争率は20~30倍で、2年以上入居待ちの人もいる。

 石原知事は「人間の生命にかかわりかねない認定は、きちんと審査をするよう指導する必要がある」と話した。毎日新聞 2005年11月19日 東京朝刊


◆記事4:耐震計算偽造:東京都が500戸提供--入居者の受け入れ先

 

 東京都は25日、倒壊の恐れがあるマンション入居者の受け入れ先として都営住宅など500戸を提供すると発表した。

 受け入れるのは、都営住宅50戸、都民住宅300戸、都住宅供給公社住宅150戸。

 28日以降、物件一覧を配布し、来月1~7日に同公社で受け付ける。早ければ年内の入居が可能という。

 期間は原則3カ月で、必要に応じて6カ月まで延長可能。

 家賃の減免措置はとらず、都民住宅の場合、3LDK中心で7万~13万円台。

 期間終了後の特例措置として、公営住宅の入居資格を満たす高齢者や障害者の場合は、

 優先的に都営住宅入居をあっせんする。毎日新聞 2005年11月26日 東京朝刊


◆記事5:耐震計算偽造:転居用に2200戸--安倍官房長官

 

 安倍晋三官房長官は30日午前の記者会見で、耐震データ偽造問題に関する政府の当面の対応策を発表した。

 耐震強度偽造が発覚したマンションの居住者対策が中心で、

 (1)居住者の受け入れ住宅2200戸の確保とあっせん

 (2)12月中旬ごろまでに問題がある物件からの退去勧告の準備

 (3)住宅購入者への支援措置の可能性を早急に検討--などとなっている。

 受け入れ住宅は公営住宅を中心にあっせんする。

 姉歯秀次1級建築士と指定確認検査機関「イーホームズ」などについて、立ち入り検査や建築士資格取り消し、

 建築基準法違反にかかる刑事告発の準備などを進めていることも明らかにした。毎日新聞 2005年11月30日 東京夕刊


◆コメント:もう少し、「情」のある措置を取るべきだと思います。

 

 まず、一昨日の復習から。

 建物を建てるときは、本来、3回検査しなければいけないのです。

 最初に図面にミスがないか、強度に問題がないか等を調べる「建築確認」。

 途中、設計通りに建築されているかを確かめる「中間検査」。

 完成した建物に問題が無いかどうかを調べる「完了検査」。

 1998年の建築基準法改正までは、市町村区の仕事でした。しかし、「建築確認」しか行っていなかった。

 改正後は民間検査機関に任せても良いことになったが、ひどい話で、改正建築基準法には検査の項目もやり方も定められていないのです。

 そして、民間検査機関がきちんと検査をしていたのか、役所は調べていなかった。 

 民間検査会社は、いい加減な検査をしていた。それで謝っているというのが、記事1です。


◆勿論、一番悪いのは、強度を偽装表示した建築士とそうと知って売っていた不動産屋達ですが。

 

 勿論、直接的には、わざと手抜き設計した人間と、手抜きと分かりながら、建物を建てた工務店、

 建設会社(長年やっているのだから、鉄骨の数が少ないとか、現場の人間だって分かっていたはずです)が悪いのです。

 また、まともな検査をしていなかった民間検査会社も悪い。
 記事1にあるとおり、「東日本住宅評価センター」(横浜市鶴見区)が2日会見し、

「偽造を見抜けずに申し訳ない」と陳謝したというが、「申し訳ない」で済む問題か、と怒鳴りつけたい気持ちです。


◆建築基準法を改正した国と民間検査業者に任せきりでいた市町村区の責任も当然、あるでしょう。

 

 このような、いい加減な設計、工事、検査が横行しているのは、建築基準法を改正した国と、

 民間検査会社に任せっきりでいた地方にも、責任があります。

 それなのに、地方自治体は冷たすぎるのではないでしょうか?

