「ショパン・コンクール4位 関本さん、山本さん」←想像を絶するほど、立派なことです。

◆記事:ショパン・コンクール4位 関本さん(大阪出身)山本さん(長野出身)

 【ワルシャワ=原口啓太】五年に一度、ワルシャワで開催される第十五回ショパン国際ピアノコンクールの本選結果が二十一日深夜(現地時間)に発表され、

大阪府出身でパリのエコール・ノルマル音楽院を卒業した関本昌平さん(20)、長野県出身でワルシャワのショパン・アカデミーに在学中の山本貴志さん(22)が第四位に入賞した。

 優勝したのは地元ポーランドのラファウ・ブレハッチさん(20)。

一九七五年のクリスティアン・ツィメルマン以来、三十年ぶりの地元の制覇となり、同時にそれぞれの曲目の最高の演奏者に与えられるポロネーズ賞、マズルカ賞、協奏曲賞も受賞した。
 関本さんは大阪府豊能町立東ときわ台小在学中にピアノを始め、ショパン国際ピアノコンクールアジア中学部門金賞。

 山本さんは信州大付属長野中時代まで長野市で過ごし、日本音楽コンクールピアノ部門三位。(産経新聞) - 10月22日15時5分更新


◆コメント:ファイナル(本選)に残るだけでももの凄い事なのですよ。

 

 今日のアクセス解析をみると、関本昌平さんと山本貴志さんを検索して来られた方が非常に多い。 多少はクラシックに関心を持って下さっているのでしょう。

 ショパンコンクールを受けたピアニストは、300人以上いるわけです。

 それではあまりに多いので、普通のコンクールは第一次予選から始まるけれども、ショパンコンクールはその前の段階の予備予選がある。

 ここで220名落とされて80人になる。

 第1次予選で50人落とされて、第2次予選へ進むことができるのが30名。

 第2次予選でさらに18名落とされて、漸く本選(スポーツになぞらえれば、決勝)に出られる。

 本選に残るのは従って、12名しかいない。その3分の1は日本人だった訳です。

 しかし、本選に残るまでには、次の課題曲を弾けるようにしなければならないのです。


◆課題曲

●予備予選

フレデリック・ショパンの作品

・エチュード2曲。下記のグループから各1曲。

a) in C major op.10 no.1

 in C sharp minor op.10 no.4

 in G flat major op.10 no.5

 in F major op.10 no.8

 in C minor op.10 no.12

 in A minor op.25 no.11

b) in A minor op.10 no.2

 in C major op.10 no.7

 in A flat major op.10 no.10

 in E flat major op.10 no.11

 in A minor op.25 no.4

 in E minor op.25 no.5

 in G sharp minor op.25 no.6

 in B minor op.25 no.10

・各自がコンクールで選曲した下記の3曲から、各自2日前に抽選した1曲。

 バラードまたは舟歌 op.60または幻想曲 op.49

 ポロネーズ

 ソナタから第1楽章



●第1次予選(80名以下)

・エチュード2曲。下記のグループから各1曲。少なくとも1曲は予備予選と異なる曲を選曲すること。

a) in C major op.10 no.1

 in C sharp minor op.10 no.4

 in G flat major op.10 no.5

 in F major op.10 no.8

 in C minor op.10 no.12

 in A minor op.25 no.11

b) in A minor op.10 no.2

 in C major op.10 no.7

 in A flat major op.10 no.10

 in E flat major op.10 no.11

 in A minor op.25 no.4

 in E minor op.25 no.5

 in G sharp minor op.25 no.6

 in B minor op.25 no.10

・次のノクターンから1曲

 in B major op.9 no.3

 in D flat major op.27 no.2

 in G major op.37 no.2

 in C minor op.48 no.1

 in F sharp minor op.48 no.2

 in E flat major op.55 no.2

 in B major op.62 no.1

 in E major op.62 no.2

・バラード、舟歌 嬰ヘ長調 op.60、幻想曲 ヘ短調 op.49から1曲

・次のワルツから1曲

 in E flat major op.18

 in A flat major op.34 no.1

 in F major op.34 no.3

 in A flat major op.42

 in A flat major op.64 no.3

・次の中から1曲以上。

 コンサート・アレグロ イ長調 op.46

 子守歌 変ニ長調 op.57

 ボレロ ハ長調 op.19

 エチュード(予備予選及び1次で選んだ曲を除く)

 即興曲 変イ長調 op.29

 即興曲 嬰ヘ長調 op.36

 即興曲 変ト長調 op.51

 ノクターン 嬰ハ短調 op.27-1

 プレリュード op.28より下記のグループから1セットまたは連続する2セット

   a: no.7-12  b: no.13-18  c: no.19-24

 プレリュード 嬰ハ短調 op.45

 ロンド ハ短調 op.1

 ロンド・ア・ラ・マズール ヘ長調 op.5

 序奏とロンド 変ホ長調 op.16

 スケルツォNo.1 ロ短調 op.20

 スケルツォNo.2 変ロ短調 op.31

 スケルツォNo.3 嬰ハ短調 op.39

 スケルツォNo.4 ホ長調 op.54

 タランテラ 変ホ長調 op.43

 ワルツ イ短調 op.34-2

 ワルツ 変ニ長調 op.64-1

 ワルツ 嬰ハ短調 op.64-2

 変奏曲 変ロ長調 op.12

以上を40-45分にまとめること。



●第2次予選(30名以下)

