親というのは悲しいものなのです。

◆ここ、2週間ほど、大げさに言うと地獄でした。

 

 私は、滅多なことでは、私事(わたくしごと)をここに書かないのですが、今日は少しばかり。

私事と云っても、自分のことではなく、一人息子のことであります。

結論から書くと、倅(せがれ)は元来小柄なのだが、薦めてくれる人がいて、約2週間前に近所の小児科医院を受診したところ、「下垂体性低身長疑診」と云われ、翌日、これも比較的近所にある総合病院で検査(採血と写真かな。カミさんが連れて行ったので細部が今ひとつ分からぬ)を受けたのです。


◆幸い、正常でした。

 今日結果が出て、要するに異常は無い。平均より少し肉体の成長が遅いだけだ、とのお墨付きを頂いたのだ。

 主治医は小児科ではかなり有名な先生だ。

 ホッとしたが、し過ぎて、気が遠くなった。

良かったじゃないか。と、思われるでしょうけどね。 親というのはそういうものではないのだ。

この2週間は本当に辛かった(息子はけろりとしているのだが)。

私は、祖父が医師だったし、親戚にも医者が多い。門前の小僧で、「病気」という概念、状態を病的に恐れる者ではない。

下垂体性小人病だったとしても、成長ホルモンを(今は自家注射が出来るので)毎日、何年間か注射し続ければ、まず、間違いなく効果が現れ、重篤な副作用の心配も殆ど無いということは、少し調べれば分かる。

それでは、ますます心配要らないはずだ。しかし、それは「理屈」だ。

くどいが、親は理屈で動く者ではない。

自分の子供に、もしかすると、この先数年間、毎日注射を打たねばならないかもしれないと考えると、たまらなかった。

 そうはいっても、毎日心配だ心配だと日記に書くわけにも行かないし、仕事も通常通りこなさなければならぬ。何とかこらえた。

医療側にとって、検査結果が出るまでの2週間は常識だろうが、この間の患者(では無かったわけだが)側の苦痛は、筆舌に尽くしがたい。拷問である。


◆何の検査でも2週間というの、何とかならない?

 あの、何の検査でも、混んでるときも空いているときも2週間というのは、如何にも事務的である。どうにかならないものか。

恐らく、混んだときを想定した時間なのだろうが、空いていて、1週間で結果が出たなら、結果がどうあれ、早く教えてもらえないだろうか。


◆結論をまず一言目に云って下さいよ。

 

 検査を受けたのは総合病院だが、その結果は再び、近所の小児科に送付され、今日はそこで説明を聞いたわけである。 ドクターが写真を並べる。採血結果をみて、しばらく何も云わないのだ。というか写真(レントゲンのことね)をみて、ふーん、なんて云っている。

心臓が口から飛び出るのではないか、と思った。

 出てきた答えは、平均よりも身長の伸び方が遅れているだけであり、これから伸びて、普通の身長になるでしょうと言うことなのだった。

これね。患者から云わせると、その一言をまず、云って欲しいのだ

本当に、辛いんですよ。一秒でも早く、結果を知りたいのですよ。


◆難しいのでしょうけどね。
 

 強がるわけではないが、2週間悲嘆に暮れていたわけではない。

我が子は赤ん坊の頃から、常に、肉体的発達が、少しずつ人より遅いのだ。

赤ん坊の首が据わるのは普通3ヶ月だが、3ヶ月をすぎてもすわらなかった。

その頃は違う場所に住んでいて、今日のドクターではなかったのだが、診てもらったら、こういうのを、フロッピーインファント(フロッピーってのはぐにゃぐにゃした、ってな意味ですね)といって、歴とした病気だ。と宣告された。

初めてのこどもだから、当たり前だが、何もかも初めてで、専門家に言われたことは、素直に信じるしかない。

 カミさんはパニック状態に陥った。

脳に異常が有るかもしれない、といって、女子医大で、まだ赤ん坊の息子のCTを撮った。

 子供は、暴れると行けないから、導眠剤を飲ませ、手足をベルトで固定する。その姿で、あの巨大なトンネルの如き機械に吸い込まれて行くのを見るのは、辛かった。歯を食いしばって我慢したが、その光景を見ただけで、私は危うく泣くところだった。

異常所見は認められず、結局5ヶ月で首は据わった。



歩き出すのも、遅かった。早い子供は10ヶ月で立って、歩く。我が子は1年を過ぎても歩かなかった。

このときもまた、ドクターに(ドクターが善意、誠実なのは分かるのだが)おどかされた。

 18ヶ月を過ぎても歩かなかったら、直ちに、精密検査をします。筋肉に電流を通して、神経が正常であるかどうかを調べます。という。

赤ん坊は言葉が分からないから、何を言っても大丈夫、と思ったら大間違いである。気配で分かるのだ。

小児科医の診察を受けている間、まだ、何も分からないはずの幼子が、不安を感じ、私の顔を見て、「助けて」という目で訴える。

 しかし、どうしてやることも出来ぬ。 私は胸が張り裂けそうであった。

何を大げさな、と思うだろう。私も若い頃なら、同じように思ったに違いない。

しかし、「親とは、そういうものなのだ」

息子は、1年7ヶ月目で歩き出し、普通に発育した。小学校のかけっこでは1位になったこともある。



だから、身長が低いのも、どうせ同じ現象だろう、という気持ちがあった。

私の中学時代の同級生で高校生になってようやく声変わり(第二次性徴ってやつね)した奴がいたことも思い出し、落ち着こうとした。

 小児科が専門分野であるのは、「子供の身体は大人の小型版ではない」からで、特有の診断・治療技術を必要とする。難しい分野なのだ、ということは、身内からも聞いていた。

 最近は、何かというと親が訴訟を起こすので小児科の成り手が少ないそうだ。つくづく大変な仕事だと思う。


◆患者に対する説明も、医療技術の一つだ。

 大変な仕事だといことは、分かっている。

分かっているが、駆け出しの若いドクターにも、ベテランにも注文をつけたい。

特に、「初めて子供を持つ」親には、患者が病気であっても、無くても、また、検査をしなくては分からないと言う場合も、状況を説明するときの言葉の使い方には日頃から「吟味に吟味を重ね」て下さい。

 患者(の親)一人一人に、いちいちそんな手間をかける暇はない?

ダメですよ。 医師といえどもサービス業者なんだからね。

まあ、若い人には分からないかも知れない。

自分が親にならないと分からんよ。こればかりは。

親というのは、憐れなものなのさ。

本日は、つまらぬ 私事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


by j6ngt | 2005-04-13 01:08 | 医療


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