◆記事:光母子殺害 死刑判決…元少年、遺族に一礼(4月22日16時21分配信 毎日新聞)
「被告人を死刑に処する」。22日午後0時2分、広島高裁302号法廷に、楢崎康英裁判長の静かな声が響いた。
99年4月に起きた山口県光市・母子殺害事件の差し戻し控訴審判決。被告席の元少年(27)は裁判長や遺族らに一礼して退廷した。
最愛の妻子を奪われた本村洋さん(32)は閉廷後、「適切な判断を下した判決だと思う」と力を込めた。事件発生から9年。4度目の法廷で、司法は極刑を選択した。
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◆コメント:今日の広島高裁の判決は当たり前なのです。
本件は、最初の裁判で、一審、二審とも無期懲役の判決が出たのです。
検察はこれを不服として上告したところ、2006年6月、最高裁は、
特に酌量すべき事情がない限り死刑を選択するほかない
として、二審判決を破棄して審理を差し戻したのです。つまり、
「こんなの死刑しかないだろう。高裁、もう一度よく考えろ、やり直し」
ということです。高裁は最高裁に「命令」される関係にはありませんが、このような差戻しを受けたら、
今度は死刑判決が出るのは、ほぼ明らかでした。
社会的影響、被害者の無念を思えば妥当な判決だと思います。上告しても多分上告棄却となるでしょう。
◆来年5月から実施される裁判員制度の対象は、「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件」なのですよ。
今、我々は、「こんな奴死刑になって当然だ」と平気で書いていますが、平気で書けるのは、自分が裁判に関わりが無いからです。
ところが、所謂、裁判員法が来年5月21日に施行されます。
7月頃には、本当に我々一般市民の中から無作為に抽出された人が、裁判員に指名されるのです。
裁判員法は、正式は、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律と言います。
第二条を読んで下さい。
第二条 地方裁判所は、次に掲げる事件については、次条の決定があった場合を除き、この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は、裁判所法第二十六条の規定にかかわらず、裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
一 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
二 裁判所法第二十六条第二項第二号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)
正に、光母子殺害事件など、これに該当します。
勿論、裁判員制度といっても、素人だけで裁判を進めることなど出来るわけはありません。↑の第二条にある合議体とは、
裁判官3名と裁判員6名からなる、と書いてあります。
しかしながら、兎に角、裁判員は断れないのです(例外はありますけど)。
裁判員をやっている間は仕事は休むことになる。当然です。人を死刑にするかどうか、片手間で決めていいことじゃないでしょう。
更に、守秘義務があります。家族にすら喋ってはいけないのです。裁判で知ったことを洩らすと、貴方が懲役になります。(108条)
しかし、何よりも緊張するのは、裁判員に選ばれたら、人一人、死刑にするか無期懲役にするか、はたまた無罪にするのか、
それに対して、我々素人が意思を決めなければならないということです。
全く無知でいると却って辛いと思います。刑法の勉強でもした方が良さそうです。
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