・次のマズルカから1セット

   op.17, 24, 30, 33, 41, 50, 56, 59

・次のポロネーズから1曲

 アンダンテスピアナートと華麗な大ポロネーズ op.22

 ポロネーズ 嬰ヘ短調 op.44

 ポロネーズ 変イ長調 op.53

 ポロネーズ 変イ長調 op.61

・次のソナタから1曲

 ソナタ 変ロ短調 op.35(第1楽章リピートは任意)

 ソナタ ロ短調 op.58(第1楽章リピート不可)



●本選(12名以下)

・下記の協奏曲より1曲

 協奏曲 ホ短調 op.11

 協奏曲 ヘ短調 op.21


◆これを全部弾くわけではないですよ。

 

しかし、予備予選だけでも、エチュード(エチュードとは、本来、「練習曲」の意味の普通名詞だが、

 ショパンコンクールで「エチュード」といったら、ショパンが書いた24曲のエチュードに決まっている)のaグループとbグループから1曲ずつ。そして、3曲目に、

・各自がコンクールで選曲した下記の3曲から、各自2日前に抽選した1曲。

 バラードまたは舟歌 op.60または幻想曲 op.49

 ポロネーズ

 ソナタから第1楽章


ということだから、3曲目は何を弾かされるか、2日前の抽選まで分からない。ということは、全部弾けるようにしておかなければならない。

予備予選を受けるだけでも5曲を準備しなければならないわけです。

そして、予備予選で帰りますというわけにはいかないのです。つまり、受けるからには本選まで残るつもりで準備するわけですね。


1次予選に残ったら、エチュード2曲、ノクターン1曲、バラードなどから1曲、そしてその他の分野の中から最低1曲を選び全部で45分程度のリサイタルにまとめなければいけません。

これは、また最低5曲ですね。その時の選曲のセンスも問われると思います。

とにかく予備と一次予選までで、10曲です。


二次予選では、マズルカ、ポロネーズ、ソナタから各1曲。

本選に残るまでには、13曲準備しなければなりません。13曲といってもね。ポップスじゃないから。

特に2次予選のソナタなんて、30分ぐらいかかるのです。ここまで、弾いて認められた人が本選に出るわけです。


私が、本選まで残るだけで大変なことというのが何となくお分かり頂けたでしょうか?

もっとも曲の数がショパンコンクールだけ、異常に多いというわけではありません。毎コンですら、本選まで残るためにはこれぐらい準備しなければいけないのです。

勿論、練習はもの凄いでしょう。課題曲は、私の知る限り、昨年12月には分かっていたので、全ての出場者は約10ヶ月間、毎日12時間~15時間ぐらい練習していたはずです。勿論休みなど無いです。

大変なのは、これらの曲をただ、間違わないで弾けばよいのではなく、全てに関して音楽性が審査されるということです。

上手いのは当たり前。間違えたり、つっかえないで弾けるというのは最低条件を満たしているだけです。

音楽的に審査員の心の琴線に触れる「何か」がなければ、上位への進出は無理です。こればかりは練習でもどうにもならない。「才能」です。


◆本選は1000人の聴衆の前で、オーケストラ伴奏による協奏曲。

いよいよ、本選になったら、オーケストラと共演。つまり協奏曲を弾かなければならない。

ショパンのピアノ協奏曲は2曲ありますから、そのどちらか。コンチェルトはソロと違って、ずっと弾きっぱなしではないけれど、ソロじゃない難しさがあるわけです。

ピアノに限らず、協奏曲にはソロ・パートがしばらく休みで、オーケストラだけが演奏して、またソロが加わるというような箇所が、必ずあります。


皆出場者は場数を踏んだプロではなく、勉強中の学生さんが殆どですから、オケと合わせたことがない。

下手をすると、ソロを弾き始めるところが分からなくなってしまうこともある。最悪の場合、演奏が止まってしまうのです。

音楽の演奏芸術で、「止まる」以上の大事故はあり得ません。

これは、どうやって練習するかというと、CDに合わせて弾いて練習するのではなくて、友達か誰かピアノの専門家に、オーケストラパートをもう一台のピアノで弾いて貰って、練習するのです。

それでも、やはり本選で、本物のオーケストラと合わせる。しかも1000人の聴衆の前で演奏するとなると、まるで緊張感が違います。



こうして考えてくると、これだけの試練を経て、最終審査にのこりしかも4位に入賞すると云うことは、並大抵ではありませんね。

先日書きましたが、1985年のショパンコンクールで入賞した小山実稚恵さんも4位でした。

彼女は今回入賞したお二人と違って、海外留学経験がなくて、4位になったのです。

日本で日本人の先生にだけ習ってチャイコフスキーコンクールとショパンコンクール両方に入賞したのですから、やはり並の人物ではありませんね。



勿論、関本さん、長野さんの健闘ももの凄く立派です。

入賞しなくてもショパンコンクールのファイナリストになったというだけで、大変な努力と才能が必要なのです。

国籍など無関係に全員の栄誉を讃えたいと思います。


by j6ngt | 2005-10-23 01:19 | 音楽


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