「郵政民営化実現は政界の奇跡」(小泉首相)、「イラク侵攻は神の命令」(ブッシュ大統領)

◆記事1:首相、郵政民営化実現は政界の奇跡――衆院郵政民営化特別委

 

 小泉純一郎首相は7日午前の衆院郵政民営化特別委員会で、「郵政民営化を実現することは政界の奇跡だといって過言ではない」と述べた。自民党の松岡利勝氏への答弁。首相は先の衆院解散と選挙について「前から法案が成立しなければ解散するとは公言していなかった。だたし、それとなく、聞く人が聞けば重大な決意をしているという表現をしていた。普通の人は『解散するんだな』と真意を分かったはずだ」と振り返った。

 そのうえで「一度死んだ法案を国民が生き返らせようとしてくれいている。この(国民の)声を受けて、今まで反対していた議員も賛成に回ってくれると信じている」と、郵政民営化関連法案の成立への自信を示した。(日経) (10:36)


◆記事2:Bush: God told me to invade Iraq--英国Indepentent紙(本日付)より冒頭部分抜粋翻訳

 【為参考】記事URL:http://news.independent.co.uk/world/americas/article317805.ece

 ブッシュ米大統領は、「オサマ・ビンラディンの拠点を攻撃するためにアフガニスタンへ侵攻したのは、神がそうしろとおっしゃったからだ。」と述べていたことが明らかになった。

「それは、イスラエルの安全とパレスチナ人の国家を建設する、という『神聖な』神の御心に沿ったものだからだ(と、神はお告げになった)」と述べたことがBBCの番組で明らかになった。

 BBCによれば、ブッシュが「神のご指示」云々を持ち出したのは、2003年6月、パレスチナ人の指導者達との最初の会合の席だったとのことである。

 なお、BBCはこの件を取りあげたドキュメンタリー番組を今月中に放送する予定である。



 昨日、この事実が明らかにされる前、ブッシュ大統領は、ワシントンにおけるかなり、感情をむき出しにした演説で、イスラム武装過激派を非難した。

 大統領は、イスラム武装勢力のイデオロギーを共産主義者のそれに例えてみせ、「彼ら(イスラム武装勢力)は全ての国をイスラム化して、スペインからインドネシアにまで及ぶ巨大なイスラム帝国を建設しようと目論んでいる」と決めつけた。

 BBCの番組、"Elusive Peace:Israel and the Arabs”(手に入れられない平和、イスラエルとアラブ諸国)は、月曜日から何回かに亘って放送されるが、この中で、パレスチナ代表団の元外務相、ネビル・シャース氏は、ブッシュ大統領が彼と、元パレスチナ首相、現大統領のマハムード・アバス氏に向かって、「私は神の命令に従って行動している。神は私にこうおっしゃった。『ジョージ、行け。そしてアフガニスタンのテロリストと戦うのだ』と。だから、私はその通りにした。次に神は、『ジョージ、イラクへ行け、そして暴君を倒せ』と。だから、私はそのとおりにしたのだ」と述べたことをはっきりと証言している。


◆コメント:日米の指導者とも何だか怪しい雰囲気を醸し出してきましたね。

 

 小泉首相とブッシュ大統領に関する記事で共通しているのは、両者とも自分が特別な存在で、特別の権力を行使することを許されているのだ、と考えているのが、行間から読み取れることである。

 小泉首相の場合は、「国民が法案を生き返らせてくれた」と表面上はのべているが、これは、「営業用」発言だ。

 私は、選挙戦の途中、小泉首相がガリレオの「それでも地球は回る」を持ち出して来たあたりから、ちょっと自己陶酔が激しすぎる危なさを感じた。

 たかが、郵便局にこだわる自分を、地動説にこだわったガリレオになぞらえるというのは、非常に強い自己愛の現れであり、同時に自分は歴史に名を残す人間なのだと考え始めていることを示唆している。

 中曽根元総理が、「最近の小泉首相は『権力という麻薬』にとりつかれたような状態、謂わば中毒状態だ」と言っているそうだが、その通りだと思われる。

 権力という麻薬の味を一度覚えると、なかなか手放すことができない。

 ところが、引け際を誤ったが故の失敗例は、過去にいくつもある。

 政界なら田中角栄、財界なら先日亡くなった、ダイエーの中内氏や、旧住友銀行の磯田頭取などのように、一時は神様のように崇められながら、失意の晩年を迎えることになりがちである。