 記事2は悲惨です。横浜市と川崎市はは欠陥マンションの住人に横浜市退去命令を出したのです。 

 そして、「市営住宅へに入れ。住居費は出すが引っ越しの費用は自分で出せ」というのです。

 住民は欠陥マンションへのローンも返済し続けている。中にはお年寄りもいる。

 本当に余分な資金など無い人もいるでしょうに、「退去命令」。

 こうなった原因の一端は横浜市にもあるのですよ。


◆弱者に冷たい石原都知事。

 

 東京都も冷たい。石原都知事が冷たいのです。相変わらず、この人は、「社会的弱者」にとても冷たい。

 記事3を読んで下さい。最初石原氏は、都営住宅を提供するつもりはなかったのです。

 石原慎太郎は、先日テレビで発言していました。

 要するに、「そんな広くて安い住宅には何か問題があるに決まっている。見抜けない奴も悪い」という事です。

 そんなことは誰もわかっているけどさ。今言わなくてもいいでしょう。

 困っている人が大勢いるときに、わざわざ言わなくても良いでしょう。

 都営住宅は入居待ちの人が沢山いる事も分かっています。自然災害でないと言うのもその通りです。でもね・・・。

 記事4によれば、東京は都営住宅を500戸提供する、家賃の減免措置は取らず、7万円から13万円。

 しかも、原則3か月しか住ませてくれない。状況に応じて延長しても半年まで。 その間に新しい家を探しなさい、という訳です。



 くどいようですが、欠陥住宅の住人はローンの返済があるのですよ。

 それに加えて、13万円も支払えというのは、あまりに酷ではないでしょうか。

 東京都だって、都に責任は無く、責任は市町村区(東京にも「村」があります)だ、と言うことでしょうが、

 それはそうですが、国民は、所得税の上に地方税(都道府県に支払う税金)と、住民税(市町村区に支払う税金)を収めていて、

 東京はそれが毎月4万円、5万円になる(無論所得によりますが)人が多く、

 かつ、今回は、「異常事態」なのですから、いくら何でももう少し「情」のある措置が出来ないのか、と思います。


◆自殺者がでるぞ。

 

 どう考えても、厳しい。経済的負担が、です。

 欠陥住宅のローンを支払い、新しくあてがわれた市営住宅都営住宅の家賃を支払い、

 引っ越し費用を負担し、新しい家を見つけたとしてもそれを借りるときに、敷金とか礼金などが必要となる。

 欠陥住宅から「退去」を命ぜられた人の経済的負担は重すぎます。

 安倍官房長官(「情」が感じられるのは、この人ぐらいです)は記事5にあるように、

 経済的な援助も考えてくれているようですが、多分時間がかかる。

 お年寄りなんか、どうしたら良いのか分からない。死ぬしかないと言っている人が何人もいます。

 このまま、放っておけば自殺者は本当に出るとおもいます。

 そんなこと、知事も役人も国会議員も分かっているでしょうに。

 早く、公的資金による経済的援助を決めるべきです。


by j6ngt | 2005-12-03 20:04

「都道府県による民間機関検査、国交省が容認へ」←何でも「民に出来ることは民に」は間違っている。

◆記事:「耐震計算偽造:都道府県による民間検査機関検査、国交省が容認へ」

 

 耐震データ偽造問題で、北側一雄国土交通相は30日、国指定の民間確認検査機関に対しても、

 都道府県の権限で「立ち入り検査」が実施出来るよう検討していることを明らかにした。

 現行制度では、国が年1度程度の立ち入り検査を行っているが、検査員の数など形式的な調査に終わっているのが現状。

 実際に建築確認業務を行っている自治体の関与で、民間検査機関への監視を強める方針とみられる。

 北側国交相は、全国のマンションなどの耐震性を調べるサンプル調査についても「検討したい」と述べた。

 この日午後の衆院国土交通委員会で答弁した。毎日新聞 2005年12月1日 東京朝刊


◆コメント:小泉首相、何でも「民が出来ることは民に」やらせるのは間違っているのですよ。

 

