「7-9月、年率1・7%増 GDP、4期連続の成長」デフレーターマイナス連続30ヶ月。

◆記事:7-9月、年率1・7%増 GDP、4期連続の成長

 

 内閣府が11日発表した2005年7-9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)速報値は、物価変動を除いた実質で前期(4-6月期)比0・4%増、年率換算で1・7%増となった。

 名目も0・2%増(年率換算0・7%増)で、経済成長率は実質、名目ともに4・四半期連続でプラスとなった。

 成長率に対する寄与度では内需が0・5%の押上要因となった。外需は輸入が輸出を上回り急増したことで成長率を0・1%押し下げた。

 景気をけん引してきた個人消費や設備投資が減速し一服感が出たものの依然堅調で、成長率自体は鈍ったが、

 民間需要主体の緩やかな景気回復が続いていることが確認された。

 ただ総合的な物価変動を示すGDPデフレーターは、前年同期比1・1%の下落と30期連続のマイナス。

 前期より下落幅は0・2ポイント拡大し、デフレ状態は依然続いており、

 金融緩和をめぐる今後の政府・日銀の動きが注目される。(共同通信) - 11月11日13時32分更新


◆コメント:こういう報道をするから、バブルになるんだ。

 

 今日は、四半期に一度行われるGDP(国内総生産)の発表がありました。

 GDPには、実質と名目があります。

 実質は、モノやサービスの生産量です。「量」ということを覚えておいてください。

 名目は、金額です。実際の「売上げ」だと言っていい。



 「実質」という言葉と、「名目」という言葉の印象からすると、「名目」は見せかけ、「実質」は本当の姿という感じですね。

 だから、実質成長率の方が大事に思えます。

 これが、インフレのときは、その考え方で良いのです。

 前の四半期と次の四半期と生産量が変らなくても、例えば、同じ100単位しか生産しなくても、

 物価が勝手に上昇し続けるインフレ時には、、ものの値段が仮に2倍になれば、名目GDPは2倍になる。

 これでは、経済活動の実際の状況を正しく見られない。だから物価上昇率が100%だから、それを勘案する。

 そうすると、なんだ、実質GDPつまり、生産は増えていないじゃないか、と、いう風に見るのです。


◆今はデフレですから、名目GDPに着目します。

 

 日本は長いデフレ不況にあります。モノの値段が下がり続けています。

 だから、実質、つまりモノ・サービスの生産が増えたといっても、実際の儲けが増えないのです。

 そこで、名目GDP成長率の方に着目します。

 記事によれば、7-9月の実質(「量」ですね)は4-6月比プラス0.4%。

 名目は、プラス0.2%です。

 しかし、ここで、「お、名目もプラスじゃねえか」というのは早とちりです。


◆一番見なければいけないのはGDPデフレータです。

 

 7-9月期の実質はプラス0.4パーセント。

 同じ時期の名目はプラス0.2パーセント。

 確かに名目はプラスですね。しかし、実質、つまり量は0.4%増えているのに、名目(もうけ)は0.2%しか、増えていないですね。



 何故でしょう?

 物価が下がり続けている、つまりデフレーションが継続しているからなのです。

 名目GDPを実質GDPで割った数値をGDPデフレーターというのですが、

 記事の最後に「総合的な物価変動を示すGDPデフレーターは、前年同期比1・1%の下落と30期連続のマイナス」とあります。

 これが一番気にしなくてはいけない数字です。



 GDPデフレータ=名目GDP÷実質GDP

 ですから、この数値の変化がマイナスになるということは、分子より、分母の増え方が大きいということですよね。

 言い換えれば、量が増えている割に儲けは増えていない、というときにGDPデフレーターの変化はマイナスになります。

 そのマイナス状態が何と30か月も続いているのです。


◆株式市場は、はしゃぎすぎ。

 

 今日も多分、海外のファンドが買ったのでしょう。東京証券取引所で日経平均株価は今年一番の高値(たかね)で終わりました。

 相場は、株も債権も外為も、コモディティ(商品先物取引)も原理は同じです。

 買う人が売る人より多ければ上がります。但しそれが、必ずしも経済の実態を正確に反映しているわけではないのです。

 はっきり言って、ここ数ヶ月、株式市場は経済の実態と乖離して、買われすぎです。バブルです。

 こう言うのは一旦メッキが剥がれたらすごいですよ。暴落します。

 証券会社はしきりにミニ株取引しませんか、などと働きかけてきます。

 しかし、今のように、相場が一人歩きをしているとき。言い換えれば、市場参加者が確たる根拠も持たずに買っているときは、追いかけて買わない方がいいです。

 最近は株のインターネット取引が盛んで、東証の取引量がふくれあがっていますが、それだけ素人の市場参加者が増えているということなのです。

 素人はなれていませんから、海外のファンドが利食い売りなど始めたら、狼狽売りが殺到して、株式市場が大暴落します。その危険が今は大変大きい。

 「私もネットで株をやってみようかな」という方。

 最終的には自己責任ですから自分で決めるしかありませんが、私の個人的見解では、今は止めておいた方がいいような、予感が致します。


by j6ngt | 2005-11-12 03:33 | 経済


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