郵政法案、参院で審議入り…14日採決へ←金融機関が無くなってしまう過疎地が増えるのです。

◆郵政法案、参院で審議入り…14日採決へ

 

 政府提出の郵政民営化関連法案は12日午前、参院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。

 質疑では、民主党の尾立源幸氏が「参院での審議を通じて法案を修正するつもりはあるか」などと政府側の対応をただした。

 これに対し、竹中郵政民営化相は「(前国会提出の郵政民営化関連法案と)骨格を変えることなく再提出している。(衆院選で)多くの国民の信任を得ており、修正する必要はない」と述べた。

 本会議に引き続き、参院郵政民営化特別委員会でも同法案の提案理由説明が行われた。13日には、同特別委で小泉首相らが出席しての質疑が行われる。

 また、与野党は12日午前の同特別委理事懇談会で、同法案の採決を14日に行うことで合意した。

 与党は同日中に参院本会議に緊急上程し、可決・成立させる方針だ。(読売新聞) - 10月12日13時38分更新


◆コメント:郵政民営化の問題点「官から民へ」とか言うからわかりにくいのだ。

 

 ちょうど一ヶ月前に、「郵政民営化賛成」と言って自民党に投票した人も、具体的に「何がどうなるか」良く分かっていないと思います。

 正直に言えば、私も全ては分かりません。わざと分かりにくく複雑にしてますからね。与党案は。

 郵政民営化反対論が理解されにくいのは、議論する人がエコノミストとか、この問題をずっと勉強してきた議員などが、「350兆円の資金の流れが云々」という、民営化された郵政事業の財務運営という、かなり専門的な話から入るからではないかと思います。

 勿論それはそれで、大変重要なことなのですが、一般有権者に対しては、まず、郵便や郵便貯金はどうなるのかという分かりやすい話の方が取っつきやすい。


◆郵便局は、4つの会社に分かれて、どうしてもやらなければいけないのは、郵便を受け付けるのと印紙の売りさばきだけ。

 

 今、郵便局は、郵便事業(郵便を受け付ける窓口の仕事、郵便を集配する仕事)、郵便貯金、簡易保険という3つの仕事を日本郵政公社という一つの国営会社がやっています。

  ところで、郵政民営化は構造改革の第一歩、と小泉首相は云っています。

 普通改革とは「合理化」であり、「バラバラのものを統合する」のです。複数の会社を一つにまとめるのです。民間の常識では。

 しかし、郵政民営化では、日本郵政公社の下で黒字で運営されている一つの会社をわざわざ4つの会社に分割するのです。

 それは、

 


  •  窓口ネットワーク会社

  •  郵便事業会社

  •  郵便貯金銀行

  •  郵便保険会社


 です。

 何故、今は3事業なのが4つになるのかというと、郵便事業を窓口ネットワーク会社と郵便事業会社にわけるのです。

 今現在、我々が「郵便局」と呼んでいるところはほとんどが、「窓口ネットワーク会社」になる。

 つまり、郵便や小包を受け付けたりするのと印紙を売るのだけが、仕事です。

 郵便を集配するのは郵便事業会社ですが、民間企業になりますから、不採算なところは、集配回数を出来るだけ少なくする。

 或いは、窓口ネットワーク会社は子会社に委託することになる。

 さらにですよ。

 窓口ネットワーク会社は郵便の取り扱いはやらなければいけないのですが(郵便局株式会社法案要綱の第2条を読んでみて下さい)、郵便貯金と簡易保険は、経営判断に任されます

 民間企業だから、不採算なところは絶対に、廃止になります。

 ということは、地方の過疎地帯で銀行もなく、唯一貯金を預けることが出来た機関、金融機関だった「郵便貯金を扱う郵便局」がなくなってしまうのです。

 言い換えれば、金融機関が無い、という不便な場所が日本のあちらこちらに出来てしまうことになるのは、ほぼ自明です。

 完全民営化は10年後です。その頃、今郵政民営化賛成と言っている人の殆どは、内閣にいないでしょう。無責任な話です。


◆郵便局はなくさないといっているのは、窓口のこと。

 

 小泉や竹中は「過疎地の郵便局もなくさない」といっていますが、それは、今、述べたとおり「窓口ネットワーク会社」です。

 そこで郵便貯金や簡易保険を扱うかどうかはそれぞれの会社の判断ですから、用は郵便を受け付けるところだけが残るのです。郵便配達の頻度は減るでしょう。


◆そういうことを説明しないで、「公務員の既得権を許していいのか!」と問題を誤魔化したのが小泉です。

 

 日本郵政公社の職員の給料は税金は全く投じられておらず、はがきや切手を売った収益でまかなった独立採算の黒字会社だったのに(9月11日に書きました)、わざわざ、これを解体して、4つにする。

 その結果、お金を預けることや、何の生命保険にも入れない人が増える、ということをわざと説明しなかった。

 完全民営化されるころには、何度も書きますが、小泉も竹中も悠々自適で、「知ったことではない」というでしょう。

 完全に民営化されるまでには、まだ、10年あります。

 法律を廃止する法案というのも出せるわけですから、今度の選挙までには、有権者はもう少し情報を集めておいた方が良いと思われます。


by j6ngt | 2005-10-12 23:39 | 郵政民営化


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