 建物を建てる時には、国家における「三権分立」に相当する仕組みが機能する筈だった。

 つまり、設計(建築士)、設計通りに建物を建てる施工(工務店、建築会社)、

 設計通りに施工されているかを確認する監理(検査機関)である。これが全然機能していない。



 そもそも、以前は、検査は市区町村が行っていたのだが阪神・淡路大震災のときがきっかけで、変更されたのである。

 即ち、市区町村では、処理能力に限界があり、施工主に義務づけられていたのは、建築前に行う「建築確認」のみだったのだ。

 本当は、施工が設計通りに行われているか確かめる、「中間検査」、

 完成した建物の検査、「完了検査」が行われなければいけないのだが、

 中間検査と完了検査は行われていなかった。



 その結果、「完了検査証」の無い、耐震強度が十分でない住居が乱立し、

 阪神・淡路大震災 のときには、多くの家屋が倒壊した。

 震災の死者の8割は倒壊した家屋の下敷きになった。圧死だったのである。

 そこで、1998年の建築基準法大改正により、3回の検査が義務づけられることになったのだが、

 同時に、検査を民間検査会社に委ねてもよいことにしてしまった。

 ところが、今の法律は、検査すべき項目も、検査の方法も定めていない、というのだから、驚く。

 当時、これを重く見た日弁連(日本弁護士連合会)は相当猛烈に反対した。

 検査が商売になったら、甘い検査になるに決まっている、と。しかし、法案は可決されてしまった。


◆検査会社にとって施工主は「客」だから、欠陥を指摘しないのだ。

 

 実際、日弁連の予想通りになった。

 検査会社にとって、依頼主は客だから、なるべく検査を簡単に済ませてしまうのである。

 厳格に検査されたら、手抜き工事をしている連中はひとたまりも無いので、

 なるべく検査が甘い検査会社に仕事が集中するようになったのだ。

 その結果、専門家ならば、唖然とするほどひどい設計と施工がまかり通るようになってしまった。

 実際、渦中の姉歯建築士は、検査を担当していたイー・ホームズのことを、

 「基準が甘いから、いい」 と、言っていたのである。


◆「民が出来ることは民に」じゃなく、「民が出来ても官がやるべきこと」があるのだ。

 

 衆議院選挙の時に、小泉純一郎内閣総理大臣は、「民が出来ることは民に」、

 という言葉を百万回も繰り返していた。

 しかし、今回の例を見ると、必ずしもそうではないことが明らかだ。

 何でもかんでも、公費負担を抑えることを優先すればよいというものではない。



 日本国憲法は前文で、国民の「平和的生存権」を守らなくてはいけないと謳っている。

 いつ倒壊するか分からないような建物は、住人の「平和的生存権」を侵している。

 建築物の検査は、国民の生命に関わるのだから、国が必要な予算を振り分けて、

 まともな検査が行われるようにするべきなのだ。


by j6ngt | 2005-12-02 03:18

「広島小一女児殺害事件」の詳細を報道するべきではない。

◆犯罪行為の詳細を報道する特段の意義が認められない。

 

 NHKと民放各社がニュースで広島の小学校一年生女児殺害事件を取り上げている。

 今回も恐らく、テレビ、新聞、週刊誌は被害者の遺族に断りもなく、微に入り細にわたって、

 犯人の生い立ちやら、普段から行動が怪しかったとか、部屋から変な写真やビデオが沢山出てきた(出てくるかどうか分からないが)、

 というたぐいの話を日本中に「報道」するのだろう。

 私は特に、民放テレビのニュース番組の「過剰に悲壮感を演出する偽善的なトーン」を非常に嫌悪する。

 事件があったことを伝えるのは、やむを得ないかも知れないが、犯行の詳細はむしろ報道しない方が良い。

 第一に、被害者の親御さんの気持ちに立てば、「我が子が如何にして殺されたか」を日本中の人に知られたい訳は無い。

 第二に、社会全体が犯行の詳細を知ることのメリットが存在するとは思われない。

 逆に言うと、一般国民が個別犯罪行為の細部を「知らない事による不利益」があるのだろうか?