 冷たい云い方をすれば、小泉首相の晩年がどうなろうが知ったことではないが、今現在は、実質的に日本の最高権力者だから、暴走されてはたまらない。

 もともと小泉首相の発言に合理性が認められることは稀である。しかし、政局には強く、それが今回の衆議院選挙で劇的な結果として出てしまった訳である。

 論理的思考をせず、人の意見を聞こうとしない人が自分の権力に酔っているというのは非常に危険な状態である。


◆ブッシュの方が一見危ないように、見えるが、こちらの方が分かりやすい。

 

 ブッシュの支持層のうち、数が多く、非常に大きな影響力を有しているのは、キリスト教原理主義と呼ばれる人々である。

 ブッシュ自身その信者だ。結論からいうと、この一派は頭が悪い。アメリカで、こんなことを書いたら命が危ないが日本だから平気で書かせていただく。

 キリスト教原理主義は、聖書の教えをそのまま丸ごと信じ、21世紀の今になっても、万物は神の創造物である、といって、ダーウィンの進化論を否定するというから、馬鹿さ加減が筋金入りだ。

 妊娠中絶はキリストの教えに背くからといって、堕胎手術をする産婦人科医を銃撃して殺してしまうのである。

 ちょっと、待ちなさい、といいたい。全てのキリスト教徒の皆さん、マタイ伝(マタイによる福音書)には、なんて書いてありましたっけ?

 「されど、我、汝らに告ぐ。汝らの仇を愛し、汝らを責むるもののために祈れ、と。」

 という言葉がありますよね?まさか知らないとは、言いませんよね?

 キリストの教えに忠実に従うというのなら、もうこの一文だけで、絶対に人殺しや、ましてや他国に戦争を仕掛けて、他国民を殺すことなど出来るわけがない、と私は考えるのだが、違うのでしょうか?

 キリスト教は、私は全然信仰する気持ちにならないが、西洋文明を知る際には、どうにもこうにも知らないと話にならないので、学生の頃、あくびをかみ殺しながら、「聖書」は何とか読んだ。

 新約聖書は部分的には、かなり良いことを言い当てているから、それは良いのだが、問題は「キリスト教徒」、つまり、信者にある。

 キリスト教徒は何かというと、「神の命令に従った」とか「悪魔が私に悪事をはたらかせた」などと都合のいいときだけ、都合の良いように、信仰を言い訳に使うところが気に入らぬ(そう言う信者ばかりではないことは、 当然、私も承知している)。

 これは、今に始まったことでは無くて、千数百年前の十字軍のころからの「西洋文化の伝統」である。この辺りの胡散臭さが嫌だ。

 ブッシュがパレスチナの代表に述べた言葉を、全く信仰心がない、なにも知識の無い人が、そのまま聞いたら、アメリカ合衆国大統領は、ついに頭がおかしくなってしまったのか、と思うのも無理はない。

 だが、そうではない。自分の立場がヤバくなりそうなとき、急に「神が私に・・・」というのは、西洋人がしばしば使う手なのである(ブッシュの支持率は急降下の最中だ)。


◆「神」などいないのに、自分が特別な力を持っている、と考える方が危険かも知れぬ。

 

 小泉首相にかんしては、郵政民営化が通ったぐらいで「奇跡」などという発言をすることから、「ガリレオ」のときと同じような自己陶酔性を観察することができる。

 西洋文化と対照的に、日本人には信仰心がないから、「神」ほど強力な(想定上の)権限付与者が不在である。

 それにも関わらず、自らが、何か特別な存在で、特別な権力を有しているという「自己愛」にとりつかれている(というのは、証明不可能で、あくまで私の自分の観察に基づく主観的事実でしかないが)内閣総理大臣の方が危ない。

 だから、国民が監視しなければいけないのである。監視と言っても、ストーカーになれというわけではない。難しいことではない。

 小泉首相の発言を毎日ネットで見つけて、テキストエディタ(メモ帳)に貼り付けておくだけで、かなり興味を覚える人が多いと思います。


by j6ngt | 2005-10-08 01:12


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