 「犯罪報道が犯罪抑止力を持たないこと」は、過去にも、略取誘拐や、幼児殺害は何度も起きており、

 その度にマスコミ各社が競って詳細な報道をしているが、犯罪は増える一方であることを見れば明らかである。



 事件の詳細を報道することは、むしろ、模倣犯をうむきっかけとなるのではないか。

 私はこのことを何度か書いている。

 一番最初は、「集団自殺」と「通り魔」は報道しない方がよいのではないか。という一文である。


◆視聴率が取れるから取り上げるのだ。

 

 民放は、被害者及びその家族に同情するようなフリをしているが、

 民間放送局の唯一の行動規範は「視聴率を取る」ことであるのを忘れてはいけない。

 民放や新聞や週刊誌が小学校一年生の女の子が殺された話を熱心に伝えるのは、「儲かるから」である。

 11月4日に書いたばかりだが、恣意的に嫌な表現を用いるならば、「マスコミは、他人の不幸がメシの種」である。

 何故、儲かる(テレビなら、視聴率が取れる。新聞・雑誌なら売上げ部数が伸びる)のか?

 見る人間、読む人間がいるからである。

 正確に書くならば、普段、政治・経済のニュースは見ないけれども、犯罪報道は見るという人々が大勢いるので、

 凶悪な犯罪を放送するときに、特に視聴率が高くなり、新聞・雑誌の売上げが伸びるわけである。

 そしてそれは、多くの人間の心の中に、「他人の幸福よりも、不幸を好むという心理的傾向があるから」である。

 そんなことはない、と今、これを読んで怒っている人は、自分が気がつかないうちに、邪悪な心理を「抑圧」しているのである。

 「抑圧」とはなにか。以前、防御機制について調べてまとめたので、ご参照いただきたい。


◆誰もテレビを見ず、雑誌を買わなければ、報道しなくなる。

 

 本題から話が逸れるが、「視聴率」が正確な数字であるという確証はどこにもないのではないだろうか?

 一体、どこに視聴率モニターがいるのだろうか?

 生まれてこのかた数十年間、視聴率を調べる装置らしきものを設置した家庭を見たことがないし、

 実はうちがそうなのよ、とこっそりばらす人に出遭ったことも無い。

 非常に意地悪く懐疑的に考えると、本当にそのような家庭があるのか分からない。

 そして、視聴率という数字が統計学的に正しく算出されているのかは、第三者が監査し、発表するべきだと思うが、

 誰かが監査したという報告を読んだことが無いし、調べても分からない。

 つまり、調査会社がテキトーに数字を書き込んで、発表していても、誰も分からない。

 「正当性の根拠が証明されていない統計」に一喜一憂する放送業界というのも不思議な世界だ。 



 しかしながら、今、ここで疑ってもきりが無いので、一応、正しい数字であると仮定しよう。

 それならば、犯罪が起きたときだけ、好奇心でテレビニュースを見る、新聞・雑誌を買う、

 という行動を人々が極力控えれば、不必要に詳しい犯罪報道は無くなるか、少なくとも減るはずだ。



 犯罪が起きたこと。容疑者が逮捕されたこと、そして今後は、容疑が固まって起訴されるならば、その事実を。

 その後は、裁判で判決が下されたときに、その結果を知れば十分である。


by j6ngt | 2005-12-01 03:10

「悪者探しは景気悪化招く 耐震偽造問題で武部氏」←感動的なバカさ加減。

◆記事1:悪者探しは景気悪化招く 耐震偽造問題で武部氏

 

 自民党の武部勤幹事長は26日、北海道釧路市で講演し、耐震強度偽造問題に関して

 「悪者探しに終始すると、マンション業界つぶれますよ、ばたばたと。不動産業界も参ってきますよ。

 景気がこれでおかしくなるほどの大きな問題です」と述べた。

 自らが農相当時に牛海綿状脳症(BSE)問題への対処で批判されたことを引き合いに

 「対応を気を付けないといけない。寝られないでしょう、大きい地震が来たら自分のマンションがつぶれるという話ばかりされると」と指摘した。

 また、武部氏は記者団に対し、伊藤公介元国土庁長官が偽造問題発覚前に、

 マンション販売業者「ヒューザー」社長を国土交通省幹部に紹介したことについて

 「事実なら誠に不用意極まりない」と語った。(共同通信) - 11月26日19時6分更新


◆記事2:<自民政調会長>耐震偽造「建築主に全面的責任」TVで強調

 

 自民党の中川秀直政調会長は27日、フジテレビの報道番組で、耐震データ偽造問題について

「どの建設会社やどの構造計算の事務所に設計依頼するかも含め、全面的に建築主に責任がある」との認識を強調した。

 その上で「(建築確認という)公の事務がかかわっており、行政に法律上の責任がどこまで課せられているか検討する」と述べ、

 再発防止に向けて、行政側の責任も追及していく考えを示した。(毎日新聞) - 11月27日19時24分更新


◆記事3:「大記録、見事だ。おめでとう」=小泉首相、朝青龍関に杯授与

 

 小泉純一郎首相は27日午後、福岡市を訪れ、大相撲九州場所で前人未到の7連覇を達成した横綱・朝青龍関の表彰式で土俵に上がり、

 直接内閣総理大臣杯を授与した。

 型通りの表彰状を読み上げた後、首相はアドリブで「新記録、大記録、見事だ。おめでとう」とたたえ、朝青龍関も笑顔を見せた。

 この後、首相は記者団に「歴史に残る名横綱になったんじゃないですか」と絶賛。

 2001年の夏場所での横綱・貴乃花関(現親方)以来の総理大臣杯手渡しに、

 「(あれから)4年半なんだね。あのころ、朝青龍があんなに強くなるとは思ってなかったね」と振り返った。

 ただ、外国人力士の活躍ばかりが目立つことには「もう少し日本人に強くなってもらいたいね」と奮起を促した。(時事通信) - 11月27日21時0分更新


◆コメント:どいつもこいつも・・・・。

 

 武部がバカなのは、日本人の常識であるが、ここまでバカだと、こちらが気絶しそうになる。

 「悪者探しに終始するとマンション業界がつぶれる」ことのほうが、

 「マンションそのものが崩壊して、その住民の生命が失われること」よりも深刻であるらしい。

 これ以上、何も書きたくない。情けない。



 中川政調会長は一昨日日銀の金融政策の件で触れたが、

 日銀が政府の意向に沿わないようなことをするなら、日銀法を改正する、と、中央銀行の独立性を、軽んずる発言をした。

 確かに日銀法4条というのがあって、政府の基本政策と協調するように、と書いてあるのだが、

 政府が何ら有効な景気回復策をとらないから、日銀が苦労しているんじゃないか。

 国が税金の無駄遣いを減らし切れず、その責任はとらず、増税を考えている事のほうが余程問題なのだ。

 量的緩和策を続けろ、といいながら、与党は定率減税の廃止、即ち増税を決めた。

 景気回復をじゃましているのは、お前ら政治家なんだよ。バカ。

 で、その中川が、耐震データ偽造問題は全部民間の建築士の責任だという。

 何のための監督官庁なのだ?

 民間の検査機関が検査をしたというが、その検査機関が、妥当性のある検査を行っているか確かめるのは行政の責任だ。

 だから、究極的には、行政府たる内閣にも大いに責任がある。

 その行政府の長、小泉純一郎内閣総理大臣は、これだけ、世間が大騒ぎになっているときに、わざわざ九州まで飛んで、相撲見物だ。

 小泉政権はバカの集団だ。


by j6ngt | 2005-11-28 02:55

「<東武運転士>解雇処分を正式決定」←妥当である。

◆記事:<東武運転士>解雇処分を正式決定

 

 東武鉄道の30代の運転士が長男(3)を運転室に入れたまま約4分間乗務した問題で同社は15日、運転士を懲戒解雇処分にすると正式に決定した。

 「解雇は厳し過ぎる」と電話やメール約2000件が寄せられていたが、「鉄道事業者にあってはならず、重大な服務規律違反にあたる」として当初の処分方針を貫いた。(毎日新聞) - 11月16日3時3分更新


◆コメント:東武鉄道は正しい。

 

 大衆は感情で行動する(意見を述べる、苦情メールを送るのも無論「行動」だ)ということは、先の衆議院選挙でいやというほど、思い知らされたが、今回も、あきれた。

 レールの上を走るから、そんなに堅いことをいわなくても良いではないか、と言う人は、もう福知山線の事故を忘れたのであろうか?

 あの時の事故の原因はいまだに解明されていないが、人々は、あのとき、「JR西日本の運航管理体制に問題がある」というマスコミの勝手な憶測しか根拠のない断定を利用した。

 そして、マスコミによる扇動に乗って、事故の被害者の遺族はもとより、

 関係のない一般人までが、事故と直接的には無関係のJR西日本職員に暴力を振るうという野蛮な光景が繰り広げられた。



 それが今回はどうだ?

 「運転士が公私を混同し、自分の息子が泣いたから運転室に入れる」という重大な服務規律違反を犯したのに、「可哀想だから」大目に見ろ、という。

  何を言っている。


◆JR西日本の厳罰主義と混同するな。
 

 話がそれるが、全然関係のない、「問題のすり替え」をしているブログがあった。

 

「福知山線事故の後、JRの『厳罰主義体質』が問題視されていたことをもう忘れたのか」



 というのである。 違う。全然問題が違う。

 勘違いの一つ目。

 そもそも、福知山線の事故原因はいまだに特定されていない。

 したがって、「厳罰主義と事故の因果関係」を断定するべきではない。これが一つ目の誤り。

 勘違いの二点目。

 JR西日本における厳罰主義とは、「ダイヤを守るため」の厳罰主義である。

 つまり、人命よりも、会社の収益、もうけ、を重視しすぎること」が問題だといわれているのだ。しかもそれが正しい主張か否か、断定できぬ。

 いずれにしても、今回の「厳罰」は全く正反対の理由に基づいている。

 東武鉄道の措置は、「運転士が、人命を守るための最低限の安全運転義務を守らなかった」事実に対して下される「厳罰」である。

 混同してはいけない。

 
◆結果論で論じるべきではない。

 

 気の毒だ? そういうのを「結果論」という。 たまたま事故が起らなかっただけだ。

 鉄道の運転士は常に前をまっすぐに見ていなければならないのである。

 自分の子どもだろうが、カミさんだろうが、集中力の妨げになる人なり、物体なりを運転室に入れてはならないのだ。鉄則だ。

 突然、軌道(レール)上に障害物が入る可能性は常に存在する。

 目の前ならどうしようもないが、遙か前方でクルマが踏み切りで立ち往生しているのを見つけることができれば、大惨事を免れる事が出来る。

 ところが、自分の子供に気を取られ、もしも、ほんの数秒発見が遅れただけで、大惨事が起きる可能性が高くなる。

 事故が起きてからでは遅い。

 事故が起きる可能性をあらかじめ、可能な限り排除するために、鉄道会社は厳密な服務規程を運転士に課している。

 それは、言うまでもなく、大勢の乗客の人命に直結する問題だからである。

 この運転士は、それを認識していながら、自らの意思で規程に違反した。頭にピストルを突きつけられていたわけではない。



 自分の列車は順調に運行していても、先行する列車にトラブルが起きて、突如駅と駅の間で停止信号に変るかも知れない。

 それを「見逃す可能性を生じさせる人や物」が電車の運転席に存在してはならないのだ。

 たかが子供じゃないか、というのは間違っている。

 子どものいない人は分からないだろうが、3歳児ぐらいになると、びっくりするほど強い力を出すことがある。

 運転席に入った本件運転士の子どもがはしゃいで、運転中の父親の腕にぶらさがったり、飛びついたりする危険がある。

 加速装置にしても、制動装置にしても急激な操作は厳禁だ。

 ましてや、運転士の意思とは無関係に、そのような動作をすることになったら、何が起きるか分からない。急制動により、乗客が転倒するかも知れぬ。


◆はっきり言うが、母親が一番悪い。

 

 この運転士は、仕事が終わったら家族と合流して買い物だか、食事に行く予定だったという。偶然に乗り合わせたのではない。

 運転士本人も使命感が足りない。軽率のそしりは免れない。

 しかしながら同時に、運転士の妻、子どもの母親が最も重大な、ミスを犯したと責められても、仕方がない。

 この妻は、「夫の仕事は多数の人命を預かる、誇り高い仕事だ」という意識がなく、「電車の運転士」という職業を、軽視していたとしか思えない。

 多分、妻は、運転士の服務規程のイロハのイも知らなかったのだろう。

 妻は、自分の行為が夫の職業の尊厳を貶めるものだという認識すらなかったのだ。それが悲劇だった。

 3歳児の母親は、そもそも、はじめから運転席に近づくべきではなかった。

 そして、子どもが泣き出した時点で、運転している夫の注意を削がないために、全力を尽くすべきだった。

 首に縄を付けても、ひっぱたいても、こどもを運転席から遠ざけるべきだった。

 規則を知っている知らないという問題ではない。

 鉄道運転士の妻になるからには、それぐらいのことは常識で考えて、分からなければならない。

 どうも、近頃の若い奴は幼稚だね。こんなことは、中学生でもわかりそうなものだ。


◆一回、「大目に見」たら、次に同様の事態が起きても、クビに出来なくなる。

 

 今回、問題を起こした運転士を見逃したら、次から似たようなことをする者が出る可能性が高くなる。

「少しぐらい、子どもにカッコいい自分の運転士姿を見せてやりたい」という社員が出現する可能性が大いにある。

 何せ、「クビにならない」のだから。

 今回、東武鉄道に「苦情」を寄せた人たちは、今後、「ちょっとぐらいなら、お父さんの運転席を見てもいいよ」という運転士が続出しても、抗議しないのでしょうね?

 「抗議しない。その結果事故が起きても、自分が了承した不利益だ。」

 と念書を書き、署名捺印の上、東武鉄道に提出のうえ、それでも今回の事に抗議する、というのならば、筋が通る。

 そんな人がいるわけがない。事故が起きれば、ギャーギャー文句を言うに決まっている。

 だから、今回のことは、その場の感傷で安易に論ずる問題ではないのだ。


◆クビを切る人間の辛さも考えろ。

 

 東武鉄道は、2000件にも及ぶ、「苦情」にも関わらず、規則は曲げられないといって、運転士を懲戒解雇とした。

 これは、誤解を恐れずに言えば、「立派」である。

 世間はクビを切られる運転士の事ばかりに着目するが、全国から抗議が寄せられていたにもかかわらず、

 「運転士としてあってはならぬこと」という固い信念を曲げず、服務規程をそのまま適用した東武鉄道側だって、苦しいのだ。

 直属上司は勿論、人事部や、経営陣も悩みに悩んだに決まっている。きっと何日も眠れなかったと思う。

 不況から脱していない、今の日本で、会社を「懲戒免職」になった者の再就職が如何に厳しいかということぐらい、サラリーマンなら誰でも骨の髄から承知している。

 3歳児を抱えた運転士が職を失い、これからどうなるかを考えて、多分、最終的に解雇を通知した担当者は何日も、悪夢に苦しんだに違いない。これからも苦しむだろう。

 誰も、今回問題となった若い運転士に個人的な恨みはない。 クビを切ったからといって自分の得になることは何もない。

 普通の人間は、他人から恨まれるようなことを平気で断行するような図々しい神経を持っていない。

 ただただ、公共交通機関としての判断である。

 「泣いて馬謖を斬る(規律を保つためには、愛する者をも止むを得ず処分する)」とは正にこのことだ。

 私は、東武鉄道に対して、同情を禁じ得ない。


◆「とかくに人の世は住みにくい。」

 

 冗談ではなく、私は、この騒動を知って、漱石の「草枕」の冒頭が真っ先に頭に浮かんだ。

 

 山路を登りながら、こう考えた。

 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。


by j6ngt | 2005-11-21 22:37